「ビーバップ」那須博之の演出は「最強」と仲村トオルらが回想、中山美穂との思い出も

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映画「ビー・バップ・ハイスクール」の劇場公開40周年イベント「清水 ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎祭」が12月13日、14日にロケ地である静岡県静岡市清水区の各所で開催。13日には同作の上映会が行われ、シリーズ6作でトオルを演じた仲村トオルと、映画にスタントとして参加した、高瀬道場の多加野詩子、瀬木一将が登壇した。

「ビー・バップ・ハイスクール」の舞台挨拶の様子。左から多加野詩子、仲村トオル、瀬木一将

「ビー・バップ・ハイスクール」の舞台挨拶の様子。左から多加野詩子、仲村トオル、瀬木一将

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仲村トオル

仲村トオル [高画質で見る]

きうちかずひろのマンガを実写映画化した「ビー・バップ・ハイスクール」シリーズは、ツッパリ留年高校生コンビ・ヒロシとトオルが喧嘩や恋に明け暮れる様子を描いた学園青春ドラマ。1985年に映画1作目「ビー・バップ・ハイスクール」が公開され、1988年までの3年間で全6作が製作された。

多加野詩子

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この場に立った気持ちを問われると、仲村は「40年経ってもあの映画のことを忘れないで呼んでくださる清水の皆様の愛情に感謝感激しております。30年目のときにはそんなに自分が長いことやったとは思わなかったですけど、40年目の今年は『そういえば40年前の40年前は、昭和20年だな』と思って。あんまり自分のことですごいと思わないんですけど、今年はかなり思いました」と感慨深げ。「ビー・バップ・ハイスクール」全6作のアクション監督で、2020年に死去した高瀬将嗣を夫に持つ多加野は「彼にとっては清水の街って本当に特別で、実は私との新婚旅行も清水なんです。ロケ地を回りまして、清水の商店街で大量の衣服を買いまして。それはいまだに残ってます。だからとても(清水で舞台挨拶できることが)うれしいです」と秘話を明かし、これには仲村らも「そうだったんですか!?」と驚いていた。

瀬木一将

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瀬木は「ビー・バップ・ハイスクール」では走る電車から川に落ち、商店街のアーケードの上からトラックへ落下するスタントを担当。彼は「40年ぶりに聖地に来られて感激してるんですが、はっきり言って清水の街は全然知らないです。前の日の夜に来て、次の朝に電車に乗っけられて川に落ちて、川から空を見て、次の日はアーケードから商店街を見て、それで帰っちゃったんで、すみません」と冗談を交えてコメント。仲村が感嘆しつつ「しかも、映画では戸塚水産高校の不良少年が次々と川に落ちてるんですけど、あれは瀬木さんと、当時高瀬道場にいらっしゃった高山(瑛光)さんという方が2回ずつ飛び降りてるのを(何人も落とされたかのように)使ってるんです。僕は蹴り落とされた瀬木さんが衣装を着替えてドライヤーかけて、もう1回電車に乗ってきたときに『もう1回やるのか、あれ』って驚いたし尊敬しました」とリスペクトの姿勢を見せると、「僕は『乾いたから行って』って電車に乗せられて。スタッフに対して『なんて冷たいんだ、人でなし』って思いました(笑)」と笑ってみせた。

MCから「撮影当時は清水シティホテルに宿泊されていたそうですが」と振られると、仲村は「いま清水シティホテルって言われて真っ先に思い出したのは、誰かの部屋に集まって『夜のヒットスタジオ』をみんなで観たことです。その回はホイットニー・ヒューストンが出ていて『Saving All My Love for You』っていうすごい素敵な歌を歌ってました。それを聴きながら、自分が俳優になったという自覚すら大してなかった時期ですけど、『映画の撮影で清水に来て、ホテルでホイットニー・ヒューストンの歌を聴いてるなんて、夢のようだな』と思った記憶があります(笑)。昭和60年の8月までは東京の御徒町の本屋さんでバイトしていた普通の大学生だったので。楽しかったです、撮影が」と懐かしむ。

「ビーバップ」1・2作目で共演した中山美穂との思い出について聞かれると、仲村は「最後に会ったのは、2016年に美穂ちゃんが下北沢の本多劇場で『魔術』というお芝居に出演しているのを観に行って楽屋を訪ねたとき。その前の年に僕が出演した野田秀樹さんの『エッグ』という芝居の、パリ公演の千秋楽を美穂ちゃんが観に来てくれて、楽屋に美穂ちゃんもいて少しお話ししました。翌年、下北沢の楽屋で話したときに僕が『パリもお似合いですけど下北沢もお似合いですね』ってちょっとふざけて言ったんですけど、後日、『チーム・バチスタの栄光』っていうドラマのプロデューサーの方から『美穂ちゃんが、トオルさんにこう言われたってうれしそうにしてたよ』って言ってくれて。僕もうれしかったですし、その冗談めいたコメントに喜んでくれた笑顔が思い出されて。その笑顔のままで止まっているというか、生き続けてるという感じですね」と述べた。

左から瀬木一将、仲村トオル、多加野詩子

左から瀬木一将、仲村トオル、多加野詩子 [高画質で見る]

続いては、仲村が映画のオーディション合格後、高瀬道場でアクションの練習をしていた頃の話題に。当時の彼の印象を多加野は「東京の御徒町でバイトしている青年にしか見えなかったです(笑)。オーディションで受かった不良たちが全員、1カ月ぐらい合宿してたんですよ。その中でまったく違うタイプの方がいらっしゃったのでびっくりしました」と振り返り、瀬木も「原作のマンガを読んでたんで、初めて会ったときには『これでいいのか?』って(笑)」と続いた。多加野は「クランクインの初日か2日目の日に現場に行ったんです。そしたら仲村さんが現場で髪を整えて、学ランを着て現れて、その瞬間に、これはスターだと思いました。高瀬と一緒に見たんですけど、『この映画は当たる』と言っていたのが記憶にあります」とフォロー。瀬木も「撮影を重ねてだんだんトオルになっていくんですけど、ラッシュを観たときに『スターになる』って思いました。食堂の前で『封切りになったらもう一緒に歩けない』って言ったよね?」と聞くが、仲村は「そんなことまで言ってくださいました? すみません、忘れてました」と笑った。

ここからはシリーズ全6作を振り返るパートに。またも1作目「ビー・バップ・ハイスクール」の電車のシーンの話題になると、仲村は「あのときは全スタッフとキャスト、緊張と興奮が入り混じったすごいテンションの中で撮影していた。僕としてもあれは撮影の前半だから、俳優業が始まって1週間とか。役者って、映画って、とてつもなく自由なんだな、走ってる電車から人を蹴り落とすまで自由があるんだなという開放感の中にありました。静岡鉄道さんが許してくださったからだとは思うんですけど」と述懐した。5作目の「ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎音頭」では、群馬・高崎の廃墟ビルをショッピングモール風に飾り、撮影が行われた。仲村は「何日も撮影していたら地元の不良が集まり始めて、何日目かには撮影後にビルの周りを囲まれていて、屈強なスタッフと一緒にワンボックスカーに乗って『何かあったら俺たちが守るから』みたいな状態でロケ現場から帰ったのを覚えています」とインパクトのあるエピソードを披露した。

そしてシリーズ全6作を監督した那須博之の演出については、仲村は「テストは10回、20回が当たり前、本番も10回、15回が当たり前で。何作目か忘れたけど(大前)均太郎がNGを42回出して、深夜3時過ぎまで撮影して、その日はOK出ないまま終わったこともあるし、あれほど粘り強く追い詰めることによって力を出させるという意味では最強で……最高で最悪でしたね(笑)」と笑いながら振り返る。多加野も「監督は出会った中で最強でしたね。人の言うことは気にしない。誰かが怒っても関係ない、すごかったね(笑)」、瀬木も「同感です。僕は『ビーバップ』の前にも何回か一緒になったことあるけど、あの粘りというか……。20回撮影して『何番目の芝居がよかった』とか言う。トオルさんとか(清水)宏次朗さんならまだいいんだけど、(オーディションで集まった)普通の不良に言ってもわかんないよね(笑)」と続けた。

イベントの最後には、仲村が改めて「ビー・バップ・ハイスクール」について「間違いなく自分の人生を良いほうに劇的に変えてくれた作品ですし、あれだけの撮影を許してくれた清水の皆さん、いろんな方々のおかげでヒットして、今日まで生きながらえることができたという意味では大感謝。すごく大切な映画です」と感謝。多加野は「当時スタントウーマンってほぼいなかったんですよ。女の人の(アクションの)吹替は、小さな男の人がやるみたいな感じで。たまたま私は『ビーバップ』の1本目とか2本目に出てるんですけど。トオルさんと同じで、私もこの作品に出会ってなかったら今この仕事はやってないなって感じはします」、瀬木も「那須組をやったら、全然ほかの組は怖くないので助かりました(笑)。そのおかげで40年間ほかの現場を乗り切ってこれたのかなと思います」と振り返り、イベントは幕を閉じた。

「ビー・バップ・ハイスクール」全6作のソフビ付き4KレストアBlu-rayの予約は、東映ビデオオンラインショップで受付中。この舞台挨拶とオープニングセレモニーの様子は、2作目「ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎哀歌」の4KレストアBlu-rayに特典映像として収録される予定だ。

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