映画「
本作は、周囲になじめず転校を繰り返してきた杏菜を主人公とする“ファントムファンタジー”。静かな森の奥にある全寮制の女子校に転校した杏菜は、その寄宿舎でルームメイトの莉花と出会う。美しく、完璧で、誰からも好かれる莉花だが、間もなく屋上から身を投げ、自ら命を絶った。残されたのは、莉花の笑顔の裏に潜んでいた苦悩、怒り、痛み、そして幼なじみである栞との記憶や、言葉にできない“ある思い”をつづった日記。それを読み進めていくと、青白く揺れる鬼火のような莉花の“魂”が現れ、杏菜は静かに侵食されていく。主人公の杏菜を美絽が演じ、莉花の幼なじみ・栞役で池端杏慈、莉花役で蒼戸虹子が出演。映画「21世紀の女の子」の1編「reborn」などで知られる坂本が、長編監督デビューを果たした。
坂本は「日本での初めての上映です。感じてもらえるものがあるといいなと思っています」と挨拶し、「アイデアを考えるとき、こういうことが映画で起こったら面白いだろうなというところからスタートすることがあります。この映画もまさにそうでした。こういう場面があったらいいなと思ったものを映しました」と語る。またファンタジーやホラー要素を持つ本作のどんなところに注目してほしいかを問われると「頭で考えながら観てもらうより、感じてもらうことが重要な映画だと思っています。自分の感情と感覚で観てもらえたら」と伝えた。
オーディションで杏菜役を射止めた美絽は「杏菜と自分の共通する部分を探しながら役作りをしました。演じていて、自分じゃない人生を歩めるのが楽しかったです」と笑みをこぼし、「難しいと感じたのは、“杏菜”と“莉花の魂が入った杏菜”を演じ分けることでした」と回想。そんな彼女を起用した理由について、坂本は「オーディションでお母さんと喧嘩するシーンを演じてもらったんですが、パッションが見えたというか。美絽さんから、本当にお母さんとぶつかろうという姿勢が見えたのが決め手でした」と言及した。
劇中のダンスシーンに話が及ぶと、美絽は「初めてダンスをやったので、難しくて大変でした。撮影前に半年間ダンスのレッスンを受けてがんばったので、ダンスシーンは観てほしいところです。あとは、監督から『呼吸を意識してほしい』と言われて意識したので、呼吸音にも注目してほしいです」とはにかむ。坂本も美絽とともにダンスレッスンを受けたそうで「コミュニケーションを取りたかったんです。キャストは未成年が多く、21時までには撮影を終わらせなければいけない。だから、事前に関係を作っておきたかったんです」と意図を明かした。
最後に坂本は「今日は代表としてここに立ってはいますが、この映画はスタッフの職人的で献身的な仕事によって、なんとかできた作品です。みんなの思いが皆さんに届けばいいなと思っています」と語りかける。そして美絽は「少女たちの葛藤や悩み、心情の変化を精細に描いています。そこから何か感じてもらえたらうれしいです」と呼びかけた。
坂本が脚本・編集も担った「白の花実」はビターズ・エンド配給のもと、12月26日より東京・新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国で順次公開。
映画「白の花実」予告編
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おおとも ひさし @tekuriha
坂本悠花里「白の花実」日本初上映、美絽「少女の心情変化から何か感じてもらえたら」 - 映画ナタリー
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