1977年に製作された本作は、炭鉱の町を舞台にした社会派ドラマ。イギリス皇太子の視察訪問に右往左往する人々をコメディ調で描く第1部、労働者の人権軽視と管理体制のずさんさが引き起こす事故の悲劇が淡々と映し出される第2部で構成されている。
呉は「ケン・ローチ監督は私を裏切らない! 新作が公開されるたび劇場に通い続けてきた。まるで自分もそこに居るかのように市井の人々の悲喜交々を味わえ、観終わった後はギュッと映画を抱きしめたくなる」とつづった。また演出家の
「石炭の値打ち」はスモモ配給のもと、11月14日より東京・Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国で順次公開。バリー・ハインズが脚本を手がけた。
映画「石炭の値打ち」予告編
呉美保(映画監督)コメント
ケン・ローチ監督は私を裏切らない!
新作が公開されるたび劇場に通い続けてきた。まるで自分もそこに居るかのように市井の人々の悲喜交々を味わえ、観終わった後はギュッと映画を抱きしめたくなる。人生における明と暗の瞬間が違和感なく描かれたこの2本のことは、これから先、映画作りの途中途中で、必ず思い出すだろう。
大谷賢治郎(演出家)コメント
こんな幻の傑作があったとは。「怒り」を原動力に「声なき声」に耳を傾けるケン・ローチ監督の真骨頂。淡々と描かれる家族の日常ゆえに心が抉られる結末がいつまでも心に残ります。今日本で公開される意義を強く感じます。
岡俊彦(サム・フリークス主催者)コメント
ケン・ローチのルーツ回帰かつ「全部乗せ」な大傑作!
はみ出し者映画の特集イベント「サム・フリークス」での上映がきっかけとなって劇場公開に結実し、主催者の私としても感無量! 幻の名作がついによみがえる!
河野真太郎(専修大学教授)コメント
「ケス」の原作・脚本のバリー・ハインズとタッグを再結成したケン・ローチの幻の傑作は、人びとの生活を支える石炭の値打ち/代償(プライス)を誰が支払っているのかを重く問いかける。これは遠い時代の遠い国の話ではない。必見。
西口想(文筆家・労働団体職員)コメント
登場人物とともにミルトン炭鉱で過ごしたかのような、忘れがたい鑑賞体験だった。
いまの職場、働き方とはなにが変わり、なにが変わっていないのか。
この作品は半世紀後の労働者に贈られたギフトであり、警句であり、詩である。
ピーター・バラカン(ブロードキャスター)コメント
ぼくが日本に来た1970年代、全く紹介されていなかったイングランド北部の労働者階級、具体的には炭鉱労働者の現実がそのまま描かれています。ロンドン育ちのぼくもほとんど外国のように感じる時があり、字幕を追わないと聞き取れないヨークシャー訛りが強い!
矢田部吉彦(前東京国際映画祭ディレクター)コメント
苦境にある弱者たちに寄り添い続けたケン・ローチのルーツを見た。物語がヘヴィーであっても、いとも鮮やかに惹き込まれる脚本と演出の技術が既に確立されていることにも驚く。ユーモアには反骨スピリッツが、そしてシリアスには愛情が注がれ、名匠への道は既にここから始まっていたのだ。
ケン・ローチの映画作品
リンク
まっどしん @madsin009
これは観ないとな https://t.co/01iaEOnNNE