ドラマが数本できるほど濃い人生、ケイト・ウィンスレットが「リー・ミラー」秘話を明かす

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映画「リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界」より、主演・製作総指揮を担ったケイト・ウィンスレットのインタビュー映像が到着。YouTubeで公開された。

「リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界」場面写真

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「リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界」場面写真

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同作は、ファッションモデルから20世紀を代表する報道写真家へと転身したリー・ミラーの実話をもとにした物語。強い使命を持って戦争の最前線を駆け抜けたミラーの姿が切り取られる。これが長編デビュー作のエレン・クラスが監督を務めた。

「リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界」場面写真

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ウィンスレットは「ドラマが数本できるくらいの濃い人生を歩んでいる」「ル・コルドン・ブルーのシェフになり、美容整形もして、自己改革をしていた」と、挑戦と変化に富んだミラーの生涯に触れる。映画化にあたっては「リー・ミラーを飾るだけの物語はすべて省こう」と考えていたといい、「真実だけをもとに人物像を映し出し、女性としての真の姿を見せたかった。つまり第2次世界大戦で、戦争報道記者として活躍したリーの姿を」とも語った。

なお生前のミラーは息子に戦争写真家であったことを明かさず、屋根裏部屋に4万枚の報道写真をしまい込んでいた。ウィンスレットは「兵士や写真家、そして記者が経験したであろう悲惨な光景が、すべて箱にしまわれていた。リーは隠していたの。(息子の)アントニーは母の真実を亡くなったあとに箱の中で見つけた」と言及している。

なお、写真家の長島有里枝をはじめとする著名人から感想コメントが到着した。全文は以下に掲載する。

「リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界」入場者プレゼントとして配布される、オリジナルステッカーのビジュアル

「リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界」入場者プレゼントとして配布される、オリジナルステッカーのビジュアル[拡大]

「リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界」は、明日5月9日より東京・TOHOシネマズ シャンテほか全国でロードショー。一部を除く上映劇場では、入場者にオリジナルステッカーがプレゼントされる。

映画「リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界」ケイト・ウィンスレット インタビュー映像(制作秘話)

映画作品情報

町山智浩(映画評論家)コメント

「シビル・ウォー アメリカ最後の日」でキルステン・ダンストが演じた戦場カメラマンのモデルがこのリー・ミラー。彼女の実人生はどんな映画よりも波乱万丈だ。19歳の頃、ニューヨークの街角でスカウトされていきなりVOGUE誌のファッション・モデルになり、パリに渡ってヌード写真をマン・レイと共作し、シュールレアリスムのミューズと崇められ、第二次大戦では従軍カメラマンとして最前線を駆け抜け、世界で初めてホロコーストの惨状を暴く……。だが、リーは過去を語ろうとしなかった。その凄まじい経験をこの映画で目撃する!

田島陽子(英文学・女性学研究者/元法政大学教授/元参議院議員)コメント

リー・ミラーは初志を貫き、フォトグラファーとして素晴らしい仕事をした。彼女がレンズを通して見た世界は、人類の敵はナチス。そして、女性の敵は男性を中心として回る、この世界だった。それは今でも変わらない。 

伊藤亜和(文筆家)コメント

映画はモデルとしてのキャリアを終え、写真家としての人生を歩み始めたリーの姿から始まる。私が今まさに進むべきところを探している、身体の最も美しい頃を終えたあとの人生についてだ。見えない誰かに、なにか“ツケ”を払わせられているような、汗水を流してした仕事が軽んじられているような感覚がいつもしている。多かれ少なかれ、女が社会に背負わされるこの呪い。戦場を走るリーの身体を掠める弾丸が、私にはそれと同じように見えた。ひたすらに事実だけを追いかけた彼女の仕事が紛れもない偉業であったことを、決してドラマティックではないこの映画の重厚さが証明する。使命を背負って走る姿は、こんなにも美しいのだ。

長島有里枝(写真家)コメント

リー・ミラーは、マン・レイのミューズではなく写真家だった。南仏で友人たちとヴァカンスを過ごす彼女は、ヒトラーのニュースを恐れつつもアートで世界は変えられると信じていた。同じように信じる自分に戸惑い、それって体のよい言い訳じゃないのかと自問する。
世界はいま、彼女が生きた時代に少し似ている。写真家として彼女のようにはきっとできない。でも、考えるのを諦めない彼女の勇気を持つ人でありたいと思う。

ISO(ライター)コメント

男たちが始めた戦争で女たちは悲劇に見舞われ、さらには女の手で戦争の真実を世界に届けることすら阻まれる。ミラーはそんな男社会と戦場、ふたつの場所で戦わなければならなかった。そこで自身も傷だらけになりながら、戦禍とゼロ距離で向き合い続けたからこそ撮ることができた市井の人々の凄惨な痛み。戦争とは何かを忘れないために世界はそれを目に焼き付けるべきだった。
この映画はあまりに長いあいだ見過ごされてきた彼女の偉業を、人々の心に刻み直す記念碑となることだろう。

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tAk @mifu75

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