坂上泉による小説「渚の螢火」をもとにした本作の舞台は、本土復帰を間近に控えた1972年の沖縄。100万ドルの米ドル札を積んだ現金輸送車が襲われ、行方を絶ったことから物語が展開される。円ドル交換が完全な形で遂行できなければ日米外交紛争に発展しかねないと考えた琉球警察は、この事件を秘密裏に解決する特別捜査班を編成。班長に任命された刑事・真栄田太一や、同級生でありながら彼をライバル視する捜査一課の与那覇をはじめとする5人のメンバーは、18日間というタイムリミットの中で沖縄財界や地元ギャング、米軍関係者を巻き込みながら捜査を進めるのだった。
高橋が演じる石垣島出身の真栄田は、東京の大学に進学したのち琉球警察に入署したエリート。地元の署員からは“ないちゃー(本土の人間)”と揶揄され、自分は何者なのかとアイデンティティを問い続けているキャラクターだ。高橋は「本作に描かれているのは、忘れてはいけないこと、残していかなければならない歴史的背景だと思います。お芝居を通して、自分自身がこの歴史を学び直すきっかけになりました」と述べている。
監督は「愛を乞うひと」「閉鎖病棟─それぞれの朝─」の
連続ドラマW 1972 渚の螢火
WOWOWプライム・WOWOWオンデマンド 2025年秋 放送・配信スタート
※全5話
※第1話無料放送
高橋一生 コメント
オファーがあった際の印象・脚本に関して
本作のお話を頂いたときに、実話ベースの物語でも娯楽作品として作り上げることはできるのではないかと感じました。僕は、フィクションは徹底してエンタテイメントであるべきだと常々思っているのですが、ただ楽しめるということだけではなく、その物語が深く見ている人にしみ込んでいくということは可能なんじゃないかなと、望みを見出していました。
本作に描かれているのは、忘れてはいけないこと、残していかなければならない歴史的背景だと思います。お芝居を通して、自分自身がこの歴史を学び直すきっかけになりました。
撮影を終えて感じたこと・真栄田のキャラクターに関して
とにかく密度が高い撮影でした。毎日時間が溶けていくようだと感じていました。気づいたら、「こんなに撮っていたっけ?」という感じで、とても充実していたと思います。
僕が演じる真栄田は、自分がどこで生まれ、自分がどのように社会や風土になじんでいくのか、自分はどうあるべきか、とアイデンティティを問い続けているキャラクターです。
撮影を終えて、本作に携わる皆さんが僕の真栄田というキャラクターを形作ってくれたと実感しています。共演者の皆さん、平山監督をはじめ、スタッフの皆さんが僕を真栄田として見てくださってとても助かりました。
そして、真栄田が所属する本土復帰特別対策室を語るうえで欠かせない存在が、真栄田と双璧をなす刑事・与那覇です。二人は同い年で、真栄田が八重山諸島出身であるのに対し、与那覇は沖縄本島出身。真栄田も熱いが、彼も熱い男で、二人はぶつかり合います。内燃している器官は一緒だけれど、出力の仕方が違うという差異を上手く出せたと思いますので、是非二人の掛け合いにも注目していただければと思います。
視聴者へのメッセージ
歴史的背景がわからないという方にもクライムサスペンスとして楽しんでいただくことができる作品だと思います。そして、自分がどこで生まれたかによってその人の人生が最初から決まってしまいかねないレールが存在している、ということにも着目していただきたいです。それぞれのキャラクターが浮き立ってみえると思います。
僕は、本作に登場するキャラクターに悪人はおらず、社会に捻じ曲げられてしまった人々の物語として捉えています。どの人物もそうなってしまった理由があり、純粋悪ではなく、風土、国の背景、出自の違いなどで、こんなにも変わってしまうのかということを本作は問いている。そういった点も感じて頂ければと思います。
坂上泉 コメント
映像化が決まった際の気持ち
小説家デビュー以来「エラいことになった」の連続ですが、その中でもとびきりの「エラいこっちゃ」です。半世紀前の米軍占領下の沖縄を、実写映像で再現しようとする猛者がいるとは……。
視聴者へのメッセージ
戦後80年、沖縄の本土復帰も半世紀以上前になるなか、不条理と怒りと情熱に満ちた時代を知る人は少なくなりました。その時代を生きた方々への敬意を、小説から映像化を通じて、より多くの皆様にお届けできるのであれば、望外の幸せです。
てれびのスキマ/戸部田 誠 @u5u
高橋一生が琉球警察のエリート役で主演、坂上泉の「渚の螢火」WOWOWでドラマ化 - 映画ナタリー https://t.co/vHUWIlE12g
“監督は「愛を乞うひと」「閉鎖病棟─それぞれの朝─」の平山秀幸が務め、脚本は「最初の晩餐」の常盤司郎と、「リトルウィング ~3月の子供たち~」の倉田健次が執筆”