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同作は「鉱 ARAGANE」「セノーテ」を手がけた小田が、日本の“地下世界”にカメラを向けた作品。映画作家・ダンサーの吉開が、ある女の姿を借りた「シャドウ(影)」という存在を演じている。
第75回ベルリン国際映画祭のフォーラム部門に出品された「Underground アンダーグラウンド」。現地に赴いた吉開は「一言では語れないくらいいろいろな景色を見ました。上映会での小田さんが立派で、Q&Aでも実るものがあったと思います。私たちの前に座っていたマダムが、上映後にゆっくりと振り返って拍手してくれたことが印象に残っています」と語る。小田は「ベルリンのお客さんと対話することもできてよかった。映画祭独特の突飛な質問はなかったですが(笑)、劇中の音に関する質問は多かったですね」と充実した様子だった。
MCから役作りについて質問が及ぶと、吉開は「小田さんが演出をシンプルに伝えてくれた。(共演の)松永光雄さんとはしゃべりではなく、グルーヴを一緒に共有することを大切にしました。同じ時間を過ごすことで、何か溜まっていくものがあった。それがあったからこそ、シャドウとしての動きができたんだと思います」と振り返る。小田は「この映画では大きなタイムスパンの記憶を扱いたくて、そこに通底する集団的な記憶にアプローチする役割をシャドウに与えました」と述懐した。
小田が地下世界を撮るのは今作で3度目。地下世界にこだわる理由について問われると、小田は「地下に惹かれるというよりは、自分たちが無意識に持っている集団的な記憶にアプローチしたいと思っているから。自分の体が物理的に地下に降りることによって、その概念的な何かをつかめないかという気持ちがあります」と明かした。最後に吉開は「ここから『Underground アンダーグラウンド』の輪が広がっていったらうれしい」とメッセージを送る。小田は「16mmフィルムで撮影したり、今回たくさんの新しいことに挑戦しました。何の制限もなく、3年間自由にやらせてくれた制作陣にお礼を言いたい」と伝えた。
「Underground アンダーグラウンド」は全国で順次上映中。
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「アンダーグラウンド」小田香が“地下世界”にこだわる理由明かす、吉開菜央と初日舞台挨拶に登壇
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