木村拓哉が“平凡な”タクシー運転手に、山田洋次は「素顔を盗みとるように撮りたい」

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松竹創業130周年を記念した映画「TOKYOタクシー」の製作発表記者会見が本日1月23日に東京都内で行われ、監督を務める山田洋次、キャストの倍賞千恵子木村拓哉が出席した。

「TOKYOタクシー」製作発表記者会見の様子。左から倍賞千恵子、山田洋次、木村拓哉

「TOKYOタクシー」製作発表記者会見の様子。左から倍賞千恵子、山田洋次、木村拓哉

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本作は冴えない日々を送るタクシー運転手の宇佐美浩二が、ある日、85歳の高野すみれを東京の柴又から、神奈川の葉山にある高齢者施設まで送ることになる物語。すみれは浩二に、いくつかの寄り道を依頼する。次第に心を許したすみれは、自らの壮絶な過去を語り始め、偶然出会った2人の人生は大きく動いていく。刻々と変化する大都市・東京を舞台に人生の喜びをうたい上げる物語になるという。原作は2023年4月に公開されたフランス映画「パリタクシー」。

山田洋次

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製作発表は、松竹創業130周年記念のラインナップ発表会の中で行われた。現在93歳の山田は「クランクインを間近に控えておりますので、そういうときの監督は落ち着かないと言いますかね。ゲートインした馬みたいなもので、ソワソワソワソワしております」と挨拶。倍賞は130周年を迎えた松竹に祝いの言葉を送りつつ、「大好きな木村拓哉くんと一緒にお仕事できるのがすごくうれしい。すごく変わったおばあちゃんの役なんです。楽しみにしています」と話した。

倍賞千恵子

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倍賞と木村の共演は、2004年公開の「ハウルの動く城」以来。倍賞は「アニメーションは1人でアフレコするんです。ずっと1人だから、つまんないなと思ったんですよ(笑)。木村拓哉さんがお相手なのに一度も会ってなかった」と当時を振り返っていく。その後、プロデューサーの図らいで一緒にアフレコできることになったそうで「ジーパンに真っ白なYシャツ姿で階段をタタタッって上がってきて、『うわあ、かっこいいなあ!』と思ったんです。今もそのかっこよさは変わらない。待ち時間にふっと見たら、眼鏡をかけてホンをじっと見ている姿がとても印象的で、こんなに“静か”で素敵な人なんだと感動しました」と明かす。

一方の木村は、倍賞の印象を「長きにわたって山田組に咲き続けているお花だと思っています。今回の現場でどうやって咲き続けてくださるのか、僕はそばで拝見させていただこうかと思ってます」と話しつつ、「あと(今回の)現場でも静かにしてます」と応じて笑いを誘う。倍賞演じる女性のすみれという名前について、山田が「すみれは可憐な花のイメージ。彼女はその重い重い人生と対照的な名前にしたいと思って、すみれにしました」と語る一幕も。

左から倍賞千恵子、山田洋次

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倍賞は、自身の役を「柴又から始まるんですけど、ものすごく嫌なおばあさんなんです。けっこう辛辣なことを木村くんに言う。柴又でこういうセリフ、私には似合わないなと思いながらも、衣装を着て、髪型やネイルを作っていくうちに、セリフを言える気がだんだんとしてくる。そんな自分がふと楽しく思えてくるんです」と紹介。山田も「あなたが嫌な“ババア”で、木村くんの運転手が『いやかなわないな、このクソババア!』と思ってるところから、この映画は始まる」と付け加え、倍賞も「本当に最初は“クソババア”って顔してるんですよね。でも木村くんの横顔を見ながら、この人ならこのセリフも言っていいやと思えるんです」と明かした。

木村拓哉

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木村が山田組に参加するのは「武士の一分」以来19年ぶり。今回の参加に「なんの迷いもなかった」と述べつつ、その現場の印象を「緊張感はあるんですけど、現場は温かい。監督は登場人物たちの心の流れや抑揚を本当に丁寧に導いてくれる。またあの時間を過ごせると思うと、すごく楽しみでしょうがないです」と話す。すでにカメラテストなどは行われており、木村は「監督は現場でステッキをお持ちになってるんですけど、ずっと見てると、そのステッキが浮いてる。ステッキの先が地面に付いてない。現場に入ると、それぐらい違うスイッチが入ってる」と打ち明けた。

山田は、木村との現場に向けて「できたら、ほかの作品であまり見ることができないような彼の優しい面、温かい面をふっと盗みとりたい。今までにない、木村拓哉くん。運転手さんは平凡な職業で、この人(宇佐美浩二)も特別な人じゃない。娘が1人いて、恋女房がいて、小さな家に帰ってくる。木村拓哉くんが日々を大事に生きてる平凡な人になって、人に見せない素顔みたいなものが出てくると、とても魅力的だなと思う。それは素顔の彼に接しながら、僕が感じ取ること。盗みとるように撮りたい気持ちがあります」と期待した。

左から倍賞千恵子、山田洋次、木村拓哉

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木村も「昨年末から違う作品の番宣でバラエティ番組に参加していて、その中で一般の方とお話するときの自分の素の部分を、監督が観てくださったらしく、『素晴らしかったよ。ああいう木村くんがいいんだよなあ』と言っていただいて」と述懐。さらに「監督が魅力的だとおっしゃってくれた自分をいい形で投影できたらと思っています。個人タクシーの運転手の役は今まで経験したことがない。この役をいただいてから、休憩中のタクシードライバーの皆さんに意識が行くようになっています」と語った。

映画「TOKYOタクシー」は11月21日に全国で公開。

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🍀なつ🍀Captain Takuya's crew @saekinatsu2

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