松本千秋が加藤拓也の新作「ほつれる」考察、SYO「恋愛の正義・価値観が暴かれる」

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ほつれる」のトークショー付き試写会イベントが8月24日に行われ、マンガ家の松本千秋と映画ライターのSYOが登壇した。

左からSYO、松本千秋。

左からSYO、松本千秋。

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加藤拓也が監督を務める本作は夫との関係が冷え切り、知り合った男性と頻繁に会うようになった女性・綿子を主人公とした物語。しかし恋人の木村は事故で帰らぬ人となってしまい、綿子は変わらぬ日常を過ごしながら、夫や周囲の人々、そして自分自身と向き合っていく。綿子を門脇麦、綿子の夫・文則を田村健太郎、綿子の親友・英梨を黒木華、木村を染谷将太が演じた。

松本千秋

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松本は「主人公の綿子が何を考えていたんだろうと謎に包まれたまま観終えたのが、初めて観たときの感想で、今皆さんがそういう状態なんだと思います(笑)。でも2回、3回と観返すことでいろいろなセリフのつながりに気付かされた」と口にする。SYOは「常に繕ったり仮面を着けたり、虚飾がだんだん剥がれていく主人公が面白い。共感するよりもむしろ“箱庭”を見ている感じ」と語った。

SYO

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綿子と文則の冷めきった夫婦関係について松本は「文則への愛が冷めていても、綿子に今の恵まれた生活を捨てるのはちょっと……と思わせる部屋で、文則はその部分を強みに変えることで、俺といればもっといい生活が送れるということを暗に匂わせている」と話し、「離婚しないように綿子にグレードアップした生活を提示することで、綿子に決断を急かしていたんだと思いました」と考察。SYOは「誰に焦点を当てるかで印象がかなり変わるし、俯瞰で見てそれぞれの思惑を推測して楽しむという、若干ホラー的でもある」と評した。

また松本は「私自身だって自分が誰のことが好きで、誰のことがまだ好きか、この人のことをまだ嫌いなのかどうか、わからないことがよくある。文則から『君はどう思っているの?』と聞かれても、言わないのではなく、“私も知らない”んだと思う。綿子も文則が好きなのか? 愛していたのか? 何回も考えていたんだと思う」と私見を伝える。

左からSYO、松本千秋。

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最後に松本は「1回観るより、繰り返し観てどんどんわかっていく作品。考察しがいのある映画なので、また違った方向から観てもらいたいです」、SYOは「観た人同士で話しが弾む映画。自分が思っている恋愛の正義・価値観が暴かれてしまう映画なので、この人と今後お付き合いしていきたいと思える人と観て判断材料にするのもいい」と呼びかけイベントを締めた。

「ほつれる」は、9月8日より東京・新宿ピカデリーほか全国でロードショー。

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(c)2023「ほつれる」製作委員会&COMME DES CINÉMAS

映画「ほつれる」予告編

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松本千秋 @imakarahima

映画ナタリーさんに自分載ってるの嬉しいわぁ https://t.co/WwrisNfUbT

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