映画「
本作は、夫・文則との関係が冷え切り、知り合った男性と頻繁に会うようになった綿子を主人公とした物語。恋人の木村は事故で帰らぬ人となってしまい、綿子は変わらぬ日常を過ごしながら、夫や周囲の人々、そして自分自身と向き合っていく。綿子を門脇、文則を田村、木村を染谷が演じた。
加藤はキャスティングの理由について「役によりけりではあるんですが、この人“町中にいるな”と思ってもらえたらいいなと考えながら、僕は脚本を書いています。いい意味で匿名性がある俳優さんにお願いしたいと思ってキャスティングしました」と振り返る。そんな加藤が手がけた脚本について門脇が「最初に読んだときにあまりにも面白すぎて、綿子のことは考えなかったんです。その後、2週間リハーサルがあったんですけど、そのときに綿子ってひどくないですか?と気付き始めて。私、綿子は好きじゃないかもしれないって。なんでたむけんさん(文則)にこんなこと言うんですか?と思いました」と語ると、田村は「そうそう、ぶつぶつ言ってました(笑)」「家のシーンが多かったんですが、息が詰まりましたね。綿子が冷たいんですよ。文則は『なんだよ!』と言うわけにもいかないし、どう接したらいいかわからない。だからどこか内心テンパっていました」と述懐。また田村は「文則はああいうふうに切り取られているだけ。映画は綿子カメラで追っているけど、文則カメラで追ったら全然違う印象になると思います」と分析した。
「漂流していて、風のような人というイメージ」と演じた木村を表現した染谷は「一緒にいると居心地がいいけど、いざいなくなるとあの人ってなんだったんだろう?って思わなきゃいけなくなる。そんな存在でいたいと思って演じていました」と回想し、「監督が明確に演出してくださるので、自分が楽器になったような気分でした。書かれたセリフを演出の通りに口にすると役ができあがっていく。楽しい感覚でした」と述べる。門脇が染谷との撮影を思い返し「綿子と木村のシーンはファンタジーのような気持ちでやっていました」「文則とのシーンで綿子が笑っているところあったっけ?」と言うと、加藤は「あるある! 足の臭い嗅いでいるところ!」と声をかけ会場に笑いを起こした。
イベント中盤には登壇者が本作のタイトルにちなみ“ほつれたエピソード”をトークする場面も。門脇は「よく釣りに行くんですけど、魚をさばくときにシンクに鱗が飛んで大変なんです。でもビニールの中でやると飛び散らなくていいと知って。ほつれました(笑)」と報告する、田村は「先月3年ぶりに、関係のよくなかった友達に会ったんです。会ってみたら仲良くできた。時間が経つと物事がほつれていくことがあるなと思いました」とコメント。染谷は「肉を煮込んでいるときにコクを出したくて、みりんを入れたんです。でもじゃぶじゃぶ入れてもスースーする。1本使い切ったときに、赤酢だ!って気付いて。ほつれました」と笑う。続く加藤は「妹が結婚したらしいんです。連絡先知らなくて、母親から報告を受けました」と話すと、キャストはすかさず「それほつれてないよね?(笑)」とツッコミを入れた。
最後に加藤は「いろんな映画があると思いますが、僕はこういう作品が好きで作っています。たくさんの人に観てもらえたら」と伝え、染谷は「主人公の口数が少ないのに、こんなに激しい映画は初めてです。会話のアクション映画じゃないですけど、たくさん胸に刺さってくる作品。劇場で味わってほしいです」とアピール。田村は「隅々まで行き渡った作品。劇場で、五感で感じてほしいです」と願い、門脇は「映画好きな方にとっては、今年外せない1本になったんではないかと思っています。昨今、わかりやすい作品が多い中、『ほつれる』のような映画を大きなスクリーンで公開できることがうれしいです」と喜び、イベントの幕を引いた。
「ほつれる」は全国で公開中。
映画「ほつれる」予告編
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