アイヌ民族の壮絶な歴史描く映画「カムイのうた」公開、主演は吉田美月喜

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アイヌ民族の壮絶な歴史を描いた映画「カムイのうた」の劇場公開が決定。Netfilixシリーズ「今際の国のアリス」や映画「あつい胸さわぎ」で知られる吉田美月喜が主演を務めた。文字を持たないアイヌに口伝えで伝承されてきた叙事詩・ユーカラを日本語に翻訳し「アイヌ神謡集」として後世に残した実在の人物・知里幸恵の実話を紡ぐ。

映画「カムイのうた」キャスト陣。上段左から吉田美月喜、望月歩。下段左から島田歌穂、清水美砂、加藤雅也。

映画「カムイのうた」キャスト陣。上段左から吉田美月喜、望月歩。下段左から島田歌穂、清水美砂、加藤雅也。

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北海道をはじめとした日本列島北部周辺の先住民族として、厳しくも豊かな自然と共存し、独自の文化を築いてきたアイヌ。やがて和人(大和民族)によって差別と迫害の日々を余儀なくされ、生活の糧であった狩猟・サケ漁が禁止された。住んでいた土地を奪われ、アイヌ語が禁止され、「土人」と呼ばれ差別された歴史がある。

「カムイのうた」は、大正時代を舞台に、知里をモデルにした女性・北里テルを主人公にした物語だ。学業優秀なテルは女学校への進学を希望するが、アイヌというだけで結果は不合格。やがてアイヌとして初めて女子職業学校に入学するが、そこでも理不尽な差別といじめが待ち受けていた。ある日、東京から列車を乗り継ぎ、アイヌ語研究の第一人者である教授・兼田がテルの叔母イヌイェマツを訪ねて来る。叔母のユーカラに熱心に耳を傾ける兼田の「アイヌ民族であることを誇りに思ってください。あなた方は世界に類をみない唯一無二の民族だ」という言葉に心を強く打たれたテル。兼田はテルに自分の言葉でアイヌの文化を後世に伝えることを勧め、彼女はユーカラを文字に残すことに没頭する。やがて本格的な研究のため東京へ向かうが、再び北海道の地を踏むことが叶わない運命だった。

テルを演じた吉田は「辛い差別や迫害の中、素晴らしく尊いアイヌの文化が消えてしまうことがないように生涯をかけてユーカラを書き残したその姿は、私達が生きていく上で大きな希望となることだと思います。実際に日本で起きていた決して忘れてはいけない歴史の事実を、この映画を通して知っていただけるように精一杯演じさせていただきました」とコメント。またテルに思いを寄せるアイヌの青年・一三四(ひさし)に望月歩、叔母のイヌイェマツに島田歌穂、教授の兼田に加藤雅也、兼田の妻に清水美砂が扮している。各キャストによるコメントは下記の通り。

「ぼくらの七日間戦争」「写真甲子園 0.5秒の夏」の菅原浩志が監督を務めた「カムイのうた」は、11月に北海道で先行公開。トリプルアップが配給を担当する。

吉田美月喜 コメント

私が演じたテルは実在された知里幸恵さんをモデルとしたアイヌ民族の女性です。
辛い差別や迫害の中、素晴らしく尊いアイヌの文化が消えてしまうことがないように生涯をかけてユーカラを書き残したその姿は、私達が生きていく上で大きな希望となることだと思います。
実際に日本で起きていた決して忘れてはいけない歴史の事実を、この映画を通して知っていただけるように精一杯演じさせていただきました。

望月歩 コメント

一三四を演じさせていただきました望月歩です。
最初お話をいただいたときは、アイヌという言葉は知ってるけど詳しくはわからないという状態で、台本でこんなことがあったんだと驚きました。そこから色んなところに行ったり色んな方からお話を聞いたり、取材を通して作品への熱を高めていきました。この作品に関わる方々一人一人が熱量を出し合い出来上がった作品だと思います。是非、劇場で観ていただきたいです。

島田歌穂 コメント

私の父は北海道出身ですが、今回初めてアイヌの方々の悲惨な歴史に触れ、その中で大切に伝えられてきたユーカラを歌わせていただくことの重みに心が震える思いになりながらも精一杯歌わせていただきました。
アイヌ民族としての誇りを胸に、まさに生命を削りながら偉業を成し遂げた知里幸恵さんのことを一人でも多くの方に知っていただけますようにと願っています。

清水美砂 コメント

何故アイヌ民族の映画が出来ないの? 長年思っていた私のもとにまるで“必然の出会い”の様にこのお話を頂きました。
決して押しつけることなく実話を基に静かに語るこの作品はアイヌそのもの! 作品に参加出来たことを誇りに思います!
“守るべき民族” 今こそ気付きの時だと思うのです。皆さんはどう感じますでしょうか?

加藤雅也 コメント

私が演じた兼田教授という人物は、どんなことが起ころうとも、自分が信じたことは正しいという信念があり、物事をどんどん進めていく強烈なキャラクターです。私はこれまで冷静でクールなキャラクターを演じることが多かったのですが、本作では自分のペースに周りを巻き込んでいくという情熱的な人物をとても楽しく演じることができました。

※「ユーカラ」の「ラ」は小文字が正式表記

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読者の反応

縄文ZINE @jomonzine

金カムは創作のエンタメだけど、知里幸恵さんの映画を作るのであれば、知里幸恵さんの役はアイヌの俳優にやってもらいたかった。いや、そうでなければやるべきじゃないんじゃないかとも思う。もちろん知里幸恵さんのお話はもっと知ってほしいと思うので応援していますが。
https://t.co/ZceHjg5IVC

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