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本作は、モロッコの伝統衣装であるカフタン職人のハリム、余命わずかな妻ミナ、若い職人ユーセフが青いカフタン作りを通じて絆を深めていく物語。「モロッコ、彼女たちの朝」のトゥザニが監督・脚本を担い、
ミナを演じるアザバルは「モロッコ、彼女たちの朝」からの続投。そんな彼女についてトゥザニは「本作で演じてくれたミナは、夫のセクシュアリティというタブーをも呑み込んで生きる強い女性です。彼女ならミナを理解して演じ切ってくれると信じてオファーしました」と評価する。またミナは末期の乳がんという設定のため、アザバルはそれに合わせて体重を落として精神的に追い込まれていたが、同時期に彼女の父親が余命幾ばくもない状態であることが発覚。撮影の最終日を待っていたかのように亡くなったという。トゥザニは「ルブナは演じるミナの最期とお父様の最期を同時に経験するという、非常に苛酷な状況にいたのです。でも不思議なことに、ルブナは死に向かうミナを演じながら遠くにいるお父様に寄り添って旅をしているような、不思議なオーラに包まれていました」とエピソードを明かした。
ハリム役のバクリについては「脚本を読んですぐに、ハリムという人物を理解し、惚れ込んでしまったのです。清らかな心を持ち、世界に自分の美意識を伝えたいと日々努力をしてきたことを、サーレフは理解してくれました」とその感受性をたたえる。「同時に、ハリムが同性愛者を排斥する社会と宗教の中で誰にも言えない秘密と欲望をひた隠す二重生活と、父に否定され続けた悲しみを抱えているというダークな面も把握していました。自分を尊敬し支え、愛してくれるミナへの罪悪感もあります」と続けた。
ユーセフを演じた新人・ミシウィについては「彼は確かに肉体的に美しいのですが、心のありようも美しいのです。慎み深くて繊細で、ユーセフと重なる部分が多かったです」と述べるトゥザニ。また劇中、ユーセフがミナに濡れ衣を着せられながら、真実がわかっても彼女を責めないシーンがあるというが、その場面については「ミナと観客の心をゆっくりと変える大切な役割を、アイユーブは演じ切ってくれました」とコメントした。
「青いカフタンの仕立て屋」は6月16日に東京・ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国で公開。
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マリヤム・トゥザニ、監督作で難役を演じたルブナ・アザバルを称賛(コメントあり)
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