ドキュメンタリー「
動物愛護に関する国民の意識が高く、路上動物の殺処分や捕獲が違法とされているトルコ。本作では3匹の犬の視点から、イスタンブールの街を行き交う人々やさまざまな問題を抱える人間社会を見つめる。メイキング写真には自身も愛犬家の監督
ローは「寒い時期の早朝に、毎日毎日、重たい機材を背負って犬たちを追いかけるのは、大変な作業でしたが、山や街中で犬たちと一緒に過ごせたのは本当に素敵で、とても価値がある撮影だったと思っています」と振り返る。野良犬たちとの関わり合いについては「実際にトルコで野良犬たちに会うと、彼らは本当に社交的でした。私たちと同じくらいのエネルギーで迎えてくれるので、すぐに仲良くなれました。トルコの社会が彼らの様子に反映されていたと思います。人間のことを恐れない、そして親密になれるということは、長い間怖い思いをして来なかったということです。ひどい扱いを受けていたなら当然に人間を怖がるでしょう」と分析。撮影時は犬の聴いている会話を拾うためスタッフが双方向マイクで音を録音し、毎晩の撮影終わりにはペット追跡用のGPS首輪を犬に装着して、次の日も彼らの居場所がわかるようにしたという。
また本作では犬たちの世界を視覚的、聴覚的に再構成すべく「リヴァイアサン」「モンタナ 最後のカウボーイ」などのサウンドデザイナーであるアーンスト・カレルがサウンドデザイン設計を行った。ともに作業したローは「犬は人間よりも高い周波数の音を聴くことができると言われているため、周波数をいじって、犬がどんなものを聴いているのか再現しようとしました。犬たちが骨の奪い合いで喧嘩する場面や、公園でゼイティンがほかの犬と会うシーンでは、急に周りの音が消えますが、一方で鳥のさえずりや小枝が折れる音は大きく聴こえます。これは私たちが“ドッグマインド”と呼んでいる、犬の頭の中に観客を連れて行こうという試みです」と説明。「人間の聴覚レベルに合わせてしまうとブレてしまうので、慎重に調整しました」と多種多様な音に満ちた本作のこだわりを明かした。
「ストレイ 犬が見た世界」は3月18日より東京・ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国で順次ロードショー。
映画ナタリー @eiga_natalie
犬目線で撮影したドキュメンタリーの撮影風景、“犬の聴覚”を表現した音のこだわりも(監督コメントあり)
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