東京フィルメックス、36作品のラインナップ発表 メイン会場が丸の内TOEIに変更

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第25回東京フィルメックスの記者会見が本日10月9日にオンラインで開催。コンペティション、特別招待作品、関連企画を含めた計36作品のラインナップが発表された。

「第25回東京フィルメックス」ポスタービジュアル

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「Caught by the Tides(英題)」場面写真 (c)2024 X Stream Pictures

「Caught by the Tides(英題)」場面写真 (c)2024 X Stream Pictures[拡大]

「スユチョン」場面写真

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アジアの新進作家を中心に世界から選りすぐった映画を紹介する同映画祭。オープニングは、今年の第77回カンヌ国際映画祭のコンペティションに出品されたジャ・ジャンクーの新作「Caught by the Tides(英題)」に決まった。幾度もタッグを組んできたチャオ・タオを主演に迎え、1人の女性の人生を描きながら、過去20年間の中国の大きな変化をたどっていく作品だ。またクロージングはホン・サンスが韓国ソウルの女子美術大学を舞台にした32作目の長編「スユチョン」となる。

「四月」場面写真

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コンペにはジョージア、パレスチナ、インド、ベトナム、シンガポール、台湾、中国、韓国の8つの国と地域の監督が制作した10作品がラインナップに並んだ。長編デビュー作「BEGINNING/ビギニング」が世界各国で絶賛されたデア・クルムベガスヴィリの新作「四月」を上映。第81回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティションで審査員特別賞を受賞した同作について、就任4年目となるプログラムディレクターの神谷直希は「今年の国際映画祭のサーキットにおけるビッグタイトル。この作品をコンペティションに選ぶのは、この作品と競えるレベルの作品をそろえなければいけないと考えたほど」と紹介する。

「ハッピー・ホリデーズ」場面写真

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「サントーシュ」場面写真 (c)Oxfam

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「ソクチョの冬」場面写真

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このほか、イスラエルに住むパレスチナ人家族を通して民族、国家、ジェンダーをめぐる文化的・政治的な背景をあらわにしていく「ハッピー・ホリデーズ」、インドを舞台に殉職した夫から警察官の職を引き継いだ女性を描く「サントーシュ」、カンヌで初長編作品を対象としたカメラドールのスペシャルメンションを授与された「白衣蒼狗」、日系フランス人監督のコウヤ・カムラ(嘉村荒野)が韓国で生きる若い女性のアイデンティティの探求と受容を描いた「ソクチョの冬」などが並ぶ。10作品のうち6作品が長編デビュー作となった。

コンペティション作品を選定する際の指針を問われた神谷は「新進、若手であることは前提としつつ、それ以外に指針や基準は設けていない。とにかく面白いもの、こちらを興奮させてくれるような作品を選んでいます」と回答。さらに「『四月』のように、“この作品を招待するとコンペティションのレベルが上がる”というある種の基準になる作品が必ず出てくる。その作品を招待しても、それに匹敵する、コンペティションを競える作品が十分にあるかと考え、自分が納得できたところで、全体像を見ながらラインナップを決めました」と話した。

審査員を務めるのは、映画監督のロウ・イエ、フランスの映画プロデューサーであるカトリーヌ・デュサール、ニューヨーク近代美術館(MoMA)で映画キュレーターとして活動するラ・フランシス・ホイ。各賞は11月30日の授賞式で発表される。

メイン会場は例年の有楽町朝日ホールから、近隣にある丸の内TOEIのスクリーン1に変更。席数が800席弱から500席ほどに減少する点について、広報は「キャパシティが減ることで集客が強く見込める作品に影響が出ることは承知している」としつつも、ここ数年における来場者数の平均値を考慮し、同劇場の席数であれば映画祭を滞りなく実施できると判断したという。ホールではなく映画館での開催を数年前から模索しており、「長期的な目線でホールと劇場、それぞれでどんな映画祭の体験が作れるのか改めて検証する必要があった」と説明。丸の内TOEIは2025年夏の閉館を予定しているため、来年以降のメイン会場については「映画館での開催を継続するかどうかは今年を経て検証する」と述べた。

2022年には例年通りの日数で開催するためにクラウドファンディングを実施するなど、特にコロナ禍以降、財政的に厳しい状況に置かれていた東京フィルメックス。現在の財政状況を問われると、広報は「運営の中でのガバナンスの仕方、リソースの割き方など、どのように映画祭をオーガナイズしていくかでコントロールしています。助成金でご支援いただいている部分はありますが、自分たちで調整できるところに関しては、必要なアップデートを進めており、少しずつ回復の傾向にあります」と語った。

第25回東京フィルメックスは11月23日から12月1日にかけて丸の内TOEI、ヒューマントラストシネマ有楽町にて開催。上映スケジュールは公式サイトにて後日発表され、チケットは11月2日12時に各劇場のサイトで発売される。プレイベントのチケットは11月7日16時より販売。

第25回東京フィルメックス / TOKYO FILMeX 2024

2024年11月23日(土・祝)~12月1日(日)東京都 丸の内TOEI、ヒューマントラストシネマ有楽町
前売り料金:一般1500円 / U-25 1100円
会期中料金:一般2000円 / U-25 1500円

コンペティション(全10作品)

  • 四月 / April(監督:デア・クルムベガスヴィリ)
  • ハッピー・ホリデーズ / Happy Holidays(監督:スカンダル・コプティ)
  • サントーシュ / Santosh(監督:サンディヤ・スリ)
  • 女の子は女の子 / Girls Will Be Girls(監督:シュチ・タラティ)
  • ベトとナム / Viet and Nam(監督:チューン・ミン・クイ)
  • 黙視録 / Stranger Eyes(默視錄)(監督:ヨー・シュウホァ)
  • 白衣蒼狗(はくいそうく) / Mongrel(監督:チャン・ウェイリャン、共同監督:イン・ヨウチャオ)
  • 空室の女 / Some Rain Must Fall(空房間裡的女人)(監督:チウ・ヤン)
  • 家族の略歴 / Brief History of a Family(家庭簡史)(監督:リン・ジェンジエ)
  • ソクチョの冬 / Winter in Sokcho(監督:コウヤ・カムラ)

特別招待作品(全11作品)

  • Caught by the Tides(英題)/ 風流一代(原題)(監督:ジャ・ジャンクー、配給:ビターズ・エンド)※オープニング
  • スユチョン / By the Stream(監督:ホン・サンス)※クロージング
  • ブルー・サン・パレス / Blue Sun Palace(藍色太陽宮)(監督:コンスタンス・ツァン)
  • 愛の名の下に / Mistress Dispeller(以愛之名)(監督:エリザベス・ロー
  • ポル・ポトとの会合 / Meeting with Pol Pot(監督:リティ・パン
  • 無所住 / Abiding Nowhere(無所住)(監督:ツァイ・ミンリャン
  • 何処(どこ) / Where(何處)(監督:ツァイ・ミンリャン)
  • 未完成の映画 / An Unfinished Film(一部未完成的電影)(監督:ロウ・イエ)
  • スホ / Sujo(監督:アストリッド・ロンデロ&フェルナンダ・バラデス
  • 地獄に落ちた者たち / The Damned(監督:ロベルト・ミネルヴィーニ)
  • ザ・ゲスイドウズ / The GESUIDOUZ(監督:宇賀那健一、配給:ライツキューブ)

メイド・イン・ジャパン(全4作品)

  • ユリシーズ / Ulysses(監督:宇和川輝)
  • 雪解けのあと(仮題)/ After the Snowmelt(雪水消融的季節)(監督:ルオ・イーシャン、配給:ドキュメンタリー・ドリームセンター)
  • 椰子の高さ / The Height of the Coconut Trees(監督:ドゥ・ジエ)
  • DIAMONDS IN THE SAND(監督:ジャヌス・ビクトリア)

第25回東京フィルメックス プレイベント「今だけ、スクリーンで!東京フィルメックス25年の軌跡」

2024年11月15日(金)~21日(木)東京都 ヒューマントラストシネマ有楽町

上映作品

東京フィルメックス関連企画

「Some Strings」特別上映会

2024年12月2日(月)東京都 アテネ・フランセ文化センター

上映作品

  • Some Strings 2024年9月版(英語・フランス語字幕版 / 日本語字幕なし)

現代ドイツ映画作家シリーズ(特別編)ペーター・シャモニ Peter Schamoni(1934-2011)日本未公開作上映

2024年12月3日(火)東京都 アテネ・フランセ文化センター

上映作品

  • ボテロ、メデジンに生まれて / Botero Born in Medellin

アモス・ギタイ監督「家」三部作一挙上映

2024年12月4日(水)東京都 アテネ・フランセ文化センター

上映作品

※原題、英題、映画祭上映時タイトルを併記

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ノーシン @nothin0707

今年の東京フィルメックスは最初で最後の丸の内TOEIがメイン館。 https://t.co/6PXOi9JOcD

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