トランスジェンダー女性のサリー楓に密着「息子のままで、女子になる」6月公開

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息子のままで、女子になる」が、6月19日より東京・ユーロスペースほか全国で順次公開される。

「息子のままで、女子になる」

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本作は新世代のトランスジェンダーのアイコンとして注目されるモデル、建築デザイナーのサリー楓に密着したドキュメンタリー。男性として生きることに違和感を持ち続け、就職を目前に女性として社会人生活を送ることを決めた楓は、ビューティコンテストへの出場や講演活動などを通して、少しずつ注目を集めるようになる。セクシャルマイノリティの可能性を押し広げたいと語る楓だが、その胸中には、“父親の期待を受け止めきれなかった息子”というセルフイメージが根強く残っていた。社会常識という壁に挑みながら、自分だけの人生のあり方を模索する楓の姿がカメラに収められる。

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本作は日本映画として初めてロサンゼルス・ダイバーシティ・フィルムフェスティバル2020にてベストドキュメンタリー賞を受賞。「沈黙しない春」「選挙フェス!」の杉岡太樹が制作、監督、撮影、編集を担当した。タレントのはるな愛、LGBT就職支援活動を行うジョブレインボー代表の星賢人と星真梨子、「ミッドナイトスワン」の脚本監修を務めた乙女塾の西原さつき、浄土宗の僧侶でメイクアップアーティストとしても活動する西村宏堂も出演。楓とエグゼクティブプロデューサーを務めたスティーブン・ヘインズのコメント、杉岡によるステートメントは下記に掲載した。現在、劇場公開を全国に広げるための配給・宣伝費用を募るクラウドファンディングがMotionGalleryで行われている。

サリー楓 コメント

2018年の夏、プロデューサーのスティーブンから「Could we film your documentary?(君のドキュメンタリーを撮らないか?)」と言われた。LGBTドキュメンタリーって嫌いなんだよな……と、心の中でつぶやいた。
私にとって、LGBT当事者だということは、数あるアイデンティティの一つにすぎないからだ。私は20年以上の男子生活をコンプレックスに感じているが、誰しもコンプレックスの一つや二つはあるだろう。
LGBTを取り巻くステレオタイプな主張は、「嫌い」を通り超えて、虚しいとすら感じる。私のLGBTっぽい部分だけが取り上げられ、あたかもそれが私の全てであるかのように見せられるのは御免だ……。
とにかく、私は、矛盾を抱えたままドキュメンタリーの撮影を承諾した。
しかし、ここに、すべての人たちに観てほしいドキュメンタリー映画が生まれた。
特に、「自分は“すべての人たち”に入らない」と思っている、すべての“あなた”に観てほしい。
世の中は私たちをステレオタイプに捉え、知っているカテゴリーに分類する。カテゴリーがあることで得られる理解もあれば、カテゴリーがあることで受ける苦痛もある。だから、やっぱり、私はLGBTドキュメンタリーが嫌いだ。
ところで、あなたに質問したいことがある。
「この映画は、LGBTドキュメンタリーだっただろうか」
You Decide.

スティーブン・ヘインズ コメント

私は楓に出会ったその時、彼女に尋ねました。
「あなたは自分が美しいと思いますか?」
彼女の答えはこうでした。
「あなたが決めてください」
私は、この映画が私たちの人生に必要な会話のきっかけになることを心から願っています。憎しみは無関心から始まるのですから、一緒に学んでいきましょう。この映画の核心は、LGBTQの人間が、安全に、自由に、幸せに世界を生きたいと願う人生を描いていることです。
……それは求めすぎなことですか?
だからこそ、若い人と心の若さを保つ人々が立ち上がり、声を上げ、日本がただ黙っている国ではなく、過去を振り返りながらも、私たちが自身を尊重しながら前進していることを世界に示さなければならないのだと思います。太陽が沈む前に、日本の良心と愛をみんなに感じてもらいましょう。

杉岡太樹 ステートメント

この映画は、楓とスティーブンと僕、考え方も目的も違う三人が中心になって、様々なバックグラウンドを持つ出演者や制作陣と共に作りました。たくさんの衝突や苦境を乗り越えて、ついに本作の公開を迎えることができるという事実こそが、多様性の結晶にほかならないと自負しています。
一方で、近年目にすることが増えてきた「多様性」や「ダイバーシティー」という言葉の使われ方には、どこか排他的な空気を感じます。画一的なポリティカル・コレクトネスに沿った「多様性」を包摂できない人は、まるで存在してはいけないかのように扱われていないでしょうか。
男性に生まれた楓が女性として生きようとする意志も、その息子の決断に戸惑う楓の父親の感情も、誰にも蹂躙されるべきではないと思います。より多くの選択肢が認められる自由な社会を目指したい。だからといって、今はまだその選択肢を認められない人を第三者が悪者として非難する必要もないはずです。
多様性を含む社会では、理解できないことを理解できないまま受け入れ、共存する必要があるはずで、それは表面的には白黒はっきりせず、一筋縄ではいかないでしょう。そして、忍耐力が必要です。そのような「厄介でめんどくさいコミュニケーション」を尊ぶことが、本当の自分を恐れずに生きていく唯一の保証になる。そう信じてこの映画を作りました。

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(c)2021「息子のままで、女子になる」

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