「Away」監督がたった1人の制作を回想「試しながら進められて勉強もできた」

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3DCG長編アニメ「Away」のトークイベントが昨日12月6日に東京・C/NE 路地裏文化会館で行われ、監督を務めたギンツ・ジルバロディスがラトビアからリモートで参加した。

「Away」トークイベントの様子。

「Away」トークイベントの様子。

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本作は飛行機事故である島に不時着した少年を主人公にしたロードムービー。これが長編デビュー作となるジルバロディスが製作、監督、編集、音楽をすべて1人で担当し、3年半の歳月を掛けて作り上げた。

「Away」ポスタービジュアル

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イベントにはジャーナリストの数土直志も参加。「事前にうわさですごい映画があると聞いていました」という数土は、本作を「穏やかで落ち着いているのに、緊張感と集中力が必要で、その異なるバランスがうまくミックスしているのが素晴らしいと思いました」と称賛し、「いつアニメーションというものを意識し、1人で作ろうと思ったきっかけはなんだったのでしょうか?」と問いかける。ジルバロディスは「短編から作り始めて、いろんなスタイルを試しました。そこから制作は小さな作品から大きな作品へ、自然な形で進んできたと思います。より大きな形でやりたいと思ったときに、どうやって始めるべきか経験もなく、準備も整ってなかったので、自分1人でやろうと思ったんです。実際にいろいろと試しながら進められて、同時に勉強もできたのでよかったです」と話した。

「Away」トークイベントの様子。

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「子供の頃から、インディペンデントなゲームや映画も好きで、実写も撮っていました」と語るジルバロディス。「上田文人さんの『ワンダと巨像』も好きですし、アルフォンソ・キュアロン監督も長回しの特徴があって好きです。あとは、スティーヴン・スピルバーグ監督の『激突!』、バスター・キートンの『キートンの大列車追跡』など、1つのものへ進んで行く、シンプルなストーリーに惹かれます」と影響を受けたゲームや映画を挙げる。日本の作品については「ジブリや黒澤明監督にもとても影響を受けています」と語り、「村上春樹さんの描く雰囲気が興味深いです。変わった猫などが登場しますが、私の作品にも不思議な猫が登場します。変わった存在や彼の作る雰囲気は、何も起きていないようなのに興味を惹かれてしまうんです」と述べた。

主人公の少年について「感情の起伏が抑えられているように感じた」と言う数土に、ジルバロディスは「カメラや音楽などで遊びながら、主人公の表現はミニマムにしたかったんです」と答える。作画や編集のみならず劇伴も担当したことについては「大きなチャンスだと思いました。学びながら作れるのは、後々の人生であまりないかもしれないとも思いましたし、自分の思うままに作ることができました。そもそもほかの人に指示できるほど自分に経験がなかったというのもあります。逆にいろんな作業工程が発生して、自分も飽きることなく切り替えができたのでよかったです」と振り返った。

母国ラトビアでのアニメーションコミュニティについて尋ねられると、ジルバロディスは「数は少ないと思いますが、みんなけっこうつながっています。お互い助け合ったり、アドバイスし合ったり。ラトビアでの制作は技術的な面も備わっていると思います」と紹介。次回作の話題に移ると、「新作ではプロデューサーがいるので、その人が資金集めなどは行ってくれます。そしてラトビアだけでなく、さまざまな国の人とチームを組んで行う予定です。しかし、よりパーソナルな形で、なるべく我慢することなく、自分の形で作ることができたらと思っています」と意欲を見せた。

観客からの質問コーナーでは、まず物語の着想について質問が。ジルバロディスは「できるだけアニメーションがやりやすい方向で考えていました。最初からなんでもできる可能性があると困りますが、逆に制限があることでやりやすかったです」と答える。「完成とする目標を事前に決めていたか」という質問には、「物語を4つのチャプターに分けたのが大きなポイントでした。初めと終わりは決めていて、間の出来事は、進めている過程で決めました。予想のつかないものを作る、という意味ではそのスタイルでよかったのかもしれません」と振り返り、「1人で制作する利点は、いろんな変更を加えても許されることです。途中の編集の段階でもいろいろ気付くことができ、新しい発見が都度ありました」と、改めて利点を語った。

「Away」は12月11日より東京・新宿武蔵野館ほか全国で順次公開。愛知・名古屋シネマテークでは12月26日、大阪・テアトル梅田と京都・出町座では1月22日よりスクリーンにかけられる。

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読者の反応

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石川翠 midoli ishikawa @midolisauvage

これは

みなくちゃ

ダワ

😻❤️❕

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