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本作は、俳優を目指しながらもオレオレ詐欺で食い扶持を稼ぐ翔太と、高齢者施設で働くタカラの切ない逃避行を描く物語。翔太を演じた村上は「難しい役でなかなか定まらなかった」と役作りを振り返ると、「大事な核となるものがない人物なので理解しようとしてもしきれない。結局、現場に行くしかなかったです。監督がドキュメンタリーチックに撮る方だったので、感情を吐露するシーンなどではやってみて『こういうことか』と気付くことも多かったです」と語る。
父親から暴力を受け、心に傷を負ったタカラに扮した芋生。「脚本を読んだ段階で覚悟を決めなきゃいけないなと思いました。役に入り込みすぎて共倒れしてはいけないと」と述懐すると、「読み込むうちに本当に強くて美しい子だなと感じました。汚いものを見てしまっている中で、ずっと守り続けている美しい心があって、希望の光を持ち続けている。私が一番近くでタカラに寄り添って、歩めたらいいなと思って役を作っていきました」と真摯に述べる。外山は「ベストマッチというか、素敵な2人と巡り会えました」と村上と芋生を称賛した。
小泉今日子とともに映画製作会社・新世界合同会社を立ち上げ、本作には俳優としてではなくプロデューサーとして参加した豊原。その経緯について「監督からお手伝いをしてくれないかとお願いがあり、(外山の短編である)『此の岸のこと』を観て感銘を受けたんです。映画を俳優自らがプロデュースすることに線を引いていたんですが、どうせやるなら本腰を入れてやろうと。いっそのこときちんと製作会社を作って乗り込もうという覚悟のうえから設立しました」と説明する。
撮影現場には豊原や小泉も訪れていたそうで、村上は「すごかったですよ! 参加態度というか、すごく真っ向からで」と回想。「僕が早朝入りだったとき、迎えの車が来たと思ったら小泉さんがドライバーをしてくれていて『おはようございます! 乗って!』みたいな。ときには豊原さんが『おう、おはよう』って渋い感じで来てくれて。車両止めやレールも引いてくださったんです」とエピソードを披露する村上に、豊原は「潤沢な予算があるわけではないので……」と照れくさそうに返答する。「一番少年のような目をしてやってくださった」と楽しそうに話す村上に、芋生も「お二人が第一線で動いてくださって、本当にいつも生き生きされていたので、それが活力になりました」と恐縮しつつも笑顔で同意した。
「ソワレ」は8月28日に全国で公開。
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