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「呪怨」シリーズで知られる
この日案内してくれたドライバーは、小学生の頃に霊感があることを自覚し、現在は三和交通に務めるHさん。霊感は20代前半の頃にピークを迎え、最近は落ち着いてきたそうだが、心霊スポットに近付くと、今でも左半身に鳥肌が立つという。ハンドルを握る左手には数珠を付けており、そのことについて尋ねると「左側だけ頭から足の先まで、ひどいときには痛みが走ります。今日も念のため数珠を付けてきました」と教えてくれた。
ツアーはちょうど日没を迎えた17時に西武鉄道池袋線・飯能駅からスタート。最初の目的地は、ロケ地として使用された飯能市内の鉄塔だ。鉄塔はおよそ10分ほど車を走らせた先に、民家を挟んだ1本道の間でそびえ立っていた。この付近では映画の中でもっともショッキングなシーンの撮影が行われ、主演を務める三吉彩花も映画を観た際に思わず声を上げてしまったほど。もともと火事の発見と警鐘を目的とした火の見やぐらがあった場所だが、通信会社が管理する鉄塔に建て替えられたという。そのため周囲には金網が張られており、近付けないようになっていた。火の見やぐらは近年その数を減らしつつあるものの、飯能を含む入間郡には埼玉の中でもっとも多く残っている。
続いてHさんが「今日行く中ではもっとも危険な場所。地元の人は近付かないですね」と語る心霊スポットとして有名な旧吹上トンネルへ。東京・青梅の吹上峠に1993年に開通した吹上トンネルの真横にあり、側道を200mほど上がった先に位置している。現在は遊歩道として開放されており、映画でも旧犬鳴トンネルのセットが組まれ撮影が行われた。
トンネルの中に進もうとするも「この暗さだと通らないほうが無難です。年が明けたばかりなのでまだいいですが、お盆の時期は本当に危ないと思います」と、Hさんは決して入ろうとしない。入口から眺めただけでも、壁面から剥がれ落ちたコンクリートやいくつかの落書きが確認できる。トンネルの南側には、鏡が割れてなくなったカーブミラーが立っており、Hさんは「昔はトンネルの真ん中で車のヘッドライトを消してクラクションを3回鳴らし、無灯火のままゆっくりトンネルを進むと、このミラーに白い女の人が映るという噂もありました」と語ってくれた。以前、Hさんが心霊ツアーの下見のため昼間にトンネルを訪れた際には、特に南側から3つ目と4つ目のライトの間で、左半身に強い痛みを感じたという。
続いては、山道を1時間ほど進み、秩父市の浦山ダムへ。湖畔に咲く桜の名所だが、Hさん曰く自殺の名所になってしまっているという場所だ。ダムの入口には命の大切さを説く標語も掲出されている。中でもダムの左岸に位置する公衆トイレは心霊スポットとしても知られており、Hさんは「特に女子トイレの個室には近寄らないほうがいいという感覚はありますね」と話す。映画の舞台となっている犬鳴ダムと同じく、ダムにはかつて存在した集落が沈んでいるという。湖畔にはダムの建設時に川底で280年ぶりに発見された弁財天もまつられていた。
最後の巡礼箇所は、ダムから浦山川を道なりに5分ほど進んだ先にあるロケ地・浦山大橋。劇中では犬鳴村に行くための重要な鍵となる“呪われた電話ボックス”が、河川の名前が書かれた岩の左脇に設置されている場所だ。橋をそれた脇道の先に旧犬鳴トンネルがある設定だが、この道は現在通行止めとなっている。浦山大橋は過去に心霊スポットを見つけるためにドライブしていた若者が崖から転落、死傷した事故現場でもあるという。この日は大雪注意報が発令されていたせいか、取材をしている15分ほどの間、車は1台も通らなかった。
巡礼ツアーは西武秩父駅で解散。駅までの道すがら、Hさんは「自宅へお帰りになったときに足元に塩をまくことをおすすめします。ツアーにお越しいただくお客様には、最後に塩をお渡しするつもりです」と優しく忠告してくれた。なお今回の「犬鳴村」とのコラボツアーでは、Hさんが全回の乗務員を担当する。なおツアーが景品となったキャンペーンは、すでに終了しているため注意してほしい。
「犬鳴村」は2月7日より全国ロードショー。福岡のT・ジョイ博多、T・ジョイ リバーウォーク 北九州では2月1日より先行公開される。
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