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1969年の米ロサンゼルスを舞台に、落ち目のテレビ俳優リック・ダルトンとそのスタントマンで親友のクリフ・ブースの姿を描いた本作。時代が大きな転換期を迎えようとしていたとき、リックの隣に映画監督のロマン・ポランスキーとその妻で女優のシャロン・テイトが越してきたことで物語は展開していく。
まずマイクを握ったタランティーノは、フィクションとノンフィクションが入り混じった本作の構成について「作品で描いている時代にはカウンターカルチャーの変化が見られたし、ハリウッドという街や業界も変わった。シャロン・テイトの事件にいたるまでの時間軸で物語を描けば、歴史的な部分も掘り下げられて面白いんじゃないかと思ったんだ」と意図を明かす。またキャスティングについて聞かれると「自分が選んだというよりも、彼らが選んでくれた」と感謝を口にする。役者とスタントダブルの物語であることを前置き、「必要だったのは内面が違っても外見でどこか近しいものがあること。スタントダブルなので、衣装に身を包めば、似た2人に見えるようなところが必要だった」と述べた。
リックを演じたディカプリオは「(ブラッド・ピットが演じた)クリスもリックも業界の中心にはいない落ちぶれている役。実際に演じている僕たちには成功したキャリアがあるけど、この業界がどんなものかも見てきているので、2人のキャラクターが非常によくわかる」と役へ理解を見せた。さらに役作りにはタランティーノの周到な準備に助けられたと話す。「2人のバックグラウンドをすべて監督が用意してくれて、どういう映画に一緒に出たのか、どういうパートナーシップなのかを教えてくれたんだ。撮影中にはもっと情報をもらったので、時代の精神を理解しながら撮影していけた」と振り返った。
「この映画はある意味、業界やハリウッドへのお祝いというか、お祭りのような作品だと思う」とディカプリオは分析し、「役のためにリサーチを始めたとき、未知の世界に入り込んだような気持になったんだ。僕たちが愛したいろんな作品に貢献した多くの俳優たちがいて、忘れ去られた人々も数多くいることがわかった。このリサーチは素晴らしい経験になったよ」とハリウッドの歴史に感慨深げ。また、リックのキャラクターを作り上げる過程を振り返ったタランティーノは、1950年代にテレビを通じてスターになるも、過渡期に活躍の幅を広げられなかった人々に言及する。「その後出演した映画の質があまりよくなかったりヒットしなかったり、そういう人も当時たくさんいて。この1人というわけではなくさまざまな人たちの要素を組み合わせて作ったんだ」とジョージ・マハリス、エド・バーンズ、タイ・ハーディンらの名を挙げた。
タランティーノは制作を振り返り、「一番満足したのは、CGを使ったりスタジオセットでの撮影をしたりせずに美術、衣装、さまざまなトリックを駆使して時代を再現できたこと」と胸を張る。また最近初めて知ったという蔵原惟繕の1969年の監督作「栄光への5000キロ」について話し、「あと2日ほど日本にいるので、英語字幕付きのDVDを持ってたら送って!」と会場へ呼びかけていた。
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」は、8月30日より全国でロードショー。
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