石田祐康「ペンギン・ハイウェイ」までの道のり語る、ニコ動で起きた珍事も

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ペンギン・ハイウェイ」の監督を務めた石田祐康のトークイベントが本日11月4日、北海道・新千歳空港ターミナルビルにて開催中の第5回 新千歳空港国際アニメーション映画祭で行われた。

第5回 新千歳空港国際アニメーション映画祭で行われたトークイベントの様子。左から数土直志、石田祐康。

第5回 新千歳空港国際アニメーション映画祭で行われたトークイベントの様子。左から数土直志、石田祐康。

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石田祐康

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イベントでは京都精華大学時代の卒業制作「rain town」と劇場デビュー作品「陽なたのアオシグレ」の上映後、石田が「ペンギン・ハイウェイ」にて劇場長編デビューを果たすまでの道のりをたどった。在学中に発表した短編「フミコの告白」で第14回文化庁メディア芸術祭、オタワ国際アニメーションフェスティバル、第9回東京アニメアワードで評価を受けた石田。聞き手を務めたアニメジャーナリストの数土直志が当時の心境を問うと、石田は「作るからにはそれなりに野心はありました。より多くの人に観て喜んでもらいたいと思って、いろんな映画祭を調べて、送れるだけ送って当たったら棚から牡丹餅ぐらいの心づもりで」と語る。

第5回 新千歳空港国際アニメーション映画祭で行われたトークイベントの様子。

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当時、刺激を求めて国内外のアニメーション作品に触れる中で、日本の学生の作品がクオリティや熱量で海外の作品に負けていると感じたという。石田は「素直に負けたくないなと思いました。だから、日本の商業作品で培われた優れた技術や海外の作品のいい部分を取り入れて勝ちたいなと考えるようになったんです」と明かす。数土が「今アニメ業界を志す若者がすべきことは何か」と問うと、石田は言葉を選びながら「『負けてる』と思うべきところは思ったほうがいい。でもそれを悪い意味で捉えずに、より面白い作品を作るために変なプライドは持たず、いいところはもらっちゃう。子供のときからなぜか『上には上がいる』と思っていたんです。変に自分の中で意固地にならず諸先輩方の技術を取り込んで、自分の中の『勝ちたい!』というエンジンのガソリンにするのがいいのでは」と見解を述べた。

石田祐康

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森見登美彦の小説をアニメ化した「ペンギン・ハイウェイ」にも話題が及んだ。石田は原作がすでにあるものを映像化することに対しては抵抗がなかったと語り「精神的にも技術的にも冷静にバランスを取らなければならないと思っていて、未経験だった長編作品に挑むと自分が調子に乗りすぎてしまうと思っていました。演出を組み立てる勉強をしなければなりませんでしたし。あと原作を読んで、子供を描く視点が僕の求めているものに重なったということもありました」と回想する。

しかし、ビジュアルイメージのない小説から映像を作り出す作業には難しさも感じたという。「とにかく描きました。絵に描いて自分の中で咀嚼して、いい絵ができたら体感として物語っていけるんじゃないかという思いはありましたね」と語り、膨大な量のミニコンテが書き込まれた資料がスクリーンに映し出されると、会場から驚きの声が上がった。石田は「性格診断で『石橋を叩きすぎる』と言われたことがあるんです(笑)。でも自分としてはいい作品を作るための準備に労力を惜しまず、やれることをやったと思っています」と晴れやかに笑った。

数土が「オリジナル作品を作る予定はあるか」と問うと、石田は「次の企画はまだないですが、原案がある作品が作りたいですね。もっと自分の中で着実に材料を集めてから、本当にいいなと思えるタイミングでオリジナルをやりたいんです。長編をやったら、もっと知らなければならないことが見えてきました」と現状を説明する。質問コーナーでは「フミコの告白」公開時のエピソードを問われ、石田は「ニコニコ動画でアップしたら再生数が伸びてコメントもついて、観てくれる人がいるから作品を作る動機になりました」と語る。しかし、人気の動画になったことでとある“珍事”も起きていたという。「『フミコの告白』の逆再生版や早送り版も話題になっていたようで、一時なぜか本編の画面いっぱいに『早送り早送り早送り……』と弾幕のようにコメントが流れるようになってしまったんです。これは嫉妬した誰かの仕業か……と疑心暗鬼になりながら、1つひとつ『早送り』を消しました」と苦笑いを浮かべた。

第5回 新千歳空港国際アニメーション映画祭は11月5日まで開催される。

※記事初出時、内容に一部誤りがありました。お詫びして訂正致します。

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数土直志 @sudotadashi

ナタリーさんで聞き手をさせていただいた石田監督のトーク記事が!監督の魅力がたっぷり伝わります。

https://t.co/NtG3gjxYTX

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