BS12|サメ映画ルーキーが4作品の見どころをたっぷり解説 「天下一サメムビ決定戦」も開催!

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今年のゴールデンウイークには「ゴールデン・サメ劇場2025」特集が展開。4月28日から5月1日に「メガ・シャークVSメカ・シャーク」「メガ・シャークVSグレート・タイタン」「パニック・マーケット」「ゴースト・シャーク」の4作品がオンエアされる。

映画ナタリーでは、「日本サメ映画学会」の会長・サメ映画ルーキーに放送作品の解説を依頼。「サメ映画の入門に最適」だという今回のラインナップの見どころを、愛のあるツッコミとともにたっぷりと教えてもらった。

さらに、好きなサメ映画をXに投稿するとプレゼントが当たる「天下一サメムビ決定戦」の開催情報も。上位作品は6月中旬頃に、本特集記事とBS12の公式サイト内で発表される。

文 / サメ映画ルーキー(作品紹介)

サメ映画の基礎体力が養える今回のラインナップ

今年もサメの季節がBS12にやってきた。
毎回エッジの効いたセレクトをしてくれることで信頼のある「ゴールデン・サメ劇場」の今年のラインナップは、サメ映画の入門に最適とも言えるチョイスだ。これらの作品を見届けることができれば、どこまでも広がるサメ映画の大海原と大宇宙を堪能するための基礎体力が養われるはずである。

サメ映画の難解な問いに答えを出した
「パニック・マーケット」

「パニック・マーケット」場面写真 ©2011 Bait Holdings Pty Limited, Screen Australia, Screen Queensland Pty Limited, Media Development Authority of Singapore, Blackmagic Design Films Pte Ltd.

「パニック・マーケット」場面写真 ©2011 Bait Holdings Pty Limited, Screen Australia, Screen Queensland Pty Limited, Media Development Authority of Singapore, Blackmagic Design Films Pte Ltd.

サメ映画の歴史は、「ジョーズ」という巨大過ぎる傑作を前に、「どのように新作を撮るか?」という試行錯誤を重ねてきた歴史であると言っても過言ではない。そして「パニック・マーケット」は、その難解な問いに見事に答えを出した一作である。
サメの襲撃事件がトラウマとなりライフセーバーの仕事を辞め、今はスーパーの店員として働く主人公・ジョシュ。そのスーパーが強盗に襲撃されているさなかに巨大地震と津波が発生。スーパーは水没し、なぜかサメまで侵入してくる…というストーリーだ。
「ジョーズ」を観た人であれば、サメに襲われないためには(そもそも現実のサメは意図的に人間を襲う訳ではないが)海に入らなければいいと思うはずだろう。であるならば、海の方から来させれば良い、というのが本作である。
災害によって極限状況が作り出され、様々な背景を持つ人々と協力しながらサメの襲撃を逃れて生き延びなければならない。まさにパニック系サメ映画の王道展開である。面白くない訳がない。

「パニック・マーケット」場面写真 ©2011 Bait Holdings Pty Limited, Screen Australia, Screen Queensland Pty Limited, Media Development Authority of Singapore, Blackmagic Design Films Pte Ltd.

「パニック・マーケット」場面写真 ©2011 Bait Holdings Pty Limited, Screen Australia, Screen Queensland Pty Limited, Media Development Authority of Singapore, Blackmagic Design Films Pte Ltd.

「パニック・マーケット」の魅力は、そうしたシチュエーションだけではない。水の中に潜み、背ビレを見せて悠然と泳ぎながらも、どこから襲ってくるか分からないサメの恐怖がこれでもかと描写されている。見える恐怖と見えない恐怖のバランスの良さが、サメ映画にとって重要であることを思い出させてくれるのである。
加えて、閉鎖環境を舞台にしたサメ映画の傑作「ディープ・ブルー」を経たからこそ生み出されたシーンが数多く存在する。数少ないサメ映画の良心的な作品だ。
さらに登場人物たちも魅力的である。特に主人公の元カノの今カレが果てしなく良いヤツであり、間違いなく一番応援したくなる存在である。同時に、最低の選択をして人の道を外れた人物はキッチリとサメに始末される。
そして忘れてはならないのが、ゴア描写への誠実さである。水中で泡にまみれてもがく人が映され、徐々に水が赤く染まっていく…といった生ぬるいことはしない。肉を効率よく切り裂くために発達したサメの歯の恐ろしさを我々に叩き込むために、人がどんどんバラバラになるのだ。しかも登場人物が多いので景気良く喰われていく。
サメ映画史的に見ても、ここまでゴアに真剣な作品はあまり無い。なお、一部の視聴者にとって最重要な情報だと思われるので共有しておくと、犬は無事である。安心して観て欲しい。

これこそが現代サメ映画の本質!
「ゴースト・シャーク」

「ゴースト・シャーク」場面写真 ©AED GHOST SHARK, LLC. 2013

「ゴースト・シャーク」場面写真 ©AED GHOST SHARK, LLC. 2013

非常に真面目に「パニック・マーケット」を紹介したが、これまでの話は一旦全て忘れて欲しい。ここからあなたはサメ映画の世界に本格的に入門することになるからだ。
「ジョーズ」を踏まえていかに人間とサメを邂逅させるかがサメ映画のアポリア(難問)であることは先に述べた通りで、その答えの一つは何らかの方法で人間を水に入れることだった。そして現代サメ映画が導いたもう一つの答えが…「サメをどこにでも出す」ことであり、「ゴースト・シャーク」はその模範解答である。
人間に殺され大きな恨みを抱えたサメの幽霊が出現し、人々を襲う。たったそれだけと思うかもしれない。しかし、サメであり幽霊でもあるゴーストシャークは、水辺であればどこにでも現れて人を喰うのだ。海はもちろん、プール、水たまり、バケツに入った水、コップの中の水まで、とにかく際限がない。海の生き物であることを止めたサメを前にすれば、人類に逃げ場はないのである。

「ゴースト・シャーク」場面写真 ©AED GHOST SHARK, LLC. 2013

「ゴースト・シャーク」場面写真 ©AED GHOST SHARK, LLC. 2013

「ゴースト・シャーク」はサメ映画ファンからの評価がかなり高く、ベストサメ映画として本作の名前はたびたび挙がる。
ファンを惹きつけるのはその芸術性──もちろんアート映画としてではなく──つまり、芸術的なまでの人間の捕食シーンの素晴らしさにある。一般的な感覚では想像できないアクロバティックな方法で人々が喰われる様は、一周回ってもはや爽快ですらある。特にウォータースライダーからサメが逆流するシーンは笑い無しには観られないだろう。
ここまで来ると「もはやサメである必要がないのでは?」と思うかもしれない。それは正しくもあるが、それこそが現代サメ映画の本質でもあるのだ。
今やサメは陸にも空にも現れるが、そうした「何でもありのサメ映画」がサメを解放したのだ。つまり、「ジョーズ」によって生み出された「人喰いザメ」というネガティブなイメージに悪ノリし続けたことで「そうはならんやろ」と笑いを生み出すまでに至り、逆説的にサメはかつてないほどに自由な存在になったと言える。そしてそんな近年のムーブメントを象徴する一作が「ゴースト・シャーク」なのだ。

「フェアネス(公正・公平)」の精神が息づく
「メガ・シャークVSメカ・シャーク」

「メガ・シャークVSメカ・シャーク」場面写真 ©2013, DARK CONTINENT, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

「メガ・シャークVSメカ・シャーク」場面写真 ©2013, DARK CONTINENT, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

「メガ・シャーク」シリーズは、サメ映画総本山であるアメリカが誇る映画製作会社アサイラムが擁する大人気サメ映画だ。
「メガ・シャークVSジャイアント・オクトパス」で蘇った古代の超巨大ザメは超巨大ダコと激闘を演じ、「メガ・シャークVSクロコザウルス」では巨大ワニともぶつかり合った。そして3作目となるのが本作である。
毎度最後には姿を消すメガ・シャークが再びなんとなく復活、船を弾き飛ばしてスフィンクスをぶち壊す衝撃のシーンから始まる。冒頭から「我々は『ジョーズ』をやるつもりは無い」と高らかに宣言するのだ。
あらゆる海で船を襲い続けるメガ・シャークの影響で世界経済は大混乱に陥るが、流石に3度目ともなれば人類もただ手をこまねいている訳がない。対超巨大ザメ決戦兵器メカ・シャーク(メカ号)が実戦に配備され、メガ・メカ頂上決戦が繰り広げられるのだ。ついに人間もサメと同等、いやそれ以上の武力を持つに至ったのは感慨深い。
しかし、タコやワニといった異種格闘技戦を戦い抜いてきたサメは一筋縄ではいかない。機動力で優るサメに対しメカ号は大苦戦。パワーアップを図るため、高性能AI・ネロの実装が決定される……が、当然のごとくAIが暴走し、メガ・シャーク以上の被害がもたらされることになる。果たして人類はサメに打ち勝つことができるのだろうか……。

「メガ・シャークVSメカ・シャーク」場面写真 ©2013, DARK CONTINENT, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

「メガ・シャークVSメカ・シャーク」場面写真 ©2013, DARK CONTINENT, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

アサイラムのサメ映画の素晴らしい点は、やたらとサメが人を襲ったり、サメのサイズがガンガン変わるところだけではない。サメと互角の勝負をさせるためにサメを賢くする一方で、人類サイドの知能レベルにハンディキャップをつけるところだろう。
なぜAIに自立モードを搭載してしまったのか、なぜメカ号にキャタピラをつける必要があったのか、そもそもなぜサメ型なのか……。一見すると意味不明でしかないのだが、そこには彼らの「フェアネス(公正・公平)」の精神が息づいているのだ。それが功を奏しているかは全く別の話だが……。

サメ映画史に残るベストバウト
「メガ・シャークVSグレート・タイタン」

「メガ・シャークVSグレート・タイタン」場面写真 ©2015 RED ROBOT MOVIE, LLC. All Rights Reserved.

「メガ・シャークVSグレート・タイタン」場面写真 ©2015 RED ROBOT MOVIE, LLC. All Rights Reserved.

一年前にメカ・シャークが退けたはずのメガ・シャークだったが、卵から生まれた新メガ・シャークが7つの海を蹂躙。人類は再び超巨大ザメとの戦いを強いられる。時を同じくして、旧ソ連時代に開発された対米決戦兵器「コロッサス」が起動し…というのが「メガ・シャークVSグレート・タイタン」だ。
本作はファンの間でもシリーズ最高傑作の呼び声が高い。その理由は、やはりコロッサスの活躍にあるだろう。「VS」シリーズでありながら全然戦わないのがアサイラムのやり口だが、どう見ても“進撃のアレ”な見た目をしたコロッサスは、サメと大迫力のプロレスバトルを繰り広げてくれる。
超大型巨人がサメを宇宙まで投げ飛ばし、その余波で月が破壊されるのだ。サメ映画史に残るベストバウトである。同時に、サメ映画とは何なのかますます分からなくなるシーンでもあるが……。
なお、アサイラムは自社の作品に対して常々「我々はドキュメンタリーしか撮らない」と発言している。同社の「ダブルヘッド・ジョーズ」シリーズや「シャークネード」シリーズもすべてドキュメンタリーなのである。いい加減にしてほしい。
加えて、本作はシリーズで最も「ゴジラ」リスペクトが色濃い。前作のメカ号も大概だったが、今回は唐突にオキシジェンデストロイヤーが登場する。もはや「ゴジラ」をやれと言いたくなるくらい、ゴジラが好きすぎるのである。なお、彼らは後に「ロード・オブ・モンスターズ」シリーズでより本格的なパクリをかまし、本懐を遂げている。
大変残念なことに、「メガ・シャーク」シリーズは本作以降、新作が発表されていない。毎回毎回、ファンが愛憎入り混じった形で「もういいだろ!」と言い続けた結果なのかもしれないが、やはりサメ映画ファンとしては、彼らの新作を目撃したい。

「メガ・シャークVSグレート・タイタン」場面写真 ©2015 RED ROBOT MOVIE, LLC. All Rights Reserved.

「メガ・シャークVSグレート・タイタン」場面写真 ©2015 RED ROBOT MOVIE, LLC. All Rights Reserved.

サメ映画は、もしサメが放射熱線を吐いても誰も文句を言わないステージまで来ているのだから、今こそアサイラムがやりたい放題できるタイミングなのは間違いない。このたびめでたく日本で「メガ・シャーク」シリーズの配給権が復活したことが、その起爆剤になってくれることを切に願う。

人類がまだ見ぬ“次のサメ”を想像し続ける限り、サメ映画は終わらない。「ゴールデン・サメ劇場」という名の海で、その入口にもう一度立ち会える幸運を、どうか見逃さないでほしい。

「ゴールデン・サメ劇場」放送スケジュール

「メガ・シャークVSメカ・シャーク」
2025年4月28日(月)18:30~
「メガ・シャークVSグレート・タイタン」
2025年4月29日(火・祝)18:00~
「パニック・マーケット」
2025年4月30日(水)18:00~
「ゴースト・シャーク」
2025年5月1日(木)18:00~
「天下一サメムビ決定戦」メインキャラクター

番組編成の参考に!?
「天下一サメムビ決定戦」のお知らせ

「天下一サメムビ決定戦」

BS12では「ゴールデン・サメ劇場」5周年を記念し、「天下一サメムビ決定戦」を開催! 邦画・洋画を問わず、サメにまつわるすべての作品を対象にしたサメ映画ランキング企画で、上位作品はこの特集記事とBS12の公式サイトで6月中旬に発表される。
応募された作品は、今後の番組編成の参考にするという情報も……。
さらに、Xでフォロー&投稿した人の中から抽選で賞品をプレゼント。あなたの心に残るサメ映画を投稿しよう!

募集期間
2025年4月25日(金)14:00~5月12日(月)23:59
対象作品
サメにまつわるすべての作品
応募方法
  1. BS12映画公式X(@BS12_eiga)をフォロー
  2. 「#天下一サメムビ決定戦」を付けて好きなサメ映画のタイトルを投稿
プレゼントキャンペーン賞品
  • 「ゴールデン・サメ劇場」オリジナル バケットハット&ステッカーセット×5名様
  • 届いてからのお楽しみ!サメ映画DVD&Blu-rayセット×1名様
  • Amazonギフト券のコード5000円×5名様

詳細はこちらから

サメだけじゃない!
ゾンビ映画・ガメラ映画も楽しもう

「このGW、人類は脇役だ!」をモットーに、BS12ではサメ映画だけでなくゾンビ映画・ガメラ映画の特集も展開。その名も「サメゾンビガメラ!BS12ドキドキ!パニック映画祭!【2025GW】」──サメ・ゾンビ・ガメラが大活躍の計12作品が楽しめる。

「ゾンビ」特集 放送スケジュール

「シーワールドZ」
2025年4月28日(月)20:15~
「キャメラを止めるな!」
2025年4月29日(火・祝)19:50~
「高慢と偏見とゾンビ」
2025年4月30日(水)19:50~
「ZOOMBIE ズーンビ:ネクストレベル」
2025年5月1日(木)19:45~
「キャメラを止めるな!」ビジュアル © 2021 - GETAWAY FILMS - LA CLASSE AMERICAINE - SK GLOBAL ENTERTAINMENT - FRANCE 2 CINÉMA - GAGA CORPORATION

「キャメラを止めるな!」ビジュアル © 2021 - GETAWAY FILMS - LA CLASSE AMERICAINE - SK GLOBAL ENTERTAINMENT - FRANCE 2 CINÉMA - GAGA CORPORATION

「ガメラ」特集 放送スケジュール

「大怪獣ガメラ」(2K版)
2025年5月3日(土・祝)19:00~
「ガメラ 大怪獣空中決戦」(4Kデジタル修復版)
2025年5月4日(日・祝)19:00~
「ガメラ2 レギオン襲来」(4Kデジタル修復版)
2025年5月5日(月・祝)19:00~
「ガメラ3 邪神<イリス>覚醒」(4Kデジタル修復版)
2025年5月6日(火・振休)19:00~
「ガメラ2 レギオン襲来」ビジュアル ©KADOKAWA 日本テレビ 博報堂DYメディアパートナーズ 富士通 日販/1996

「ガメラ2 レギオン襲来」ビジュアル ©KADOKAWA 日本テレビ 博報堂DYメディアパートナーズ 富士通 日販/1996