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第71回カンヌ国際映画祭で最高賞にあたるパルムドールを受賞した本作は、犯罪でしかつながれなかったある一家の“許されない絆”を描く人間ドラマ。父・柴田治をリリー・フランキー、治の妻・信代を安藤サクラ、信代の妹・亜紀を松岡、祖母・初枝を樹木希林、治の息子・祥太を城、柴田家で暮らすことになる少女ゆりを佐々木みゆが演じた。
チケットが発売後20秒で完売した上海・Shanghai Film Art Centerでの本上映では、1000席が満員に。上映後に登壇した是枝と松岡は「ニーハオ」と中国語で挨拶し、城は「映画、面白かったですか?」と問いかけて観客から「はいー!」と日本語で返された。
パルムドール受賞を受けて是枝は「新聞の一面に載るような事件になってしまったので、僕だけじゃなくて、桧吏くんも街を歩いていると『あ、あの映画の子だ』と気付かれるような状況になっています」と面食らった様子。しかし「でも、こういう形で映画館の外にどんどん広がっていくのはとてもいいことだと思っています。今回の受賞をきっかけにしてもちろんこの中国でもより多くの人たちにこの映画を届けられればいいなと思っていますし、次回作を作ることが少しスムーズになればと思っています」と前向きに続けた。
中国で取材を受けた際、韓国で自身がコメディスターと勘違いされていることを知った松岡は、舞台挨拶の場を借りて「私は女優です! ね、監督!?(笑)」と誤解を晴らす。是枝は「松岡茉優という女優はですね、お笑い芸人ではありませんけども(笑)、非常にコメディエンヌとしての才能がずば抜けています。僕は今回かなりシリアスに撮らせてもらいましたが、非常に幅広い役をできる女優さんなので、ぜひ中国の作品でも彼女が観たい」と希望を語って拍手を起こした。
日中の映画交流に関する話題では、是枝が自身の大学生時代を回想し「チャン・イーモウ監督やチェン・カイコー監督の作品が日本でブームになって、アジアからすごく新しい作品が生まれるようになりました。その後、台湾のホウ・シャオシェン監督と先ほどの2人の監督を通して、自分も映画を撮りたいと強く思うようになりました」と話す。さらに映画を撮り始めてから交流のあるジャ・ジャンクーとの関係を「同じ時期に映画を作り、映画祭を回り、彼が日本に来たときは一緒にごはんを食べるような関係の中で、お互いに今どんなものを作るべきなのか、映画とどんな風に向き合うべきなのか、自分が生まれ育った土地や人々からどうモチーフを見つけていくのかなど多くのことを学んでいます」と語り、「同世代に優れた監督を持つということは作り手として財産ですし、そういう関係を日本と中国の監督や役者たちが深く長く持てればいいなと思う」と理想を述べた。
Q&Aコーナーで、今後一番演じたい役を聞かれた松岡は「是枝監督に……また使ってもらえることです」と回答して拍手を誘う。本作の共演者とは「ぎゅうぎゅうな時間を過ごしていたら本当の家族のようになっていったし、大女優の樹木希林さんの隣に座れるようにもなった」と親密であることを明かすも、「でも最近桧吏が男の子になってきて、ちょっと触ると嫌がる……」と寂しげな表情を見せた。
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