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メディア芸術祭作品展で「この世界の片隅に」「ルーのうた」資料展示

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片渕須直

片渕須直

「第21回文化庁メディア芸術祭 受賞作品展」が、明日6月13日から24日まで東京・国立新美術館ほかで開催。本日6月12日にプレス向け内覧会が行われ、片渕須直が出席した。

世界98の国と地域から寄せられた4192の応募作品の中から、第21回文化庁メディア芸術祭で受賞を果たした作品を紹介する本展。アート、エンタテインメント、アニメーション、マンガの4部門から、全受賞作品と功労賞受賞者の功績などを紹介する。

片渕は「この世界の片隅に」で、湯浅政明の「夜明け告げるルーのうた」とともにアニメーション部門の大賞を受賞。「この世界の片隅に」の展示では文献、写真、地図、実地調査、存命者へのヒアリングなどの調査が行われた本作の制作過程の一端を垣間見ることができる。映画制作の序盤に監督補の浦谷千恵によって作られたラフ資料、映画に登場する北條家の図面といった設定資料、主人公・すずの1日のスケジュール、そして原画や絵コンテなどが展示された。

「戦争中といっても数年、数カ月経るだけで人々の装いや考えてることは違います」と語る片渕は、映画を観るだけでは把握しきれない部分が展示になっていると明かす。「時代の流れそのものを映像化するアプローチでした。1人の主婦の生活のディテール、彼女が住んでいた家やその家にあったもの、彼女が訪れたであろう1軒のお店など」と日常生活の表現に苦心したという。

「広島に実際にあったものの原爆が落ちてなくなり、写真も残っていないお店がありました。それをなんとかして描こうとした過程が見られると思います。最終的に描きあがったお店を見て、お孫さんが当時使われていた包み紙を持ってきてくれたこともありました。我々はただ街を描いたのでなく、かつてあった街を描いたんです。そこに住んでいた、つながりのある方々が映画を観ていろんな思いを抱いてくれました」と片渕。

またすずというキャラクターについては「こうの史代さんの原作には彼女が日常的に営む家事が描かれていました。ここにはそれ以外の日々で、すずさんがどんな家事をしていたかをイメージしてスケッチしたものもあります。場面場面ではなくすべての日々の隙間を埋めて、立体的に彼女を捉えようとしました」と明かした。

「夜明け告げるルーのうた」の展示ではマンガ家・ねむようこによるキャラクター原案の資料、湯浅による映画のイメージボードを見ることができる。なお「この世界の片隅に」は6月23日に、「夜明け告げるルーのうた」は6月24日にTOHOシネマズ 六本木ヒルズで無料上映を実施。「この世界の片隅に」の上映には片渕とすずに声を当てたのんが出席する。

第21回文化庁メディア芸術祭 受賞作品展

2018年6月13日(水)~24日(日)東京都 国立新美術館、TOHOシネマズ 六本木ヒルズ、スーパーデラックスほか
料金:無料

「この世界の片隅に」トーク付き上映会

2018年6月23日(土)17:20~20:00 東京都 TOHOシネマズ 六本木ヒルズ
<登壇者>
片渕須直 / のん

「夜明け告げるルーのうた」上映会

2018年6月24日(日)14:35~16:30 東京都 TOHOシネマズ 六本木ヒルズ

第21回文化庁メディア芸術祭 受賞作品

アニメーション部門

※カッコ内は作家名・受賞者名。

大賞

この世界の片隅に」(片渕須直)
夜明け告げるルーのうた」(湯浅政明

優秀賞

「ハルモニア feat. Makoto」(大谷たらふ)
「COCOLORS」(「COCOLORS」制作チーム 代表:横嶋俊久)
「Negative Space」(KUWAHATA Ru / Max PORTER)

新人賞

「舟を編む」(黒柳トシマサ)
「The First Thunder」(Anastasia MELIKHOVA)
「Yin」(Nicolas FONG)

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