新作として発表されたのは、ドキュメンタリー作品「サイコマジック」。サイコマジックとは、ホドロフスキーが提唱してきたロールプレイングと精神分析を合わせたような心理セラピーだ。同作には実際にホドロフスキーのもとへ悩み相談に訪れた人々が出演。サイコマジックがどのように実践され、作用するかが映し出される。
本プロジェクトは、日本時間4月23日6時59分まで実施中。日本からも支援可能である。支援額は5ユーロから2500ユーロまで選べ、価格に応じて本編DVDやプレミア上映招待のほか、サイン入りカチンコや「デューン/砂の惑星」のシナリオのコピーといった特典が進呈される。さらにホドロフスキーが制作準備している「エル・トポ」の続編「エル・トポの息子」や、
YouTubeではホドロフスキーによるメッセージ動画を公開中。コメント翻訳は以下の通り。
アレハンドロ・ホドロフスキー コメント翻訳(抜粋)
私だけの力ではできません。多大なる情熱を持つ人々が参加してくれることによって初めてこの作品はできあがるのです。そのために私はこうして皆様に説明する義務があります。
小さい頃にチリの港町で育ちました。北部、タラパカ砂漠の隣の港町です。そこは3世紀も雨が降っていない大地です。木も、そして川もない大変乾燥したところで、私は木の葉が森で音を立てるのを聞いたことがなく、蝶々も目にしたことがなく、裸足で大地を歩く心地よさも味わったことがありませんでした。
そんな中での唯一の楽しみと言えば、毎週日曜日に小さな映画館でモノクロ映画を観ることでした。そこで私は夢に出会いました。
外国人の親を持ち、大きな鼻を持ち、学校ではピノキオと呼ばれていじめられて友達もいなく、家では店を手伝わされる毎日の中で、映画館という場所が自分にとっては唯一の喜び、魔法のような時間でした。「フランケンシュタイン」や「ノートルダムの鐘」、そしてSF映画の古典である「来るべき世界」を観ました。映画に出てくる登場人物は当時の私にとって純粋なヒーローでした。私は映画に救われたのです。映画が私を生かしてくれました。
そうしていつか自分のアートを作りたい、と思うようになりました。しかしずっとあとになるまで、映画というものが大きな産業によって生まれたということに気付きませんでした。アートであり産業、つまり映画業界。もちろん、映画業界はこの素晴らしき魔法のアートを我々に与えますが、彼らは映画をアートとしてではなく「商品」として扱い、お金や名声や権力のために魂を売っています。何とも痛々しい世界だと思いませんか? 私にとってのアートは、そして壮大なるアートへの欲望は、精神・感情の世界であり、魂の星です。私は死ぬ前に、映画業界の本質に革命を起こしたい。不可能を可能にしたい。よりよいものに少しでも近付き、星をつかみたいのです。
今回の作品では、現在の映画業界の要素が一切ないものを作ります。お金のために魂を売ったり、金もうけのために社会情勢を利用して作品を作ったりする日和見主義ではなく、人間の本質的な美しい魂が映し出されるような、本来の人間の美しさに気付けるようなアートを作りたい。
心が興奮し狂乱する状態とはなんでしょう?
私はかつてシュールレアリストで、「パニック」を作り出しました。
さまざまな不可能を、情熱と忍耐を持って探求しました。
今回は役者を使わず、普通の人々を起用し、演じてもらうのではなく、彼ら個人の本当の姿を見せる。
悲しいときは本当に悲しみ、怒るときには本当に怒っており、苦しむときには本当に何かの問題に苦しみ、闘うときは本当に闘う……。
今までの映画では見たことのない「本当の感情」を見せるのです。
映画というものが、私自身の、あなたの、そして人類の魂の、あらゆる問題を救うものであることを願っています。
映画というものが、神聖な文章と同じような価値を持つことを願っています。
すべての人々が自分自身の中に深く入っていってほしい。
「我を知れ」。自分自身を知ることです。
私は「個人」ではなく人類です。そして自分を知るには他人を知ることです。
「時」を知るには「永遠」とは何かを探し求めなければいけない。
「1つの場所」を知るには「無限」というものを知らなければいけない。
すべての芸術的な活動は新たな世界への種となります。
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