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ジュリア・デュクルノーが監督を務めた本作は、2016年のカンヌ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞した青春ドラマ。ベジタリアンの少女ジュスティーヌが、自身の本性に目覚めていくさまが描かれる。デュクルノーの短編「Junior(原題)」で女優デビューを果たしたギャランス・マリリエがジュスティーヌを演じた。
町山は、会場に現れるとさっそく観客から質問を募る。ジュスティーヌとその姉アレックスが通りがかった車に交通事故を起こさせるシーンについての質問が飛ぶと、町山は「あれは『やりたくなったら、そこらの人を拾ってやっちゃいな』ってことですね」と回答。「肉を食べるということはいろんなもののメタファーだけど、基本的には性と愛であると監督がいろんなところで言ってるんです。セックスだったり、兄弟とか父娘の愛情も含めて、肉を食べるという行為で表現していると。小さいときの赤ちゃんって、親は食べちゃいたくなったりしますよね。動物も、子供を噛んだり舐めたりしますし」と続ける。
トロント国際映画祭にて本作を鑑賞した観客が失神したというエピソードについて、町山は「ホラー映画ばかりを上映するミッドナイト・マッドネス部門だったんですけど、そんな強者ばかりが集まるところで失神者が出たんです」と説明。「『何やってんだお前ら! 根性なしだな』と思いましたけど」と笑い、「でも、そんなにひどくなかったでしょ? 気持ち悪いっていうよりは『やめとけー! 駄目だそれ食ったら』みたいな」と述べて観客の同意を得ていた。
また、町山は「Junior」についても言及。「『RAW』のもとになった映画で、初潮の話なんですよ。主人公は男の子とばっかり遊んでる女の子なんですけど、ある日お腹が痛くなっちゃう。で、体中の皮が剥けてくる。それからしばらく休んで学校に来たら、先生も生徒も『誰だろう?』と思うんですね。ホルモンの関係で女らしくなってるから。いつも一緒にふざけてる男の子も口を利かなくなっちゃって、主人公が『何よ』って言うと『だって、お前さ……きれいになったじゃん』と返す(笑)。超甘酸っぱい映画なんですよ」と述懐する。そして「監督が言ってたんですけど、女の人は子供を生む能力が備わってきたときにすごく違和感を持つものだと。自分自身が得体の知れないものに変形していくような感じがあって、それをなんとか映像で表現しようと思ったらホラーになったと言ってました」と語った。
さらに町山はジュスティーヌとアレックスの関係に触れ「監督自身のお姉さんが、いじめたりもするけど実はとても妹思いの人らしいんです。その関係性が反映されているせいか、実は恋愛やセックスも超えたもっと大きな愛がこの映画では描かれてるんですね。このストーリーで感動に持っていくか!と思いますけどね」と笑った。
「RAW~少女のめざめ~」は全国で公開中。
※「RAW~少女のめざめ~」はR15+指定作品
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