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本作はダイアン・アッカーマンのノンフィクション小説を、ニキ・カーロが映像化したヒューマンドラマ。ドイツ占領下のポーランド・ワルシャワで、自分たちの運営する動物園にユダヤ人を匿い300人もの命を救った夫婦の実話が描かれる。
製作総指揮も務めたチャステインは、自身が演じた主人公アントニーナを「一般的な女性だった。でも、彼女は見知らぬ人たちに向かって扉を開けた。自分の子供たちの安全を犠牲にしてまでも、ほかの人たちの命を救うことが大事だと思ったの。それは、私にとってすごくインスピレーションを得られることだった」と説明する。
そして、アントニーナの魅力を「愛と希望と思いやりがあるところ」と話し、「これまでの映画で描かれてきた“ヒーロー像”というのは、強靭で、何かに立ち向かっていくような戦う人だったように思う。だけど、アントニーナは戦う人ではない。戦わない勇気というものもあると思う。そして、彼女は愛で戦っているの。愛を武器にして嫌悪と戦っている。その姿勢は、多くの人に広がっていくものだと思う」と思いを吐露した。
役作りについては「ホロコーストについて描かれた映画も観たけれど、一番役に立ったのは彼女の家族について学ぶことだったわ。戦時下の動物、女性、子供にいったい何が起きていたのかがこれまであまり描かれてこなかったから、私にとっては遺されたご家族に会うことが大事だった」と述懐。さらに、「アウシュヴィッツにも行きました。当時のアントニーナには強制収容所で何が起きているのか知る術もなかったけれど、この映画で描かれているのは1つの家族の物語だけではないと思ったから行ってみたかったし、その場に立ったときにどう感じるのか確かめておきたかったの」と実在した人物を演じるうえでの細かい役作りを語る。そして、「彼女は動物と接する素晴らしい能力を持っていた。その能力を自分の中でも養っておきたくて、動物のために暮らしてきた人たちとたくさん会ったわ。そうすることで、セットにいる動物たちも安心してくれると思ったから。動物たちとのラブストーリーを描けると思ったのよね(笑)」とこだわりを明かした。
本作のテーマを「人間が生物を“物”として所有する権利はないということ、生きているものすべてに敬意を表するべきだということ」と話すチャステイン。最後に「アントニーナは政治家だったわけじゃないし、有名人だったわけじゃない。だけど、彼女は自分の人生においてできることを行い、人を助けることができた。今の世界で起きていることを見て、希望を失っている人たちがすごくたくさんいると思う。『私は有名人でもないし、なんの基盤もないから、何もできない』とね。だけど彼女は『そうではない』と訴えかけてくる存在なのよ」とメッセージを伝えた。
「ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命」は12月15日より東京・TOHOシネマズ みゆき座ほか全国でロードショー。なおチャステインは11月下旬に来日し、ジャパンプレミアに登壇する予定だ。
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- 「ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命」公式サイト
- 「ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命」予告編
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