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「ガルム・ウォーズ」押井守と鈴木敏夫が早大生に特別講義、「まずは映画の現場に」

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特別講義「映画のすべて マスター・オブ・シネマ」の様子。左から押井守、鈴木敏夫。

特別講義「映画のすべて マスター・オブ・シネマ」の様子。左から押井守、鈴木敏夫。

本日4月16日、「ガルム・ウォーズ」の監督・押井守と日本語版プロデューサー鈴木敏夫による特別講義が、東京・早稲田大学にて行われた。

「ガルム・ウォーズ」は、クローン戦士・ガルムが暮らす惑星を舞台にしたSFファンタジー。部族の異なる3人の戦士たちの間に生まれる奇妙な連帯と、“ガルムの真実”を探す彼らの旅路を描く。

「映画のすべて マスター・オブ・シネマ」と銘打ったこの講義。冒頭では、押井が「40年くらいの付き合いで、くされ縁の典型。今となっては(鈴木が)死んだらちょっとさみしいかなっていう感じの男です。一言で言えば、映画のプロデューサーで悪党ですね」と紹介すると、鈴木は「僕はナレーションも含めると押井さんの作品に4回出ている。僕は必要なんでしょうねえ」と返し、観客の笑いを誘う。

続いて、本作のキャッチコピーを手がけた虚淵玄の話題に。鈴木は「虚淵さんが作った『魔法少女まどか☆マギカ』を観て、才能があるし面白い人と感じた。彼は押井さんのファンだと聞いたので日本語版を作るときに協力を得たいと思ったんだけど『完成した映画に自分が途中から関わるのは押井さんに失礼なので、違うと思います』と明快に言われて」と振り返る。そして「説得を試みるのはやめようと考えましたが、キャッチコピーを書いてくれと頼みました。彼は『去年やった仕事の中で一番緊張しました』と言っていましたね(笑)。押井さんへの敬意を感じました」としみじみとした表情で話した。

講義の中盤には、学生から押井へ「『ガルム・ウォーズ』を作るにあたって、影響を受けた作品は?」と質問が飛ぶ。押井は「ロマン・ポランスキーの『マクベス』、戦争映画の『レッド・アフガン』、ゲームの『ドラゴンクエスト』。ファンタジーの傑作はいろいろありますが、そういうものはほとんど参照しなかった」と返答。さらに押井は「この映画のベースになっているのはケルト神話。旧約聖書や新約聖書、世界中の宗教の要素も入っている。衣装のデザインや紋章、キャラクターが話す言葉とか、なんらかのベーシックになるものなしに物語を作るのは今は不可能だと思う。世界を作り出す作業には、古典の素養は必須と言ってもいい」と力強く語る。

また、本作の日本語版を最近観たという押井は「こうなるだろうっていう想像はしていたけど、それより全然よかった。吹替版としては理想に近いと思う。キャストも含めて、今可能な中でベスト」と感想を述べ、「日本語版を観て興味を持たれた方は、ぜひ英語版も観てほしい。言葉によってどれだけ映画が変わって見えるかという格好のサンプルだと思う。なおかつ、それでも変わらないものがあるとしたら、それはこの映画の核心だと思う」と観客にアピールした。

最後に映画界を目指す学生へ、押井は「まず映画の現場に関わる人間になりなさい。ドライバーや現場付きの看護士さんもなくてはならない仕事だし、いろんな職種があるから。とりあえず監督なんだ!っていう考えを捨てたほうがはるかに可能性が広がる」と、鈴木は「映画は1人じゃ作れないもの。仲間と一緒に作らなきゃいけないから、その才能があるかどうかが大きい気がしています」とメッセージを送り、講義は終了した。

「ガルム・ウォーズ」は5月20日より全国でロードショー。

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