園子温の自主制作SF「ひそひそ星」に岩井俊二、斎藤工、鈴木敏夫がコメント

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園子温が監督・脚本・製作を担当した自主映画「ひそひそ星」。このたび、映画監督の岩井俊二や俳優の斎藤工、スタジオジブリプロデューサーの鈴木敏夫らが本作へ寄せたコメントが到着した。

「ひそひそ星」 (c)SION PRODUCTION

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「ひそひそ星」ポスタービジュアル (c)SION PRODUCTION

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「ひそひそ星」は、園が20代の頃に書き留めていた物語と絵コンテをもとに、モノクロの映像を中心に構成したSF作品。滅びゆく絶滅種である人間たちに日用品などの荷物を届けるアンドロイドの旅路をつづる。主人公のヒューマノイド、鈴木洋子“マシンナンバー722”を、園の妻である神楽坂恵が演じている。

本作は福島の富岡町、南相馬市、浪江町にてロケが行われており、岩井は「アンドロイドも宇宙船もサイエンスフィクションだが、そこに映っている福島の風景だけはノンフィクションである。五感に染み渡る美しく残酷な映画だ」とコメントする。そして斎藤は「他のどの園作品よりも園子温と言う作家の核に触れた気がした」と感想を述べる。また劇中では、アンドロイドである鈴木洋子が人間的所作といえる“くしゃみ”を何度もする。鈴木敏夫はそこに着目し、「クシャミをするのは男ではなくて女。この映画をみながらふと谷川俊太郎のことを思い出した。傑作です」と話している。

計14人のコメント全文は下記を参照のこと。「ひそひそ星」は、大島新が監督したドキュメンタリー「園子温という生きもの」と同日の5月14日より東京・新宿シネマカリテにてロードショー。

会田誠(美術家)コメント

美しい、というのは普通には憚られる、福島の無人になった被災地を、
馬鹿っぽいくらい大袈裟なSF的設定によるロケ地にした、この捩れを、重く受け止めました。

岩井俊二(映画監督)コメント

アンドロイドも宇宙船もサイエンスフィクションだが、
そこに映っている福島の風景だけはノンフィクションである。
五感に染み渡る美しく残酷な映画だ。

卯城竜太(Chim↑Pom)コメント

初めて観たとき鳥肌が立った。何気ない時間がゆっくりと進むのに、ひと時も目が離せなかった。もしかして全ての日本映画を代表するような作品を目の当たりにしてしまっているのではと興奮したが、今になってその推測は自分の中では確信になっている。本当に凄い。園さんの底なしの表現への誠意と欲望に感動したし、何よりも「SF」であるにもかかわらず、些細な生活音から荒れた福島の風景、登場する人々の仕草にいたるまで、そのあまりの「リアル」に驚いたのだ。人間が生活を営むささやかさと、現実が孕んでしまったスペクタクルの恐るべき共存。それはこの世界ではごく当たり前のことだけど、人類はいつもそれを切り離して政治的な物語を歩もうとする。
とにかく僕にとって今後この作品は、ポスト3.11、近年の自粛・検閲・監視社会、そして戦後日本の社会と美術を考える上での大きなひとつの指針になるだろう。
今でもトラウマのように全編を思い出す。顔が見える人間たちの静けさに対し、
機械と影絵だけが笑うことを覚えていた、あのモノトーンの未来を。

エリイ(Chim↑Pom)コメント

語るものではない。観て、感じるものだ!
一コマ一コマにそれぞれの「感覚」が付随していて、
私たちが死んでからもずっと遠くの宇宙空間に共に漂うだろう。
私は夫婦という単位を感じなかったが、フィルム全てに含有されていた。
この映画の神楽坂恵さんは日本女性全ての象徴・憧れをもたらす。

栗原類(モデル)コメント

今作の最大のテーマ”福島”についての園さんの思いが伝わりました。
物語は宇宙船に乗って様々な星に郵便物を届けると言う設定で全編モノクロと言うかなりSFっぽい部分があるのですが、福島で撮影したシーンになったら急にカラーに変わり、
その瞬間に”これは映画ではなく現実だ"と感じさせられます。     
劇中に出てくる廃墟の中にいる人達は実際の福島の方々なので彼らが言う言葉の説得力はプロの人達の芝居では出せない力があります。
深くは語らず、”どう感じる”かを自問自答させる、今までに無い園子温映画です。

斎藤工(俳優・監督)コメント

ひそひそ声は
耳を傾けなくては聴こえない
ひそひそ星は
心を傾けなくては観えてこない
五感を捧げる事で
他のどの園作品よりも
園子温と言う作家の核に触れた気がした
同じ宇宙を描いた
大作映画もいいが
これも劇場で体感すべき凄まじい作品

齋藤陽道(写真家)コメント

「おはよう」と声をかけて「さよなら」と別れる。そのあいだで煌めくものは何もおこらない、劇的な日常だった。ぼくらには記憶がある。
記憶は宇宙を越える。そのことを教えてくれる。

篠原愛(画家)コメント

「忘れないで。」「覚えているよ。」福島を撮り続ける監督の思いは時空をこえて、
ひそひそと語り綴られる。

鈴木敏夫(スタジオジブリ プロデューサー)コメント

クシャミをするのは男ではなくて女。
この映画をみながらふと谷川俊太郎のことを思い出した。傑作です。

谷川俊太郎(詩人)コメント

二十億光年の孤独にアンドロイドもくしゃみをする

田野辺尚人(映画秘宝)コメント

「ひそひそ星」は科学ですらも永遠ではないという究極のSF映画だ。園子温は詩的創造力でこの映画の原型をイメージした。それから30年近い時間が経ち、文明が寂しく終わるビジョンがリアルになった。大声で世の終わりを叫ぶのではなく、ささやくようにアンドロイドがノーフューチャーの宇宙を旅する。とても静かなパンク。

永井豪(マンガ家)コメント

人類の終焉に思い出の品を届けるアンドロイド。
美しいモノクロ映像が描く、時が止まったような世界。
心に染み入る“名作”の誕生!!

羽田圭介(作家)コメント

10年前、「紀子の食卓」「気球クラブ、その後」を観た時の衝撃が蘇った。あの頃よりもっと自由に作られているというエネルギー感と、そして洗練された技巧。タルコフスキーっぽさは表層的なもので、本作は近年公開された中で最も進化し洗練された園子温作品だ。

和多利浩(ワタリウム美術館代表)コメント

正反対の要素が混在する映像
未来と懐かしい過去
身近と遥か彼方の星での出来事
そして娯楽とアートの共鳴
驚きの園子温映像でした。

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読者の反応

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碇本学 @manaview

この作品はモノクロで一瞬変わる部分はあるのだけど、音も素晴らしい。現実感というか日常にある音が、観るものの身体性をより喚起させてくる。 RT 園子温の自主制作SF「ひそひそ星」に岩井俊二、斎藤工、鈴木敏夫がコメント https://t.co/yEGRm753iw

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