1月23日に公開初日を迎えた「
「お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました」は、2010年に60歳を迎えた遠藤の還暦の旅を巡るドキュメンタリー。タイトルは遠藤の同名代表曲から付けられ、遠藤率いるパンクバンド、ザ・スターリンの復活、還暦ソロツアー、「プロジェクトFUKUSHIMA!」の立ち上げといった2011年の活動を追った内容となっている。
「(阪本)監督と僕のつながりを、皆さんあまりご存知ないと思うんですけど……」と切り出した遠藤は、自身がバンド活動を始めた頃に交流があったことを明かす。当時大学生だった阪本は、知り合いを通じて遠藤のバンドの手伝いをしていたそうで、ザ・スターリンのファーストシングル「電動こけし」のソノシートを袋に詰める作業も行ったとか。阪本も当時を振り返り、遠藤が出演した石井聰互の監督作「爆裂都市 BURST CITY」にて美術スタッフを務め、ザ・スターリンのライブパフォーマンスでもおなじみの豚の臓物を買いに走ったことを回想する。
ザ・スターリンが1983年に行った東京・後楽園ホールでのライブに話が及ぶと、2人は、ソビエト大使館までヨシフ・スターリンの映像を一緒に借りに行ったエピソードを披露。そのライブでは観客が盛り上がりすぎるあまり客電が付けられ、肝心の映像が見づらくなってしまったというオチに。本日2人が再会したのはその日以来だということで、遠藤は「33年ぶりにお会いしました!」と驚きと喜びの混じった声を上げる。
これを受け、阪本は「この映画を観てホッとしました。もちろん長い年月の間にいろいろ変わったでしょうけど、僕からしたら昔のミチロウさんのまま」と感想を伝え、「かたや俺は汚れちゃったなって感じ」と笑う。また阪本は本作で語られる“偽悪”という言葉について触れ、「何かまどろっこしさのようなものがあったのですか?」と質問。遠藤は「子供のときはいい子だったんです。でもあるとき突然、偽善だなって感じて。それが(故郷の)福島を嫌いになる大きな理由だったのかも」と返す。制作期間中に東日本大震災が起こった本作には、それまで故郷を省みることのなかった遠藤が、再び福島に目を向けていくさまも捉えられている。
また、2月27日に公開を控える阪本の監督最新作「ジョーのあした-辰吉丈一郎との20年-」について、遠藤は「父と子のドラマでしたね」とコメント。そして「映画のタイトルで『お母さん』と言いながら、逆に父親の大きな影響が自分を作ったと感じる」と述べ、当初は「父よ、あなたは偉かった」という遠藤の楽曲タイトルをテーマにする予定だったことを打ち明ける。イベント終盤では、阪本が「普段のミチロウさんを今日初めて知った人?」と観客に問いかける一幕も。わずかに手が上がる中、遠藤は「意外とこんなやつだって、皆さん知ってますよね」と穏やかな表情を客席に向けた。
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映画『お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました』昨日より新宿ケイズシネマにて公開スタートのレポートです!遠藤ミチロウと33年ぶりの再会、阪本順治が回想「豚の臓物を買いに走った」 - 映画ナタリー https://t.co/vazy0dtPGF