〇〇の異常な愛情 Vol. 11 [バックナンバー]
山田くんの場合:12歳ながらジャッキー・チェンのファン歴9年の男の子は、如何にして愛を温め続け本人と対面するに至ったか
2024年7月3日 19:00 18
ジャッキーファンから学んだのは「自分の人生は自分で楽しくする」ってこと
──家で
幼稚園を卒園した頃はジャッキーへの愛を語れる人がいなかったんです。コロナが始まった3年生のとき、妹もお姉ちゃんも小学校が被らない年で心細くて、自分の筆箱にジャッキーのシールを貼って学校に行ったら、後ろの席の女の子が「ジャッキーだ!」って反応してきたんですけど、最初は「知ってるわけがない!」って信じてなかったんです。でもその子のお父さんがすごくジャッキーが好きで、その人がグッズをくれたり、話をしてくれたり、いろんなところに連れて行ってくれて、それが最初の本格的なジャッキーファンとの関わりでした。その年の夏休み、「アジアの殿堂」っていう企画(※2020年に行われたアジア映画の特集上映)で東京にジャッキーの映画を観に行って、ジャッキーファンの皆さんと出会いました。
──それまでは劇場で観たことがなかった?
「
──それまで周りになかなかジャッキー愛を語れる人がいなかったと考えると、すごく大きな出会いでしたね。
ファンの方々に教えてもらったことで2つ、これからの人生で大事にしたいなと思ったことがあって、1つ目はジャッキー・チェンという人の人柄。僕は今まで、ジャッキー・チェンのアクションとか映像が好きだったんですよ。もちろんインタビューとかで素晴らしい人とは聞いてましたけど、映像として好きだったんです。でもファンの人たちの中には何回もジャッキーに会ったことがあるとか、若い頃のジャッキーの(ファンとの)接し方を知ってるとか、撮影現場でのジャッキーを見たことがあるという人たちがすごく多いんです。世界中からファンを呼んでジャッキーの負担でイベントをやったことや、東日本大震災のときも多額の寄付をしたことを教えてもらい、そういうジャッキーの人柄が印象に残って、この人を一生応援していきたいなって思いました。
2つ目は、「自分の人生は自分で楽しくする」ってこと。ジャッキー・チェンに感銘を受けたファンの皆さんは、ジャッキーを応援するため、ジャッキーを伝えるために、俳優になったりラジオを始めたりと自分の人生を変えてきたんですね。それを受けて、僕も将来はジャッキーを伝えていきたい、ジャッキーになりたい、ジャッキーに愛と感謝を伝えたいと強く感じるようになりました。このことは、(小学校の)卒業文集にも「ジャッキー・チェンとジャッキーファンに支えられて」というタイトルで書きました。
──「マツコの知らない世界」でも「僕の人生を作ってくれたのは本当にジャッキー」「(ファンのみんなとの)出会いもジャッキー」と言ってましたね。
4歳から今までジャッキーのおかげで夢みたいな出会いや機会が絶えず続いているので、ジャッキーがいなかったら僕の人生どうなっていたのか想像がつかないですね。
──友達や周りの大人への広報活動もしていると聞いたのですが。
ファンの皆さんの話を聞いていると、「ジャッキーになりたい」という人と、「ジャッキーを伝えたい」という人がいるんですよ。僕はどっちもなんですけど、より強いのが「伝えたい」。当時の子供たちも、僕も、大人も魅了されている人がたくさんいるから、きっとどの時代でもジャッキーは支持を得ると思う。僕も伝えていくべきだと思って、積極的に学校集会やクラスでジャッキーのことを話しています。「
──ジャッキー・チェンと映画への愛があふれていて胸が熱くなりました。あと、めちゃくちゃ絵が上手でびっくりしています。
なんか照れるー(笑)。僕は美術部で、絵を描くのも好きなので、ジャッキーの絵はめっちゃ描いてます。
山田くんの父 1人で集中して紙に向かってると思ったら、だいたい写経のようにジャッキーの顔を描いています。なんだか落ち着くみたいで。
何時間ジャッキーを描いていても楽しいです。ちっちゃいときから“何を描くか迷ったらこれ”と決めてるジャッキーの写真があるんですけど、描くたびにまだ発見があるんですよね。鼻の角度を変えたらより近くなった!とか。
「ライド・オン」で隣の子が大号泣してて、「伝わった!」と僕も大号泣
──美術の腕もジャッキー・チェンのおかげで向上してるんですね。今回、小中学生が対象となる「ライド・オン」の100円キャンペーンを企画したことで“宣伝アドバイザー”に就任したわけですが、もともとは「寅さん」がきっかけなんですよね。
「
──「ライド・オン」はもう何回も観ているんですか?
(6月11日の時点で)5回“だけ”です。言い訳すると、定期テストが近くて時間が全然合わなくて(笑)。
──公開から2週間も経っていない中で5回は相当です。「ライド・オン」は5回観ていてもまだ発見がありますか?
あります! ジャッキーが「香港国際警察/NEW POLICE STORY」の本を読んでいたり、「スパルタンX」に出てきた黄色い車が、ジャッキーが市場で戦う背景にぼんやり映っていたりしました。
サモ・ハン・キンポー、アーミル・カーン、チャップリン、キートンも好き
──ちなみに、ジャッキー・チェン以外の映画も観るんですか?
めちゃくちゃ観ますが、どれもジャッキー・チェンがきっかけです。ジャッキーが尊敬する(チャールズ・)チャップリンや(バスター・)キートン、(ハロルド・)ロイドの無声映画がすごい好きで、あとはイギリスコメディの「Mr.ビーン」や、「
──12歳の男の子から「ファミリー映画」という言葉が出るとは思っていませんでした。
「
──好きな監督はいますか?
ジャッキー・チェンです(即答)。
──愚問でした。ではジャッキーのほかに好きな俳優は?
俳優はたくさんいます。
──では最後に、改めてジャッキー映画をアピールしてください!
ジャッキー・チェンの映画はストーリーがわかりやすくて、その中で繰り広げられるコミカルなアクションシーンと、それぞれのキャラクターが本当に素敵です。ジャッキー・チェンの映画は観れば観るほど発見と楽しさ、そして希望が満ちあふれているので、どんどん観てほしいです。
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リンク
大成龍祭2011 @daiseiryusai
映画ナタリーさんの、著名人の意外な趣味にスポットを当てる連載「〇〇の異常な愛情」。というコラム記事。今回の取材とコラム記事を書かれた脇菜々香さんの、山田くんのインタビューは、彼の人となりがよくわかって良いですね!山田くんのコメントが読んでいて、微笑ましくもあり、感心させられます! https://t.co/wL9QXsJI6E