あべんたさんによるクリストファー・ノーランのコスプレ。

〇〇の異常な愛情 Vol. 10 [バックナンバー]

あべんたの場合:IMAXに魅了された男は如何にしてクリストファー・ノーランのコスプレに興じるに至ったのか

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何かに並外れた愛情を注ぐ人や、著名人の意外な趣味にスポットを当てる連載「〇〇の異常な愛情」。第10回となる今回は、IMAXに魅了され、映画監督クリストファー・ノーランのコスプレにまで興じるようになったあべんたさん(@AventaLp224)にインタビューを実施した。

あべんたさんは世界最大級のIMAXシアターがあるオーストラリア・シドニーまで足を運び、現在はSNSでIMAXの最新情報を発信している。そしてノーランのコスプレをするうえでは、“自作のIMAXカメラ”を欠かさない。彼がIMAXやノーランに惹き付けられる理由について話を聞いた。

取材・/ 小宮駿貴

IMAXカメラを持ってみたい……!

──「COSPLAY CHAMPIONSHIP in 東京コミコン2023」のステージにて、クリストファー・ノーランのコスプレを披露して会場を沸かせていました。チームでのパフォーマンスも素晴らしく、見事優勝されましたね。SNSなどで反響があったのでは?

ありがとうございます! 今までのコスプレ経験を存分に発揮できたと思います。会場の皆さんが温かくてうれしかったのと、クリストファー・ノーランの存在の大きさを改めて感じました。チームでのパフォーマンスにも満足していて、「感動した!」と多くの方からコメントをいただきました。それはチームの皆さんの“ダークナイト愛”と、出し合った意見を反映し心に響くパフォーマンスに仕上げたレンタル悪党さん(@rental_villain / 同ステージにジョーカーの手下役として登場)のおかげです。

「COSPLAY CHAMPIONSHIP in 東京コミコン2023」にて優勝した際の写真。

「COSPLAY CHAMPIONSHIP in 東京コミコン2023」にて優勝した際の写真。

──皆さんの“ダークナイト愛”が感じられるステージでした。ノーランのコスプレを始めたきっかけは?

IMAXカメラを持ってみたい……! この目で見たい……!と。いつか東京コミコンで展示されたらなあと感じていたんですが、コスプレされている方々を見て「自分で作っちゃおう! 自由にいつでも持てるし」と思い立ちました。実はコスプレのきっかけは小道具のIMAXカメラなんです。もちろんノーランも一番好きな監督なので、コスプレをするとしたらノーランと決めていました。服装はいつも同じスタイルですし、IMAXカメラと一緒の写真が多いので、皆さんにもわかってもらいやすいと思い、迷いなく制作しましたね。IMAXカメラ×ノーランが少しでも人々の記憶に残ってほしい、忘れないでほしいという思いもあります。

──ノーランのマスクは何種類かあるのでしょうか?

6種類ほどあります。やっぱり正面が一番使いやすいですね。あとは「TENET テネット」のときに、主演のジョン・デヴィッド・ワシントンがノーランの説明を必死に理解しようとしている現場写真がSNSで話題になったので、同じポーズを取りたいと思いチョイスした表情、バットマンとのツーショットでいい感じになる表情もあります。

クリストファー・ノーランのコスプレ用マスク。

クリストファー・ノーランのコスプレ用マスク。

インターステラー」は今でもオールタイムベスト

──ノーランのコスプレ活動をしていることで、いい意味で思わぬ経験をしたことはありますか?

外国人から声を掛けられたときに「クリィスタァファ・ノゥラン!」「アィマーックス」ってネイティブの発音を生で聞けたことです。そのあと一緒に写真を撮って「僕の人生が満たされたよ。ありがとう!」と言われました。

──ノーラン作品のどんなところに魅了されたのでしょうか。

エンディングに向けて複数の映像と語りで締めるところが好きです。2012年にテレビ朝日の日曜洋画劇場で観た「ダークナイト」吹替版の、ラストにタイトルが出るタイミングがかっこよすぎて痺れました。今回の東京コミコンでのパフォーマンスもそういった意味で思い入れがあります。のちに「ダークナイト」のBlu-rayもゲットして、何回も観てノーランを好きになりました。ほかにも記憶や時間の操作、会話劇や緊張感、絶望感からの怒涛の伏線回収など、自分の嗜好と合っていたことですかね。また、映画館で観た「インターステラー」は今でもオールタイムベストです。駅にたどり着くまで、友人と大泣きしながら歩いていました。

あべんたさんのコレクションの一部。

あべんたさんのコレクションの一部。

僕が好きなあれもこれも、実はIMAXが関わっていたんだ

──「インターステラー」泣けますよね。あべんたさんがIMAXにどれほど魅了されているのかもお聞きしたいです。世界最大級のIMAXシアターがあるオーストラリア・シドニーまで足を運ばれたそうですが、なぜそこまでIMAXにのめり込むようになったのでしょうか。

「これだ!」って思えるくらい好きで趣味にもなったIMAX70mmフィルムが、世界的に撤去され始めていると知ったからです。小学1年生のときに映画館で「ハリー・ポッターと賢者の石」を観てから、洋画をメインに映画館で観るようになりました。何回か劇場で映画を観るうちに、スクリーンの大きさがシアターごとに違うのに気付き、観るなら大きいスクリーンがいいなあとモヤモヤしていて、高校1年生の頃に「世界で一番大きいスクリーンってどれくらいなんだろう」と、ふと調べたんです。それがIMAX Sydney(横35.73m、縦29.42m)でした。当時、海外には行けなかったので県外にあるIMAXデジタルシアターに行っていて、もうその頃には映画を観るならIMAXってぐらいハマっていましたね。いつかシドニーに行きたいなと思いながら。

──そうなんですね。

同時期にノーラン作品も好きになり、「ダークナイト」のBlu-rayの特典映像にIMAXカメラが出てきて「IMAXってノーランと関係があるの? IMAXカメラってなんだ?」と、IMAXについてよく調べるようになりました。昔、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンで楽しんだ「バック・トゥ・ザ・フューチャー・ザ・ライド」もIMAXシステムだったことを知って。僕が好きなあれもこれも、実はIMAXが関わっていたんだと気付いてから、さらにIMAXに興味が湧きました。IMAX Sydneyなら超高精細な映像で、あのアトラクションみたいな大スクリーンでノーラン作品を何時間も体験できるんだと思い、大学に入ってから少しずつ遠征のお金を貯めていましたね。

IMAX Sydneyのシアター内の様子。

IMAX Sydneyのシアター内の様子。

でも、いろいろと違和感が出てきたんです。例えばIMAXデジタルは2009年から日本に登場しましたが、「2002年に東京アイマックス・シアターが閉館」という記事を見つけて、「いったいどういうこと?」と。以来、IMAXの歴史や過去に起きたこと、そしてIMAX社自体に興味を持ちました。今では知っている人も増えましたが、ノーランのIMAXはフィルムのほうで、そのIMAX70mmフィルムは世界的に撤去され始めています。それを知って「観られないまま終わるかもしれない」「これはヤバい」と焦っていた最中、2015年9月にIMAX Sydneyのホームページに「EXPERIENCE IT ONE LAST TIME IN IMAX(最後にもう一度、IMAXで体験せよ)」と載っていて。ちょうど夏休みのときだったので、急いでパスポートを発行して1人で行きました。僕が行ったIMAX Sydneyは2016年に閉館しまして、2023年に新しくオープンしたIMAX Sydneyは大きさも構造も変わっています。

映画の中に引き込まれる感覚がたまらなかった

──実際にIMAX Sydneyを体感されていかがでしたか。

入った瞬間「デカッ……!」となり、目の前がスクリーンでいっぱいになりました。A列より前の通路から、下に6~7mくらいはスクリーンがあって、日本より湾曲していました。スクリーンから座席側を見ると映画館とは思えないくらいの急勾配で、場内が暗いこともあって階段を上るときにつまずいたのを覚えています(笑)。降りるのも少し怖かったですよ。座席に座ると、スクリーンが自分の位置からさらに上に15mくらいあり、下にも15mあったのが強烈に印象に残りました。前に座った人の頭の位置が、自分のすねの前にあって「ここは映画館なのか?」と。

IMAX Sydneyのシアター内の様子。座席の急勾配、スクリーンの大きさが伝わってくる。

IMAX Sydneyのシアター内の様子。座席の急勾配、スクリーンの大きさが伝わってくる。

──すごいですね! そのシアターでは何を観たんですか?

IMAX70mmフィルムの「インターステラー」です。ワーナー・ブラザースやレジェンダリー・ピクチャーズのロゴが登場するだけでもすごかったです。普段はロゴについてなんとも思わないんですが、金色に映る街がゆがむところは本当に視界がゆがんだように感じたり、光がこちらに迫ってくる描写は光がぶつかってくる感覚で少し顔を避けました。それくらい画に力が宿るんです! IMAXの映像は生々しく、ときに暴力的で、ときに絵画的で、撮影でピントがドンピシャに合ったシーンは現実世界と錯覚するほどに変わらない光景になります。顔を上下左右動かして視界いっぱいのIMAX体験を堪能し、何名か前のめりになって観ている人もいました。フレームを超えて映画の中に引き込まれる感覚がたまらなかったです。「Under the Sea 3D」も観ましたが、こちらも衝撃的なIMAX70mmフィルムの3D体験でした。

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「広めなければ……!」と思い立ったのがきっかけ

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アメコミ映画最新情報 杉山すぴ豊(すぎやま すぴ ゆたか) @supisupisupi

わ! #東京コミコン でも大人気のノーランさんだ^_^ https://t.co/jwyVfJfsUs

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