ホラーやゾンビをこよなく愛する著名人らにお薦め作品を紹介してもらうリレー連載「今宵も悪夢を」。集まった案内人たちは身の毛もよだつ恐怖、忍び寄るスリル、しびれるほどの刺激がちりばめられたホラー世界へ読者を誘っていく。
第6回は
文
トラウマになってしまうほど、いつの間にかキャラクターに感情移入していた
お金に困っている456人が悲惨な現状から抜け出すべく命懸けのサバイバルゲームを行い、賞金456億ウォンの獲得に挑むというお話なのですが、「イカゲーム」はよくあるサバイバルゲームとは全く違うところがあります。
まずゲームというものが“だるまさんがころんだ”など、子供でも楽しめるようなものばかりなのです。更に参加者の過半数がゲーム続行の拒否をすれば途中で辞めることもできます。つまり参加者達はゲームに理不尽に参加させられている訳ではなく、自らの意思でこのゲームに参加しているということです。
参加者のほとんどが、命を懸けなければいけないほど借金を背負っており、1ゲーム目の時点ではたとえ敗者になり命を落としたとしても、自業自得だろうと思って観ている自分がいました。
しかし話が進んでいくにつれ、キャラクターの背景や人柄が見えて、参加者同士の関係性や絆が描かれていきます。ビー玉遊びをする6話ではすごく胸が苦しく、トラウマになってしまうほど、いつの間にかキャラクターに感情移入しておりました。観ていた側からしても、グループ内で友情や仲間意識が芽生えてきたのがわかっていたんですよ。このグループならやってくれるかもしれないって感じていたのに……。すごく信頼している人とがんばってゲームをクリアしたいと思っていたのに、良心を踏みにじって生き残ることになるというのがつらかったですね。人間の怖さを知ってしまった回でした。
サバイバルゲームやグロテスク描写が苦手だという方もいるとは思いますが、この作品は音楽も背景もポップなので、比較的観やすい作品になっているかと思います。よくある音で驚かす、ではなく、役者さんたちの表情や仕草一つ一つがドキドキハラハラ感を演出してくれるので、その演技力も必見です。
まだまだ謎が残るこの「イカゲーム」。続編の制作に期待です。
桃月なしこ(ももつきなしこ)
1995年11月8日生まれ、愛知県出身。“可愛すぎる現役ナース”として一躍脚光を浴び、ファッション雑誌bisのレギュラーモデル、コスプレイヤーとして活躍している。サカイ引越センターのテレビCMに出演しているほか、「魔進戦隊キラメイジャー」で敵幹部ヨドンナ役に抜擢され、スピンオフでは主演を務めた。東映の配信ブランド・Xstream46作品「ようこそ東映殺影所へ」にも主演している。
「イカゲーム」(2021年製作)
賞金456億ウォンが懸かった奇妙なゲームへの招待を受け、参加を決めた456人。彼らはそれぞれの悲惨な状況から抜け出すため、昔ながらの遊びを取り入れた“死のサバイバルゲーム”に挑むことになる。監督・脚本を担ったのは、「トガニ 幼き瞳の告発」「怪しい彼女」を手がけた
Netflixシリーズ「イカゲーム」独占配信中
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