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映画「惡の華」押見修造が仲村さんの未来を想像「女優になる道もあるだろうし」

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「惡の華」公開直前試写イベントの様子。左から井口昇監督、玉城ティナ、押見修造。

「惡の華」公開直前試写イベントの様子。左から井口昇監督、玉城ティナ、押見修造。

押見修造原作による実写映画「惡の華」の公開直前試写イベントが9月15日に東京・神楽座にて行われた。

「惡の華」は閉塞感に満ちた地方都市で暮らす男子中学生・春日が、ひょんなことから憧れのクラスメイト・佐伯の体操着を盗んでしまい、さらにそれをクラスの問題児・仲村に目撃されたことから始まる物語。イベントには監督の井口昇、原作者の押見修造が登壇し、MCとして原作が連載中の段階で、SNSにて「惡の華」の実写映画の監督に井口の名前を挙げていた映画評論家・町山智浩が出席した。

19歳のときに井口が監督を務めた映画「クルシメさん」に感銘を受けたという押見は「自分もこういうものを描きたいというか。設定は突飛だけど中身は普遍的。自分の悩みをこういうふうに形にすればいいんだと教えてもらった気がします」と自身のマンガ制作に影響を受けたことを明かす。続けて「惡の華」には、井口監督の「わびしゃび」「恋する幼虫」といった作品群に影響を受けていると説明した。

また今回の実写映画について井口監督は「企画が止まってしまったことも何回かあって、今こうして話している姿をあのときの自分に見せてやりたい」と感慨もひとしおの様子。井口監督は2011年の段階で押見に「惡の華」の映画化を直談判していたこともあり、井口監督以外の企画を断り続けていたという押見も「井口監督にやっていただけるならば間違いないはずだと思っていました。原作通りだと思いましたし、テーマ的にも、キャラクターの仕草やフィジカルな部分も原作通り。やったという感じ」だと改めて喜びを語った。

イベントの中では町山が押見へ「最後に仲村さんは救われたのか?」と質問を投げかける場面も。それに対し押見は「マンガとしては救ったつもりはない。春日は救えるようなこともしていないし。救えるようなやつでもない。仲村さんを救うことが傲慢なんで」と回答する。また原作の仲村のその後について「あのままずっと生きていくことはできないんじゃないかな。どこかで仲村さんも普通人間にならざるを得ないときが来る。そうじゃないと春日に『二度とくんなよふつうにんげん』とは言わないような気がする」と分析。「その後どうなるだろうと思います?」と町山に振られた押見が「色んなパターンがあるだろうと思うんです。女優になる道もあるだろうし」と話すと、井口監督も「僕も役者に出会って舞台とか出たりするんじゃないかなと思った瞬間があったりしました」と同じ考えを持っていたことを明かし驚いていた。

ここで町山の呼び込みにより玉城がサプライズで登壇すると、彼女の登場を知らされていなかった井口と押見は驚きの様子。玉城は町山の要望で「クソムシが」と笑顔を振りまき、「家からそのまま来ました! 今日はオール私服でメイクも自分です」と挨拶する。押見は玉城の演技について「完全に恋してしまいました。まったく(原作との)ズレを感じなかった。仲村さんのシーンすべてが最高。改めてマンガを読み直すと『なんてショボいんだ。マンガだめじゃん』と思ってしまいました」と絶賛した。

また話題は押見が現在連載中の「血の轍」についても及ぶ。町山が「血の轍」の主人公・静一の母・静子について容姿や考え方が「惡の華」の佐伯そのものだと発言すると、押見も「その通りなんですよ。『悪の華』を描いている途中でここをもっと掘り下げないといけないと気づいて」と隠された共通点を明かした。

最後の挨拶では押見が「自分にとってとても大切な映画」だと話し始める。続けて「井口監督に影響を受けて描いたマンガをまた若いファンが見て、井口監督の映画を観て僕が感じたようなことをまた感じて、僕が「悪の華」を描いたように繋がっていったりするのかなと思うと、うれしい楽しみだなと思います」と期待を寄せ、「僕がまたマンガ家として次に進めるような映画なのでぜひ観てほしいです」と述べてイベントを締めくくった。

※記事初出時、キャラクター名に誤りがありました。お詫びして訂正します。

(c)押見修造/講談社 (c)2019映画『惡の華』製作委員会

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