「廻刻の勇者」1巻

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「廻刻の勇者」主人公の愚直なまでの姿が愛おしくてたまらない! 「パリピ孔明」の原作者が新たな切り口で描く“死に戻り”成長譚

PR佐藤貴彬、四葉夕卜「廻刻の勇者」

魔族により、人類の領土が半分も侵食されている世界。勇者の紋章が刻まれたバルトはそんな人類の希望の存在だった。しかしバルトに与えられたのは、無限に広がる絶望と、時を超える力で……。「パリピ孔明」の四葉夕卜が原作、「ぼくらのクピド戦記」の佐藤貴彬がマンガを手がける“死に戻り”ファンタジーだ。作品は週刊少年チャンピオン(秋田書店)で連載されている。

/ 太田祥暉

佐藤貴彬、四葉夕卜「廻刻の勇者」1巻
佐藤貴彬、四葉夕卜「廻刻の勇者」1巻
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「パリピ孔明」の原作者が新たな切り口で描く“死に戻り”ファンタジー

あの諸葛亮孔明が現代の渋谷に転生し、シンガーソングライターの少女の夢を叶えるべく軍師としての才能を発揮するマンガ「パリピ孔明」。アニメ化や連続ドラマ化もされ、原作を読んでいなくともそのタイトルは聞いたことがあるという人は多いかもしれない。そんな「パリピ孔明」はマンガとして生み出された作品であるが、そもそも原作者の四葉夕トがライトノベル作家であることを皆さんはご存知だろうか?

「廻刻の勇者」第1話より。

「廻刻の勇者」第1話より。

四葉は「小説家になろう」投稿作を対象に行われる、ネット小説大賞の第4回を受賞した「エリィ・ゴールデンと悪戯な転換」でデビュー。その後ライトノベル作家として活動しながら、「パリピ孔明」でマンガの世界にも進出。そこからはライトノベル、マンガ原作の双方を手がけている。

そんな四葉の最新作は、勇者としての過酷な運命を背負わされた少年が「死に戻り」をしながら、誰も死なない未来を掴み取るための成長譚。異世界転生・転移ものではもはや定番となった「死に戻り」能力を軸にしながら、新たな切り口で描く少年マンガらしい熱血ファンタジーだ(なお本作は転生も転移もしないので厳密には異世界転生・転移ものではないことをお伝えしておく)。

周囲の人を救うため奔走する、主人公の愚直な姿が愛おしくてたまらない!

さて、異世界ファンタジーものにおける「死に戻り」といえば、明確な理由が明かされないまま主人公が遭遇し、なぜ自身だけは死んでもとある時点に戻るのか、その謎を探っていく……というものが多い。

「廻刻の勇者」第1話より。主人公のバルト。

「廻刻の勇者」第1話より。主人公のバルト。

そこで本作の主人公・バルトを見てみよう。バルトは、17歳になることで勇者としての能力が覚醒する。しかし、17歳を迎える0時直前、自身を守るためにに幼なじみたちは魔物に殺されてしまう。そして、その姿を目の当たりにし、絶望のあまり自刃したバルトは、3年前に死に戻ってしまう……というところから、物語はスタート。そのため、「死に戻り」はあくまで勇者としての能力の1つとなっており、主眼は幼なじみたち仲間を魔物から救うことにある。つまり、「死に戻り」を活用して敵に勝つのではなく、来るXデーに向けて成長して仲間を救うことが本作の軸なのだ。

「廻刻の勇者」第1話より。17歳の誕生日を迎え、バルトはある真実を知る。

「廻刻の勇者」第1話より。17歳の誕生日を迎え、バルトはある真実を知る。

そもそも異世界ファンタジーの主人公といえば、何かしらの強い力(転生した際に女神からチート級の能力をもらうなど)を持っていて、それを駆使しながら冒険することが多い。対して本作は、17歳の誕生日を迎えないとバルトは勇者の力を使えないし、なんなら幼なじみのサリアにすら負けてしまう(17歳になるまでに3000連敗するほど)ほど無力。加えて勇者としてのプレッシャーもあったため、死に戻ってからは勇者の力だけに頼らず、とにかく力を付けて、周囲の人を救おうと奔走していくのだ。その愚直なまでの思いが愛おしくてたまらない!

騎士団に入って。さらには剣聖とまで謳われる強さの男・ゼノンの近くにいるようになって。それからも直向きにバルトは鍛錬を重ねていく。すべては幼なじみたちを救うために。

新基軸のストーリー、ストレートで熱いファンタジーアクション

ただ、敵もすぐに倒される存在ではない。本来の歴史であれば剣聖も殺され、騎士団も壊滅状態にさせられるほど強大な力を持っている。特に魔王軍の第六軍団長・サディストスは強大な力を持って、バルトの前に立ち塞がる。17歳を迎える直前、またもサリアや幼なじみたちを失ってしまったバルトは、このときも自刃して「死に戻り」能力を行使。3年前に戻り、彼を殺して、仲間たちを救うことを誓う。

「廻刻の勇者」第1話より。

「廻刻の勇者」第1話より。

──と、ここまで見てきたように、本作は勇者が魔王を倒すお話であること、勇者にはチート級の能力が備わっていること、「死に戻り」能力を使うことなど、異世界ファンタジーものの流れを汲んだ基礎設定ではあるものの、ストーリーの流れは新基軸。覚醒すれば魔物にも対抗できる力を持つ主人公が、仲間を救うために「死に戻り」を選び、自らを鍛え上げ、敵を倒す。ストレートで熱いファンタジーアクションなのだ。そんな物語に滾らない人はいるだろうか。いや、いない!

思い返せば、四葉は「パリピ孔明」でも諸葛亮孔明が現代に転移して軍師として才能を発揮するという、異世界ものの流れを汲みつつも新たな切り口を提示し人気を集めた作家。本作「廻刻の勇者」でもその才能が発揮されることは間違いない!?

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「廻刻の勇者」第1話を試し読み!
©四葉夕卜・佐藤貴彬(秋田書店)

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