新国立劇場バレエ団「ジゼル」公開リハ、3組のカップルがお目見え

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6月から7月にかけて上演される新国立劇場バレエ団「ジゼル」の主役公開リハーサルが、昨日6月6日に行われた。

新国立劇場バレエ団「ジゼル」の主役公開リハーサルより。左から渡邊峻郁、木村優里、米沢唯、井澤駿、小野絢子、福岡雄大。(撮影:鹿摩隆司)

新国立劇場バレエ団「ジゼル」の主役公開リハーサルより。左から渡邊峻郁、木村優里、米沢唯、井澤駿、小野絢子、福岡雄大。(撮影:鹿摩隆司)

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左から福岡雄大、小野絢子。(撮影:鹿摩隆司)

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「ジゼル」は、1841年にフランス・パリで初演されたロマンティックバレエの名作。舞台は中世ドイツの農村。村娘のジゼルと農夫ロイスは恋仲だが、実はロイスは身分を隠した貴族のアルベルト伯爵で、すでに婚約者がいるのだった。ジゼルに思いを寄せる森番のハンスは、ジゼルにロイスの正体を明かすと、ジゼルは狂乱の末死んでしまい……。第1幕の、村娘としての可憐な踊りや「狂乱の場」のマイム、また第2幕に精霊ウィリとなって披露する、重力を感じさせない踊りなど、美しく見どころの多い作品だ。

小野絢子(撮影:鹿摩隆司)

小野絢子(撮影:鹿摩隆司)[拡大]

リハーサルには、新国立劇場舞踊芸術監督の大原永子、ゲストコーチのロバート・テューズリーとコーチの菅野英男、そしてジゼル役を演じる小野絢子米沢唯、木村優里、アルベルト役の福岡雄大井澤駿渡邊峻郁が出席。3組が、それぞれ1シーンずつ15分程度のリハーサルを行った。

まずは小野&福岡のペアが登場。1幕で、ロイスがジゼルの家を訪れるシーンが行われた。ロイスが扉をノックする音を聞き、ソワソワと高くスキップするような足取りで外に飛び出すジゼル。そんな彼女がかわいくてたまらないというように、ロイスは抱き寄せようとしたり、キスしようとしたり、恥じらうジゼルを追いかける。そうして徐々に距離を縮めていく二人の様子を、小野と福岡は表情豊かに全身で表現した。1シーンを踊り終わると、テューズリーは二人の元へ近づき、良かった部分を褒めながら、さらに感情を豊かに、もっとジャンプを高く、と難易度を上げた。そのアドバイスを受け、さっそく実践しようと試みる小野と福岡。二人の様子に、テューズリーは「That's nice!」と笑顔を向けた。

左から木村優里、ロバート・テューズリー。(撮影:鹿摩隆司)

左から木村優里、ロバート・テューズリー。(撮影:鹿摩隆司)[拡大]

続けて木村&渡邊ペアが登場。ロイスことアルベルトが、ジゼルの墓を訪れる2幕のシーンに挑む。死んで精霊ウィリとなったジゼルを、木村は風になびく柳のように弱々しく、また儚げに演じる。対する渡邊は、後悔の念に駆られるアルベルトの苦悩を、前半はぐっと抑えた演技で表現。しかしジゼルの存在をそばに感じてからは、抑えていた思いを一気に噴出させるようなダイナミックなジャンプで、感情を表現する。若手二人の初々しくもエネルギッシュな演技に、テューズリーと大原は丁寧に言葉をかけながら、腰の位置、腕の動きなど細部を整えていった。

左から井澤駿、米沢唯。(撮影:鹿摩隆司)

左から井澤駿、米沢唯。(撮影:鹿摩隆司)[拡大]

最後は米沢&井澤ペア。二人は、2幕のウィリとアルベルトの踊りを披露する。米沢は片脚を高く上げたまま回転するなど、さすがの安定感で高度なポーズもぴたりと決め、井澤はそんな米沢を自然な手振りでサポートする。二人の踊りは、悲哀と幽玄な美しさに満ち、まさに“死の舞”という静謐さに包まれていた。そんな二人の様子を見ていたテューズリーは大きくうなずきながら、さらに「(楽曲の)滑らかなメロディの部分は動きも滑らかに」、大原も「音と動きの合わせ方を工夫して」と細かな指示を与え、作品の完成度を高めていった。

左から井澤駿、米沢唯、ロバート・テューズリー。(撮影:鹿摩隆司)

左から井澤駿、米沢唯、ロバート・テューズリー。(撮影:鹿摩隆司)[拡大]

稽古後には、ダンサーたちから一言ずつ意気込みが語られた。福岡は「いろいろとまだ課題はありますが、本番までにクリアできるようにがんばります」、小野は「初めて『ジゼル』を演じさせていただくのですが、ダンサーにとってスペシャルな役の1つ。いろいろと経験を重ねてきて、今この作品ができるのはうれしい」、井澤は「僕も『ジゼル」は初めてですが、1幕と2幕の違いが見どころなので、1幕を濃く作り上げて2幕を盛り上げられたら」とコメントした。米沢も「『ジゼル』は私がもっとも好きな作品の1つ」としながら「パートナーとどう作るのかが大事な作品です。もっと話し合いと稽古を重ね、自分たちなりの『ジゼル』ができたら」と意気込みを語る。また木村が「ずっと踊りたいと思い続けてきた作品です。解釈の仕方で表現も変わるので、渡邊さんといろいろと話し合いながら作り上げていきたい」と述べると、渡邊も「踊りを通して、ジゼルとアルベルトのつながりがより見えてくるようにシーンを作っていきたい」と思いを語り、公開リハーサルを締めくくった。

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2016/2017シーズンバレエ 新国立劇場バレエ団「ジゼル」

2017年6月24日(土)~26日(月)、6月30日(金)・7月1日(土)
東京都 新国立劇場 オペラハウス

芸術監督:大原永子
音楽:アドルフ・アダン
振付:ジャン・コラリ、ジュール・ペロー、マリウス・プティパ
改訂振付:コンスタンチン・セルゲーエフ

キャスト

ジゼル:米沢唯(24日13:00開演回・7月1日)、小野絢子(24日18:00開演回・30日)、木村優里(25・26日)
アルベルト:井澤駿(24日13:00開演回・7月1日)、福岡雄大(24日18:00開演回・30日)、渡邊峻郁(25・26日)

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読者の反応

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星跡堂 Seiseki-dou @Zoushigaya

初ジゼルの木村優里、並んでいるとそんなに背が大きいわけではない。しかし舞台で見ると大きく見える。トルソがとても恵まれて立体的に見えるからなのだろう<「新国立劇場バレエ団「ジゼル」公開リハ、3組のカップルがお目見え」
https://t.co/VIMgQ1psSa

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