今月11月から2017年1月にかけて全国4カ所で上演される「スルース~探偵~」。ステージナタリーでは、先日実施された稽古の模様をレポートする。
行われたのは、
物語の舞台となるのは、イギリス・ウィルトシャーにあるアンドリューの豪邸。不倫の言及を受けるものと思いながらアンドリューを訪ねるマイロだったが、アンドリューから語られたのは「浪費家の妻には、ほとほと困り果てた」「私にも素敵な愛人がいる」という驚きの告白だった。さらにアンドリューは、自宅の金庫に保管してある宝石を、泥棒に扮して盗んで欲しいとマイロに相談を持ちかける。
アンドリューのコレクションと思しき骨董品が並ぶ部屋では、互いの腹を探り合うアンドリューとマイロの濃密な会話が展開。新納、音尾の2人がWキャストを務めることでも注目を集めている本作だが、「衣装から何から、まったく別のバージョンになる」と演出の
ユダヤ系であり、イタリアからイギリスへの移民でもあるマイロが自身の出生について語る場面では、音尾演じるマイロに「労働者としてのプライドを意識しながら演じてみてください」と深作からの指示が飛ぶ。さらにグラスを持つ仕草から互いに向ける視線まで、深作による細やかな演出が施され、言葉の裏に隠された各登場人物の心象が描き出されていく。また緊迫した会話の中に散りばめられる、ユーモアに溢れたセリフ1つひとつにも注目したい。
そして本作の核となるのは、アンドリューの妻・マーガリートの存在だ。舞台上には登場しない彼女のキャラクター像を2人が会話のみで造形し、「マーガリートとは、一体どんな人物なのか」と観客の想像力をかき立てる。これについて先の取材で西岡は「お客さんなりのマーガリート像を作り上げてもらえたら」と呼びかけている。
また両稽古の合間には、アンドリューやマイロの人物像、アンドリューとマーガリートの関係性について、深作と2人のキャストが意見を交わす場面も。“探偵バージョン”、“スルースバージョン”、それぞれの「スルース」の結末は、ぜひ劇場で見届けよう。
1971年にトニー賞演劇作品賞を受賞し、1972・2007年の2度にわたって映画化された本作は、イギリスの劇作家、アンソニー・シェーファーによるサスペンス。日本では1973年に劇団四季によって初演され、その後も繰り返し上演されてきた。
西岡、新納ペアによる“探偵バージョン”の公演は、11月25日から12月11日まで東京・新国立劇場 小劇場にて。また西岡、音尾ペアによる“スルースバージョン”は、12月17日から28日まで同劇場にて上演されたのち、福岡、愛知、宮城でも公演を行う。
「スルース~探偵~」
2016年11月25日(金)~12月28日(水)
東京都 新国立劇場 小劇場
作:アンソニー・シェーファー
演出:
探偵バージョン
2016年11月25日(金)~12月11日(日)
出演:
スルースバージョン
2016年12月17日(土)~28日(水)
出演:西岡徳馬、
2017年1月14日(土)
福岡県 ももちパレス
2017年1月16日(月)
愛知県 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
2017年1月18日(水)
宮城県 電力ホール
出演:西岡徳馬、音尾琢真
※西岡徳馬の「徳」は旧字が正式表記。
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