音楽ナタリー

すみぺ、TVの今憂い同志に水撒く“ゲバドル”に

670

「上坂すみれ決起集会 vol.8 病み・病みヤングパラダイス」の様子。

「上坂すみれ決起集会 vol.8 病み・病みヤングパラダイス」の様子。

昨日9月14日、ライブ「上坂すみれ決起集会 vol.8 病み・病みヤングパラダイス」が東京・Zepp DiverCity TOKYOで行われた。

菊池桃子「夜明けのバスターミナル」、西村知美「夢色のメッセージ」、戸川純「図形の恋」、Juice=Juice「私が言う前に抱きしめなきゃね」などが開場のSEとして流れる快晴のお台場には数多くの上坂ファン、通称“同志”が集結した。彼らは大橋彩香・津田美波・徳井青空・赤崎千夏・大原さやか・長谷川明子「今よ!ファンタジスタドール」が流れ出すとそのメロディを歌い出し、ライブ時の諸注意を伝えるアナウンスが「同志諸君、元気ですか?」「元気があればなんでもできる」「それでは皆さんご唱和ください。1、2、3」と煽れば「ダー!」を大合唱。開演前から完全に“できあがった”状態に。そんなフロアにけたたましいサイレンの音とともにハードなEDM風のオーバーチュアが鳴り響くと、真紅のライトが激しく明滅するステージに12人のダンサーとともに上坂が登場。彼女は、同志諸君が手にした、何色にも変化するペンライト“トゥインクル・ゲバ・スティック”のウルトラレッドの光を前に「来たれ!暁の同志」をドロップして、自身8回目となるライブ・決起集会の幕を開けた。

ジュリ扇片手に「アゲアゲ・スミダ」を披露し、続けて「サイケデリック純情」を歌った上坂が一旦退場すると、ステージ後方のスクリーンに寸劇が映し出される。キョンシーやグレイタイプの宇宙人などが集う喫茶店というシチュエーションの映像の中の上坂は「音楽と団欒」なるプレゼンシートを前に「これテレビ(番組の出演オファー)ですよね?」と物憂げにポツリ。「最近テレビってつまらないですよね?」「昔はよかったですよね?」と、フジテレビが見下ろすDiverCityでベタな常套句を連ね「でも同志も楽しみにしてますよ」と食い下がるテレビマンに「じゃあ……決起集会でこの企画やりましょう」と切り返すと、キョンシーらとともに「わーいっ!」と喫茶店を飛び出していく。

以降決起集会は、上坂扮するアイドル“めろ坂みみみ”をゲストに招いた架空の1980年代風音楽番組「病み・病みヤングパラダイス」として進行することに。

その「病み・病みヤングパラダイス」の最初のナンバーは「哀愁Fakeハネムーン」。80年代テクノ歌謡を思わせる1曲だ。芸人・アナログタロウによる「めろ坂みみみさんの最新情報! 昨日は小さくなった石鹸を大きいほうに貼り付けたそうです」とのいかにもな前口上と、オーバーサイズ気味の赤いトレーナーに白いプリーツスカート、両手にポンポンという往年のスクールメイツ風女性ダンサー6人を背にこの曲を歌った“みみみ”は、ぶりっ子声で「みんなー、こんにちはー!」とシャウト。“トゥインクル・ゲバ・スティック”のピンクの光の中「本日、この大人気番組『病み・病みヤングパラダイス』に特別ゲストとしてお邪魔しております、めろ坂みみ……」と自分の名前を噛み、また「『よろぴく』じゃないよ!」と自ら吹き出しながらも「みんなー、よろぴくー!」と語尾を思いきり上げた挨拶をして、「みみみはすっごいナルシストだから、みみたそって呼んでほしいんだ」と同志諸君の「『みみたそー!』っていう怒号」を誘ってみせる。

さらには「みみたそはアイドルだから名前を覚えてほしいの。それで『みみたそ』で、あいうえお作文を作ってみたの」と

み・民主主義はウソばかり
み・民主主義はウソばかり
た・耕せ! 愚民ども
そ・そんなことよりCD買えよ

なる、あいうえお作文をフロアと大合唱。タロウの前口上「めろ坂みみみさんは歯ブラシが1週間くらいで広がってくるそうです」とともに、アニメ「鬼灯の冷徹」で“上坂”が演じたアイドルキャラクター、ピーチ・マキ名義の楽曲「キャラメル桃ジャム120%」「そとばの前で会いましょう」をかわいらしく歌い上げた。

「『病み・病みヤングパラダイス』とは80年代の『レッツゴーヤング』をはじめとする番組のちょっとうがった感じのリバイバル」であり、「めろ坂みみみは、そこに出てくるおそれのある古典的なアイドルの姿なんです。みんな、アイドルは偶像なんだよ。あんまり人生賭けちゃダメかもしれない」と、改めてこの日の決起集会の仕組みを明かした“みみたそ”は「あっ、忘れてたーっ」と何かを思い出す。

そして空元気いっぱいに「あなたのハートに弾道ミサイルっ! バイオレット星からやってきた、あなたのドキドキ粛清ゲバルトエンジェル、めろ坂みみみでっす!」と自己紹介。「ホント疲れた……」とボヤきつつ、アニメ「蒼き流星SPTレイズナー」のオープニング曲、AIRMAIL from NAGASAKI「メロスのように -LONELY WAY-」と、工藤静香「MUGO・ん…色っぽい」という“上坂”の愛する2曲をカバーした。

しかし「テトリアシトリ」をパフォーマンスした直後には「みみたそは、にわかアイドルなんですね」「なのでもう持ち曲がない!」とぶっちゃけトーク。ここまでのアイドル設定を破壊するかのように大槻ケンヂ作詞、NARASAKI作編曲のクラストコアナンバー「パララックス・ビュー」を豪快に叩き付けて「病み・病みヤングパラダイス」を終了させた。

それでも鳴り止まない「みみたそ」コールに上坂は「それはさっきまで言ってたやつでしょ! みんな、推し変して!」と慌てるも、“推し変”ではなく、推すアイドルを増やす「推し増しだよ」と返す同志の声に「あっ、もっとおカネのかかるやつだ」と納得。ステージドリンクに口を付けた自身に「お水おいしい?」と問いかける同志を「『おいしい』っつってんだろ!」とにこやかにドヤしつけるなど、決起集会が通常営業に戻ったことを知らせるMCを繰り広げる。さらにその“お水”をフロアに撒くことを要求する同志の「水」コールには困惑の笑みを見せつつも「ちょっとやりたいな。憧れだったんですよ」と呼応。「申し訳ない!」「みんな保険は入ってる?」とおっかなびっくりフロアに水を撒きペットボトルを投げ入れると「TRAUMAよ未来を開け!!」「七つの海よりキミの海」「げんし、女子は、たいようだった。」を3連射してステージをあとにした。

熱烈なアンコールに応えた上坂は、彼女の顔写真をあしらったお面をかぶった8人のダンサーを引き連れて「無限マトリョーシカ」をパフォーマンス。今度はこの日の決起集会で販売されていたグッズの数々を紹介がてらフロアに投げ込み、同志諸君とともに5thシングルと、自選の80年代アイドルコンピレーションCDのリリースをアナウンスする映像を鑑賞して、無数の風船がステージ上に打ち上がる中「アオくユレている」「すみれコード」を連続投下する。

直後の上坂の「『決起集会 vol.8 病み・病みヤングパラダイス』もいよいよ終末へと近づいてきたのであります」との言葉に同志諸君からは「えーっ! 今来たばっかり」との声が。これに苦笑いを浮かべた彼女は「今来たばっかりの同志諸君! お水がおいしい同志諸君! 身体が丈夫な同志諸君! 明日3連休の最後でちょっと憂鬱な同志諸君!」「火曜日は会社だの仕事だの家を守ったりだのいろいろ忙しいけども、我々革命的ブロードウェイ主義者同盟は元気いっぱい、そしていい子で道徳を守り、コンビニで悪いことをしないような善良な市民であることをここに誓い……」とグダグダな宣誓をして、自身と同志諸君の集団“革命的ブロードウェイ主義者同盟”のスローガン「生産!」「団結!」「反抑圧!」をフロアと三唱。6人のダンサーと、レーベルスタッフやライブスタッフなどからなる“関係者諸君”とともにこの日のラストナンバー「革命的ブロードウェイ主義者同盟」をタフに歌い上げた。

決起集会のエンディングはおなじみの「Ура!」の三唱だ。「同志諸君、どうか身体に気を付けて。ずっと働き続けていつか死ぬ。働き続けていつか死ぬけれども、君たちの日々が楽しくなるといいと思います」「私も明日、働きたくないけど、がんばるぞ!」とまたもグダグダな宣言をして、同志とともにロシア語で万歳を意味する「Ура!」を叫んだ彼女は「解散!」「ダスヴィダーニァ(ロシア語で“さようなら”)」と、「たぶんもう2度と出てこない」と語る“みみたそ”の初ステージと自身の決起集会を締めくくった。

上坂すみれ決起集会 vol.8 病み・病みヤングパラダイス」
2014年9月14日(日)東京都 Zepp DiverCity TOKYO セットリスト

01. 来たれ!暁の同志
02. 我旗の元へと集いたまえ
03. アゲアゲ・スミダ
04. サイケデリック純情
05. 哀愁Fakeハネムーン
06. キャラメル桃ジャム120%
07. そとばの前で会いましょう
08. メロスのように -LONELY WAY-
09. MUGO・ん…色っぽい
10. テトリアシトリ
11. パララックス・ビュー
12. TRAUMAよ未来を開け!!
13. 七つの海よりキミの海
14. げんし、女子は、たいようだった。
<アンコール>
15. 無限マトリョーシカ
16. アオくユレている
17. すみれコード
18. 革命的ブロードウェイ主義者同盟

※文中、赤崎千夏の「崎」のつくりは立に可が正式表記となります。

音楽ナタリーをフォロー

  • 読者アンケート実施中【音楽ナタリー】