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Official髭男dism 50%
がんばりすぎる人々へ──逆境乗り越えた国民的バンドがゴスペルテイストで贈るメッセージ
文 / 森朋之
メジャー3rdアルバム「Rejoice」を引っさげたアリーナツアー「Official髭男dism Arena Tour 2024 -Rejoice-」、ソウルと台北を巡った初のアジアツアーを成功させるなど、さらなるスケールアップを果たしたOfficial髭男dismから、新曲「50%」が届けられた。映画「はたらく細胞」の主題歌として制作されたこの曲は、ヒゲダンのメンバー4人が経験した出来事──藤原聡(Vo, Piano)の喉の不調によるライブ活動の休止──とも重なっている。
「50%」で歌われていることを筆者なりにまとめると、「ついがんばってしまうのはわかる。でも、いつも100では続かないし、自分の身体を気遣いつつ、50くらいでやるのがちょうどいいよ」ということになるだろうか。アルバム「Rejoice」のインタビューの際も「体調がよくないときは休んでほしいと思うし、それを自分にもちゃんと思ってあげないとダメだなと」「力を抜くことは怠けることではないって、やっとわかった」という趣旨のコメントをしていた4人。向上心を持ちつつ、がんばりすぎず、楽しんで音楽を続けていきたい。その心境は「50%」の「改めて今日から俺らは50%定位置で!」という率直なフレーズに反映されている。
音楽的な好奇心がたっぷり注がれているのも「50%」の魅力だ。イントロを飾るのはシンセベースの厚みのある低音と、幾重にも声を重ねた壮大なハーモニー。さらに鍵盤とボーカルによる平歌、しなやかで濃密なバンドグルーヴが楽しめるサビを経て、ソウルフルなピアノや厚みのあるコーラスを軸にしたパートに移行。そして冒頭のハーモニーに戻った後、開放感にあふれたメロディが鳴り響き、リスナーを圧倒的な祝祭感で包み込む。全編に貫かれたゴスペル的なムードもこの曲のポイント。単に音楽的な形式を取り入れているのではなく、自由奔放なアレンジの軸にゴスペルのテイストを色濃く反映させることによって、楽曲の根底にある“音楽は楽しい、人生は素晴らしい”というメッセージを際立たせていることに注目してほしい。
周囲の評価を気にして無理をしすぎてしまうのは、誰もが同じ。せめてこの曲を聴いている間だけでも、心と体を解放してほしいと思う。
Official髭男dism - 50% [Official Video]
- Official髭男dism「50%」
- 2024年12月13日(金)配信開始 / IRORI Records / ポニーキャニオン
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作詞・作曲:藤原聡
編曲:Official髭男dism
Official髭男dism(オフィシャルヒゲダンディズム)
2012年に結成された藤原聡(Vo, Piano)、小笹大輔(G)、楢崎誠(B, Sax)、松浦匡希(Dr)の4人からなるバンド。ブラックミュージックをはじめ、さまざまなジャンルをルーツとした音楽で幅広い世代の支持を得ている。2018年4月に1stアルバム「エスカパレード」と、メジャーデビューシングル「ノーダウト」を同時リリース。翌年「Pretender」の大ヒットを機に人気を確立させ、同年末には「NHK紅白歌合戦」に初出場を果たす。2024年7月にメジャー3rdアルバム「Rejoice」、同年12月に映画「はたらく細胞」の主題歌「50%」を配信リリース。2025年5月に初のスタジアムライブを開催する。
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