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丘みどり トリドリ夢見鳥 feat. DJ KOO
大胆な“陽”へのシフトチェンジ、ポンチャックのビートに乗せたアゲアゲ“お祭りソング”
文 / 小野田衛
間違いなく冒険作かつ意欲作である。丘みどりの「トリドリ夢見鳥 feat. DJ KOO」は、12月25日発売のデビュー20周年記念アルバム「JOURNEY」からの先行配信曲だ。曲名からもおわかりいただけるように、レコーディングにはDJ KOOが参加。アゲアゲの“お祭りソング”に仕上がっており、日本盆踊り協会の公式タイアップソングに決定している。
これまで丘は、デビュー曲「おけさ渡り鳥」や「NHK紅白歌合戦」への初出場を決めた「佐渡の夕笛」に代表されるように、“雪国”、“港町”、“耐える女”、“葛藤と情念”といった湿り気を帯びたテーマを得意としてきた。近年はバラエティ番組などでのマルチな活動も注目されているが、演歌歌手としては極めて王道。今回の大胆な“陽”へのシフトチェンジは、表現者としてさらに幅を広げていこうという意欲の表れなのかもしれない。
歌詞は「あたしの本能 お祭りだ あんたの遺伝子 お祭りだ」「ドリドリ夢千鳥 よりどり みどりの フェス おどり明かすのさ 人生を」といった調子で徹頭徹尾アッパー。なんと間奏部分では丘がラップにも挑戦している。さらに「Come on!! Let's party!!」「Go! Go! わっしょい!」といったDJ KOOの“合いの手”が勢いよく被さってくるのだから、盆踊りがない冬でも無条件にDO DANCE!!したくなるほどだ。
驚くのはそれだけではない。サウンド面に耳を傾けると、下地になっているのは韓国のハイパー演歌・ポンチャックのビート。ポンチャックは長距離バスやトラックのドライバーに愛される眠気覚ましの労働歌という側面が強いが、近年はNewJeansのサウンドプロデューサーとして脚光を浴びる250(イオゴン)が再ブレイクさせ、ワールドワイドに注目されている。作曲がももいろクローバーZなどの仕事で知られるNARASAKI(COALTAR OF THE DEEPERS、特撮)、作詩が只野菜摘という点も興味深い。
かつて丘は音楽ナタリーのインタビューで「最近、コンサートにお子さんや外国の方も来てくれるようになったんですよ」とうれしそうに語っていた。YouTubeやサブスクの普及によって、これまで演歌に触れてこなかった層が沼にハマり始めているのは間違いない。新機軸の「トリドリ夢見鳥 feat. DJ KOO」は演歌ファンを驚かせると同時に、すべての音楽を愛するリスナーにリーチする1曲となりそうだ。
丘みどり<Midori Oka> / アルバム「JOURNEY」全曲試聴動画
- 丘みどり「トリドリ夢見鳥 feat. DJ KOO」
- 2024年12月18日(水)配信開始 / KING RECORDS
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作詩:只野菜摘
作曲:NARASAKI
編曲:諸田英慈
- 丘みどり「JOURNEY(初回限定盤)」
- 2024年12月25日(水)発売
/ KING RECORDS
[2CD+フォトブック] 税込7500円 / KICX-91189
- 丘みどり「JOURNEY(通常盤)」
- 2024年12月25日(水)発売
/ KING RECORDS
[CD] 税込3500円 / KICX-1189
丘みどり(オカミドリ)
1984年7月26日生まれ、兵庫県姫路市出身の演歌歌手。民謡の才能を祖母に見出され、地元の教室で磨きをかけた。民謡コンクールで次々と優勝し、11歳でその道のスターに。その後秋田や岡山へレッスンに通い、演歌歌手への夢を膨らませた。18歳でアイドルとして芸能界入りし、バラエティ番組での活躍も見せる。しかし、再び歌手への道を歩む決意をし、専門学校でのトレーニングを経て、2005年に丘みどり名義での初シングル「おけさ渡り鳥」で歌手デビュー。母の病気を経て、2006年には一時活動休止を余儀なくされるが、母の遺志を継ぎ、歌手活動を再開した。2007年以降は連続でヒットを飛ばし、2016年に上京。キングレコード移籍後初となる2017年のシングル「霧の川」で再ブレイクを果たす。2024年12月25日にデビュー20周年記念アルバム「JOURNEY」をリリースする。現在でも亡き母との約束を胸に、情熱を持って歌を歌い続けている。
丘みどり(@okamidori0726) | Instagram