女王蜂、キネマ倶楽部で披露した「自由研究」

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8月8日に東京・東京キネマ倶楽部で女王蜂の単独公演「夏の自由研究~蜂月蜂日~」が実施された。

アヴちゃん(Vo)(撮影:中野修也)

アヴちゃん(Vo)(撮影:中野修也)

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このライブは「夏の装い」がドレスコードに指定されており、客席には色鮮やかなアロハや涼しげな浴衣姿が見られた。またこの日はライブ内容も趣向が凝らされ、オープニングはアヴちゃん(Vo)による1人芝居からスタート。風鈴の音と雨音がスピーカーから流れる中、白い衣装でビニール傘を持って登場したアヴちゃんは、子守唄を歌いながら赤ん坊に見立てた白い布を胸に抱いて静かにステージ上を歩く。そして階段続きのサブステージまで歩き、“赤ん坊”と傘を床に置いて「ごめんね」と垂れ幕の奥に消えていった。

アヴちゃん(Vo)(撮影:中野修也)

アヴちゃん(Vo)(撮影:中野修也)[拡大]

寸劇を経てやしちゃん(B)とルリちゃん(Dr)、キーボードとギターを担当するサポートメンバー2人が会場限定販売の新曲「一騎討ち」の演奏をスタート。ディスコビートに合わせてフロアに無数の羽根付き扇子が舞う。そこへ青い衣装に着替えたアヴちゃんが現れて発声すると、会場からはさらに大きな歓声が上がった。以降ライブはMCなしでほぼノンストップで進められる。「火の鳥」でステップを踏んだり細身の体を弧を描くように反らしたりするアヴちゃんの洗練された振る舞いに観客は大きな反応を見せた。ドラムを打ち鳴らしながら咆哮を響かせるルリちゃん、頭を振ってリズムを紡ぐやしちゃんのテンションも上々で、個性的なサウンドを紡ぐサポートの2人もソロで演奏に華を添えた。

完成度の高い女王蜂のステージングは一貫し、中盤には童謡「七つの子」のフレーズや祭り囃子を織り交ぜて少女の情念を歌う新曲で観客を圧倒していった。続く「告げ口」では演奏をステージ前方で倒れたファンに気付いたアヴちゃんがメンバーの演奏を制止。音が一切止み、緊張感を帯びたオーディエンスに「何ひとつ変わりません」と言い切ったアヴちゃんは沈黙の広がる会場でアカペラで曲を再開。やしちゃんがメンバーにアイコンタクトを送り、バンドは言葉通り自然にアンサンブルを始めた。甲高い声と低音を響かせ歌うアヴちゃんを中心に、後半に向かうに連れてキネマ倶楽部の一体感がより強固なものになっていく。ピアノの音色をフィーチャーした「かごめかごめ」を口ずさみながら「無題」へと繋ぐ一連の流れを、オーディエンスは静かに見届けた。

女王蜂「夏の自由研究~蜂月蜂日~」キネマ倶楽部公演の様子。(撮影:中野修也)

女王蜂「夏の自由研究~蜂月蜂日~」キネマ倶楽部公演の様子。(撮影:中野修也)[拡大]

アヴちゃんが深々とお辞儀をして始めた本編ラスト曲は「鉄壁」。8月1日にNHK総合でオンエアされた「あさイチ」のスタジオライブで女王蜂が披露したこの曲のイントロが流れると、温かみのこもった拍手が起こる。切々と歌を届けるアヴちゃんは歌詞を口ずさむオーディエンスの姿に気付き、最後は声を詰まらせながら「ありがとうございます」と感謝の言葉を述べてステージを降りた。

アンコールで登場したアヴちゃんは、本編とは異なり「鉄壁」についての長いMCを話し始めた。「1人でも多くの人に届いたらいいなって思っていた曲やったから……(客席で)口ずさんでる人がたくさんいてくれてるって、そんなことなかったから。ごめんなさい」と涙声で話すアヴちゃん。そして拍手を受けながら「ここからはいつもの女王蜂のライブのテンションでいこうと思います。ついてこれるかしら……いくで!」と「デスコ」へ。原曲よりもさらにダンサブルなアレンジが施された演奏はそのまま「80年代」へと繋がれ、オーディエンスはここぞとばかりに扇子を振り乱した。

再びMCとなり、アヴちゃんはこれまで誰にも明かさなかったというテレビ出演にまつわるエピソードを告白する。結成から3カ月でテレビの取材を受けて喜んでいたのもつかの間、オンエア前に観せられたのはバンドをイロモノ扱いして茶化した内容であったという。アヴちゃんは「やめてくれ!これを流さないでくれ。あたしが作ったものやっと手に入れたもの、壊さないでくれ、って初めて泣いてキレました」と振り返る。そしてオンエアが立ち消えになった苦い過去を経て、今年「あさイチ!」に自分たちを理解した上で出演依頼をもらったことを感慨深く話し、「いつか笑い話になるときまでこの話は誰にもせんとこって思っていたので、今日ここで話せて本当にうれしく思います」とオーディエンスに伝えた。

女王蜂「夏の自由研究~蜂月蜂日~」キネマ倶楽部公演の様子。(撮影:中野修也)

女王蜂「夏の自由研究~蜂月蜂日~」キネマ倶楽部公演の様子。(撮影:中野修也)[拡大]

「今日は『自由研究』と題して好き放題やらせて頂きました。また面白いこといっぱい考えてるのでこれからもお付き合い頂けたらうれしいです」とアヴちゃん。「夏の夜長にいいかと思って」と話して始めた新曲は歌とギターだけという新機軸のスローナンバー。高い声と弦の音色がやさしく会場を包み、演奏しない3人のメンバーはサブステージに続く階段に座って2人のパフォーマンスを優しく見守った。続く新曲では、天井に吊るされたミラーボールがゆっくりと回る中でメンバー5人が切なげなメロディのディスコナンバーをプレイした。ラストナンバーは前の曲の儚い感じをシンセの音色で引き継ぐ形にアレンジされた「イミテヰション」。あらゆる表情を見せたこの日のステージは全21曲で終了した。

なお女王蜂が出演して大きな反響を起こした「あさイチ」8月1日放送回はNHKオンデマンドにて公開されている。配信は8月15日までとなるので気になる人はアクセスを。

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女王蜂「夏の自由研究~蜂月蜂日~」2014年8月8日 キネマ倶楽部 セットリスト

01. 一騎討ち
02. 鬼百合
03. 火の鳥
04. 人魚姫
05. 夜曲
06. 待つ女
07. 泡姫様
08. バブル
09. 夜曲
10. 新曲(タイトル未定)
11. 告げ口
12. 無題
13. 口裂け女
14. 鏡
15. 溺れて
16. 鉄壁
<アンコール>
17. デスコ
18. 80年代
19. 新曲(タイトル未定)
20. 新曲(タイトル未定)
21. イミテヰション

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我妻修平 @azumaon

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