上段左から折坂悠太、君島大空、崎山蒼志、下段左から須田景凪、中村佳穂、長谷川白紙。

マイベストトラック2019 Vol.1 [バックナンバー]

シンガーソングライター編

折坂悠太、君島大空、崎山蒼志、須田景凪、中村佳穂、長谷川白紙が選ぶ2019年の3曲

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2020年の幕開けに合わせて音楽ナタリーでは、さまざまなアーティストに「2019年にもっとも愛聴した3曲」を聞くアンケート企画を実施。回答者のジャンルごとに分けた全8本の記事を毎日更新していく。今回は「シンガーソングライター編」として、折坂悠太君島大空崎山蒼志須田景凪中村佳穂長谷川白紙(50音順)が選んだ2019年の3曲を紹介する。

構成 / 高橋拓也

折坂悠太

Ariana Grande「imagine」

坂本慎太郎「小舟(feat. ゑでゐ鼓雨磨)」

Kim Oki「Cotard's Syndrome」

ロマンティックで酩酊感のある音楽を多く聴きました。元気のあるやつは聴けないというか、そもそもあまり耳にしなかったような気がします。息苦しく変わっていく社会と、それでも続く日々に何を歌うのか。時に投げやりに、時に真剣に、向き合おうともがくような1年でした。Kim Okiはじめ、韓国で素晴らしい表現者に出会えたこと、過ごした時間は、大きな財産です。

プロフィール

1989年生まれ、鳥取出身のシンガーソングライター。2013年にギターの弾き語りでライブ活動を開始し、2018年10月発表の2ndアルバム「平成」はCDショップ大賞を受賞するなど各所で高い評価を得た。2019年には楽曲「朝顔」が7~9月放送のフジテレビ系“月9”ドラマ「監察医 朝顔」の主題歌に決定。同年10、11月には弾き語りツーマンツアー「折坂悠太のツーと言えばカー2019」を行い、盛況に終わる。2020年3月には大阪・梅田CLUB QUATTRO、東京・TSUTAYA O-EASTでワンマンライブ「折坂悠太 単独公演 2020」を開催する。

折坂悠太 うえぶ

君島大空

Bon Iver「Salem」

Kurt Rosenwinkel Bandit 65「Interstellar Suite (Vienna)」

Moons「Moons」

年単位で音楽を聴く習慣がないので悩みましたが、2019年の後半によく聴いていて、これからもずっと聴くだろうと思う3曲です。

Bon Iverを初めて聴いたのは前作(「22, A Million」)からなのですが、アルバム「i, i」によって静かに完全に撃ち抜かれてしまいました。詩性に溢れた実験的な音像、宝石のようなアルバムだと思います。

Kurt Rosenwinkel Bandit 65もこの曲が特に好きではあるのですが、アルバム「Searching The Continuum」は全編通して本当に美しくて、それこそ内省宇宙を空間へ投影してゆくような繊細な即興演奏に心が洗われました。肉声のようなカートのギターがとても好きです。

Moonsは昨年初めて知ったブラジルのバンドなのですが、静かで湿度がちょっと高い初夏の夜のような音像と和音進行がかなり好きで出会った時に口角が上がりっ放しだったのを覚えています。ドラムのハイハットやギターの薄くて遠いリバーブの掛かり具合など、様々な要素に興奮します。今年の初夏の夜に聴くのが楽しみでなりません。

プロフィール

1995年生まれの音楽家。2014年からSoundCloudにて多重録音で制作した楽曲を発表。ソロアーティストとしてのみならずギタリストとしても活動し、高井息吹、吉澤嘉代子、adieu(上白石萌歌)らのライブおよびレコーディングで活躍している。2019年7月には「FUJI ROCK FESTIVAL」に「ROOKIE A GO-GO」枠で出演。同年11月には合奏形態でのライブツアー「君島大空合奏形態 夜会ツアー “叙景#1”」を開催し、2020年2月には東京・WWW Xで同ツアーの追加公演を行う。

君島大空 - Wix.com

崎山蒼志

Solange「Things I Imagined」

Black Midi「bmbmbm」

Billie Eilish「bury a friend」

多分2019年私がいちばん聴いたアルバムであろうSolangeの「When I Get Home」。このアルバムは音楽的側面だけに関わらず底知れぬ数々の魅力を持つ作品だと感じています。その中のひとつに“神秘性”があるように私は思うのです。この曲、「Things I Imagined」はアルバム1曲目に位置し、その“神秘性”をこのアルバムが秘めていることをドアタマから存分に感じさせてくれる様に思います。この始まりに何度胸が高まったことでしょうか、魔法の様な曲、名曲です……。

Black Midiは去年の2月頃かな、YouTube上のKEXPでのライブ映像で初めて知りました。その時に演奏していたのがこの曲「bmbmbm」で、その音楽の圧倒的存在感や異質さに度肝を抜かれました。生演奏でしかもロックバンドで、まだまだ新しいことができるのだと改めて思わされたバンドでもあります。去年出たアルバムも最高でした。9月の来日公演も観に行くことができました。いやー、格好良すぎた……なんかもう“超次元”でした。これからもBlack Midiの来日公演は全部観たいなと思っています、そのためには長生きしなくては!

Billie Eilishは2018年から認識はしていたのですが、去年の1月頃「bury a friend」のMVがYouTubeに上がっていて、衝撃を受けました。唸るような低音、穏やかな様で狂気的な歌、それらを含む音の少なさ、曲の良さ、めちゃくちゃ暗い(画面の明るさのことではなく内容や雰囲気)MV、すべてが衝撃的であり格好良く、さらに心地よく感じました。今ではもう色々な思いが溢れすぎてしまうほど大ファンです。Billie Eilishの人気、今や社会現象の様でもありますよね。これから彼女がどの様な表現をしていくのか、音楽を作っていくのか楽しみで仕方ありません。そのためにも長生きしなくては!

プロフィール

2002年生まれ、静岡県浜松市在住。4歳でギターを弾き、小学校6年生の頃から作曲を始める。2018年5月にAbemaTV「日村がゆく」内の企画「高校生フォークソングGP」出演時のパフォーマンスがSNSで話題を呼び、7月に配信シングル「夏至 / 五月雨」、12月に1stアルバム「いつかみた国」を発表。2019年5月には静岡・浜松市浜北文化センターで自身初となるホールワンマン「とおとうみの国」を開催し、成功を収めた。同年10月には2ndアルバム「並む踊り」を発売。2020年5月には2度目となる浜松市浜北文化センターでのワンマン「とおとうみの国」、大阪・ユニバースおよび東京・DANCE HALL 新世紀を舞台にしたワンマン「とおとうみの国から」の開催を控えている。

崎山蒼志公式サイト

須田景凪

Shawn Mendes「If I Can't Have You」

Tessa Violet「Crush」

Billie Eilish「bad guy」

ぱっと考えたとき、この3曲が浮かびました。ひたすらにループして聴いています。どの楽曲も、シンプルな音像ながら聴覚的に面白い要素が多く含まれていて、聴いていてわくわくします。ポピュラー音楽の幅が一層広がった感覚がありました。

プロフィール

2013年より“バルーン”名義でニコニコ動画にてボカロPとしての活動を開始。代表曲「シャルル」は自身によるセルフカバーバージョンと合わせ、YouTubeでの再生数は現在までに約7000万回を記録している。2017年10月から自身の声で楽曲を歌う“須田景凪”として活動を開始し、2019年8月に5曲入りCD「porte」をリリース。2020年1月にはフジテレビ系にて放送中のドラマ「木曜劇場『アライブ がん専門医のカルテ』」の主題歌「はるどなり」をデジタルシングルとしてリリースする。

須田景凪 official website

中村佳穂

Bibio「Curls」

Yves Jarvis「Fruits of Disillusion」

Official髭男dism「Pretender」

・Bibio「Curls」

「今自分は寂しいんだ」と気付いた時は、極力SNSを見ないようにしています。友達の進捗とか、自分の気になるものの情報を身の回りに置いておしゃべりなその中に身を投じるというのは“何か”捨てて、安心を得たような……あとから勿体無い気分になるんです。なのでちょうどよく寂しいまま眠りたい時によく聴いてました。

・Yves Jarvis「Fruits of Disillusion」

私より私の母のほうが音楽をよく調べて聴くタイプで、ストリーミングになったこの時代は彼女にとって更に楽しいみたいです。世界中を音楽で旅をしてはお気に入りのプレイリストをよく更新して家のリビングでかけているのですが、彼とBillie Eilishのアルバムは、毎曲「これは誰? 同じ人?」と驚いて聴いてました。なんというかアルバムって通すと「この曲が突出して好き!」があって全体を流してもその曲をちょっと心なしか待ってしまうところがあるのですが、彼のアルバムはその起伏がとても丁度良く、ジャケットを見るたびに「さあ全部聴くぞ」とうれしい気持ちになります。そういう音楽を見つけられるのは最高だし、目指したいです。MVも変でした。(Billie Eilishも変。最高)

・Official髭男dism「Pretender」

有線で流れていた時に「わ!」と言った曲。なんと言ってもサビの「君(の)運命(の)ヒト(は)僕じゃない」の助詞の(の)(の)(は)の順番が絶妙だと思ってて、これが(は)(の)(の)になったとすると「僕(は)君(の)運命(の)ヒトじゃない」となって意味は同じなのにメロディにはまらないんです(ぜひ歌ってみてください)。私は歌詞を書く時後者で絶対書いてしまいがちだからこの詩は凄いぞ、メロディも好きだ……となってよく口ずさんでました。2019年のSWEET LOVE SHOWERでもライブを拝見していたのですが、音の厚みがキラキラしてて!バッチリ! 素敵でした!

プロフィール

1992年生まれのシンガーソングライター。20歳の頃から本格的に音楽活動を開始し、2018年にはスペースシャワーミュージック内に自身のレーベル・AINOUを立ち上げ、11月にアルバム「AINOU」をリリース。2019年10~12月に東京・草月ホールと新木場STUDIO COAST、大阪・BIGCATで開催した自主企画「うたのげんざいち 2019」は全公演ソールドアウトとなった。12月には配信シングル3作を収録したCD「LINDY / q / Rukakan Town」をライブ会場、オフィシャルサイト内の通販限定で発売。2020年2、3月には東阪でのホール公演を控えている。

中村佳穂 オフィシャルサイト

長谷川白紙

Kendrick Scott Oracle「>>>>>>>>>voices」

空間現代「Menomae」

花柄ランタン「POOL,BLUE,POOL」

ベストを選ぼうとするとどんどんあれもこれもと広がってしまう(何せ去年はわたしにとって好きな音楽が多すぎる1年でした)ので、自分の中の強い記憶と結びついているという基準で選んでみました。

Kendrick Scott Oracleはよくお風呂の中で聴いていたので、水の記憶(=わたしの中の一種のイデアに関しての聖なる記憶)としてわたしは認識しているようです。全編通してとにかくとても綺麗な作品です。

空間現代の新譜も素晴らしく、「Menomae」は制作と大学が同時に忙しさのピークを迎えてもうダメかも……!と思った日に非常に不思議な精神状態まで連れて行ってくれた曲です。その日は本当によく眠れました。

花柄ランタンは去年初めて恵比寿BATICAでライブを観て、完璧に打ち抜かれたユニットです。花柄ランタン以外にもとても面白いアーティストが集まっていて、箱の特性も相まって変で楽しい夜でした。「今、変にならないとだめだ」というタイミングが来たときに聴いていて、ばっちり変になるので面白いです。

プロフィール

1998年生まれのシンガーソングライター。2016年頃よりSoundCloudで発表していた音源が注目され、2017年にMaltine Recordsからアルバム「アイフォーン・シックス・プラス」を発表。2018年12月に初のCD作品「草木萌動」、2019年11月に1stフルアルバム「エアにに」をリリースした。自身の活動と並行してMaison book girl、春ねむり、ゴスペラーズの楽曲のリミックスを手がけたり、崎山蒼志の2ndアルバム「並む踊り」に参加したりと幅広く活躍している。

長谷川白紙 (@hsgwhks) - Twitter

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読者の反応

すんだん @Znplus2

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音楽に対する感度が高まるチョー𝓖𝓸𝓸𝓭な記事なのでぜひ曲聴きながらみてください

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