「スパイの妻」音楽担当の長岡亮介が黒沢監督とトーク、絶賛の言葉に「調子に乗ってしまう」

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黒沢清監督の映画「スパイの妻(劇場版)」のトークイベントが本日11月2日に東京・グランドシネマサンシャインで行われ、今作の音楽を担当した長岡亮介(ペトロールズ)と黒沢監督が登壇した。

左から長岡亮介(ペトロールズ)、黒沢清監督。

左から長岡亮介(ペトロールズ)、黒沢清監督。

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蒼井優が主演する「スパイの妻(劇場版)」は、1940年、太平洋戦争前夜の神戸を舞台に、連合国のスパイと疑われる貿易商とその妻を描く作品。満州で恐ろしい国家機密を偶然知り、事の顛末を世に知らしめようとする福原優作役を高橋一生が務め、優作の妻で周囲から“スパイの妻”と罵られる聡子を蒼井が演じた。今作で長岡は初めて映画音楽を担当。作品は第77回ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)を受賞している。

トークショーの様子。

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トークセッションは、今作のプロデューサーの猛プッシュで長岡が音楽を担当することになったというエピソードからスタートした。「僕はお名前を聞いたことがあるくらいだった」という黒沢監督は、インターネットで検索して長岡の演奏をチェックしたといい「ものすごく正確なギターで“バカテク”というのはこういうことを言うのかと(笑)」と当時の印象を語って長岡を照れさせる。しかし、同時に「その多くはエレクトリックな感じがして、今回の映画の1940年前後の時代背景にエレキギターは想像がつかない」と感じたそうで、最初の打ち合わせで長岡に対して「(作中で)エレキが鳴っているのは想像がつかない」と率直に伝えたことを明かした。

長岡亮介(ペトロールズ)

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制作の序盤に監督からそのような要望を受けた長岡は「好き嫌いがハッキリしているほうが進めやすいと思いました。ダメだったらダメだと言ってくれるだろうと」と当時を振り返った。普段の楽曲制作と映画音楽の制作の違いについて司会者に問われると、長岡は「映画には環境音やセリフなど音楽以外の要素があって、音楽は絶対にメインではない。セリフを縫っていくような、ほかの要素に干渉しないような音楽をという意識がありました」と答える。黒沢監督も長岡に「通常はギターのスペシャリストですが、この映画の音楽は一種のオーケストラになっていますよね。今回のような曲も簡単に?」と問いかけ、長岡は「いえ、今回が初めてでした。意外とできましたね。コンピュータの力ですが」と返した。

黒沢清監督

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トークの中では、自身の作品における音楽の位置付けについて黒沢監督が「音楽や効果音が何もない状態だと『物語が破綻なく伝わっているか』とか、細かいところばかりが気になる。自分の中では、音楽が入ったときに『これはこういう映画なんだ』とわかる感覚なんですよ」と明かし、長岡が「(音楽は)そんなに大事な役だったんですね」と驚く場面も。長岡が手がけた「スパイの妻」の音楽について、黒沢監督は「映画にとってちょうどいい……音楽だけがガンガン聞こえるでもなく、単にBGM的でもない。明らかに意図を持っているし、俳優の演技、セリフなどとも混じり合って、僕の考える理想的な映画音楽になっているなと思いました。モダンな感じもよかったです。『これこれ、これが僕の好きな映画音楽よ』って」と絶賛し、この言葉に長岡は「ほめすぎです。調子に乗ってしまう(笑)」と照れ笑いを浮かべた。

司会者から「また映画音楽をやりたい?」と聞かれると、長岡は「今回は監督が認めてくださったからスムーズに行ったと思います。ほめられると伸びるタイプなので。傷付かない現場があればやりたいです(笑)」と返答。すると黒沢監督は「次はギターで。僕は現代劇もやるけれど、エレキギターを使ったことは一度もないんじゃないかな。なので初めてのエレキギターを」とリクエストする。今作では実現しなかったギター演奏のオファーを受けた長岡は「『やっぱ違ったな』となったら怖いけれど、もしよかったら声をかけてください(笑)」と応じていた。

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