映画「
朝倉かすみの同名小説をもとにした本作は、独り身となった中学時代の同級生同士が35年ぶりに再会し、心を通わせていくラブストーリー。妻と別れて地元の印刷会社に再就職した青砥健将を堺、夫と死別しパートで生計を立てている須藤葉子を井川が演じ、中学生時代の青砥と須藤に坂元、一色がそれぞれ扮した。
堺は「楽しみ半分、不安半分」と心境を吐露し、観客を見ながら「青砥と須藤の行動について『僕だったらああするな』とか、皆さんと感想を語り合いたいです。『大人の恋』ではあるんだけど、決してそれだけではない。作品を観たあとからどんどん言葉が出てくる映画です」とアピール。「宣伝で『こういう映画です』と説明しようとすればするほど、映画が僕から逃げていってしまうような気持ちになります。ぜひ皆さんの言葉で、ハッシュタグを付けて伝えてほしい。僕もけっこう見ているので(笑)」と話した。
星野源の主題歌「いきどまり」にトークが及ぶと、堺は「『行き止まり』に加えて、生きる状態に留まる『生き留まり』という意味もあるのかなと。そう考えるとネガティブな意味が変わっていくような気がしてゾゾっとしました。ひらがなにした意味もそこにあると思うし、なんて素晴らしい言葉を贈ってくださったのだろうと」とほほえむ。土井は「主題歌が流れ、星野さんのブレスが終わる最後までを聴くことで『平場の月』は完成する。『これは青砥目線? いや須藤なんじゃないか?』と、言葉の奥を想像させてくれる」と称賛した。
須藤は身体的な意味ではなく「太い」と周囲から表現される役柄。井川は「1人で生きていく須藤には、一筋縄ではいかない部分や意地っ張りなところがあります。本心を見せずに青砥と過ごす彼女のやわらかさを、どう演じるかに悩みました。現場では『それは須藤じゃないね』と監督から言われたり」と苦労を明かす。土井は「気持ちの扉をどこまで開けるかが非常に難しいところ。そこを(堺を合わせた)3人でお酒を飲みながらしゃべって、積み上げていきましたよね」と回想。井川は「須藤くらいの歳になると、寄りかかれる場所や恋愛の機会はなかなかない。だからこそ地元に戻ってきたのに、幼なじみとこんな形で再会する。自分自身に戸惑う須藤の気持ちを、青砥が溶かしてくれた」と2人の関係性を改めて語った。
劇中には、青砥と須藤が自転車で2人乗りする様子が中学時代と現在のシーンで描かれていく。坂元は「2人乗りをしたことがなかったのでめっちゃ緊張しました。『漕げるかな?』と(笑)」と振り返り、落ちていたボロボロの自転車を直して2人乗りする場面だったことに触れ、「だから事前に(スタッフが)程よく壊してくれたんですよ。後ろには須藤が乗っていて、けがをさせられないし……撮影はあんまり覚えてないです(笑)」と打ち明ける。一色は「でこぼこした道だったので、スリルを味わいながら、楽しみながら乗っていました」とはにかみ、早朝の撮影だったことについて「スタッフの方々が準備してくださったことで、あんなにも美しくてはかないシーンが生まれたのかなと思います」と述懐する。
続いて堺と井川の2人乗りシーンに話が及ぶと、堺は「僕たちは『ひゃっほーい!』という気分でしたよ」と切り出し、「無邪気な井川さんの姿がとっても印象的で、ワクワクして楽しくなりすぎました」と報告。井川も「堺さんにちょっと意地悪してみようと、ヒョイと飛び降りてみたり(笑)」と続ける。土井が「堺さんが本当に少年の顔だったんですよ」と目線を送ると、堺は「ニコニコする須藤はあまり見られないから!」と充実した様子を見せていた。
最後に堺は「心に必ずさざ波が起こる映画になっています。この映画に皆さんなりの名前を付けていただけたらと思いますし、難しい人はそのままさざ波として周囲に伝えてほしい。素晴らしい原作小説から始まったこの映画が皆さんの心に届いたこと、本当に心から喜んでおります」と挨拶し、イベントを締めた。
「平場の月」は全国で公開中。
映画「平場の月」ロングトレーラー
堺雅人の映画作品
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TAKUMA KANO @takumakano
映画「#平場の月」
初日舞台挨拶
#坂元愛登 さん
スタイリングを担当させて頂きました。 https://t.co/aC4DKFVfvj