中国映画「オペレーターNo.23」(原題「地下美人」)のワールドプレミアが本日10月28日に第38回東京国際映画祭内で行われ、東京・TOHOシネマズ シャンテで開催されたQ&Aに監督のシア・ハオ(夏昊)が登壇。またエグゼクティブプロデューサーであり、出演もしている
本作は、父が失踪し、母との関係がギクシャクしているハン・イエを描く物語。ある日、彼は偶然拾ったカードの番号に電話をし、オペレーター23番と会話を交わす。やがて、長い間閉ざされていた母と息子の心を開く手助けをするようになる23番。母子の関係は一時的に和らぐが、平穏の下に潜む危機が表面化する。ハン・イエをシア・ハオラン(夏浩然)が演じ、彼の母親役でロウ・イエ(婁燁)の監督作「天安門、恋人たち」「二重生活」などで知られるハオ・レイが出演した。
本作の監督を務めたシア・ハオはウォン・カーウァイ(王家衛)の「グランド・マスター」やユエン・ウーピン(袁和平)の「酔拳 レジェンド・オブ・カンフー」といった作品で助監督を務めてきた経歴の持ち主。「オペレーターNo.23」のワールドプレミアを迎え、「感激でドキドキしていますし、とても幸せに感じています」と語った。
劇中の巨大工場や地下施設に話が及ぶと「舞台は僕の故郷である陝西省・咸陽市なんですが、時代設定は2008年。今の咸陽市には当時の雰囲気はありません。だから3つの町で撮影し、そこに映画的加工を加えました」と回想。「なぜ舞台は2008年なのか?」という質問が飛ぶと、「僕がこの映画を撮ろうと思ったのが2008年なんです。きっかけは、電話で相手とポルノチックな会話をする組織を警察が摘発したというニュースを見たことです。そのときに一番気になったのは、その組織に関わっていた女性の1人がシングルマザーで、小学校の先生だということでした。事件に関わってしまったのは単純にお金のためではないのではないか、電話を受ける背景に何かあるのではないかと思いました」と振り返り、「2008年は、北京オリンピックが開かれた年でもあります。中国にとってとても大事な1年でした。家庭内の出来事が、急速に発展していく国とどう関わっていくのかにも、興味を持ったんです」と説明した。
「なぜ絵を学んでいる青年を主人公に設定にしたのか?」と問われると「芸術系の学校を受験するため西洋画を学んでいる設定と主人公の性格が合致すると思ったんです。また中国は保守的な国ですし、青少年の性の芽生えを直接的に描くのは難しい。だからこのような表現にしてみました」と明かす。
イベント終盤には、電話でハオ・レイが登場。彼女はシア・ハオとタッグを組んだ経緯に触れ「中国映画の世界に若い人の血を引き込みたいと思ったんです。特に必要なのは芸術映画。アートフィルムは資金もない。がんばって作り続けている若者を支援したいと思いました。シア・ハオ監督は情熱を持っていますし、一緒にがんばって映画作りができると感じたんです」と思い返す。一方のシア・ハオは「ハオ・レイさんは女王というか、女神です!」と信頼を伝えた。
最後にハオ・レイは「私は(物語の舞台となった)西安に対して深い思い入れがあるんです。歴史があって、神秘的な印象を受ける都市です。西安の学校に行っていたこともあります。この母親役を演じてみたいと思いました」と述べ、「SNSの小紅書(RED)で、チケットが即完売だったと知りました。ご支援に感謝します」「この映画を気に入っていただけたらうれしいです。お会いできる機会があることを、期待しています」とメッセージを送った。
第38回東京国際映画祭は11月5日まで東京の日比谷・有楽町・丸の内・銀座エリアで開催。
中国映画「オペレーターNo.23」予告
第38回東京国際映画祭 概要
会期・会場
開催中~2025年11月5日(水)東京都 日比谷・有楽町・丸の内・銀座エリア
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ハオ・レイの映画作品
関連人物
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シア・ハオが「オペレーターNo.23」を生み出した背景には、摘発された一つの組織がありました。彼女の創造力は、闇の中から光を見つけ出すように、鋭く新たな物語を紡ぎ出します。真実は時に恐ろしい。しかし、それが芸術を生む。✨ https://t.co/BAJat89yOV