「もののけ姫」松田洋治と石田ゆり子が“地獄”を回想、宮﨑駿は誰に対しても平等

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スタジオジブリ作品「もののけ姫」4Kデジタルリマスター版のプレミア試写会舞台挨拶が本日10月20日に東京・TOHOシネマズ 新宿で行われ、キャストの松田洋治石田ゆり子、プロデューサーの鈴木敏夫が登壇した。

スタジオジブリ作品「もののけ姫」4Kデジタルリマスター版プレミア試写会舞台挨拶の様子。左から松田洋治、石田ゆり子、鈴木敏夫

スタジオジブリ作品「もののけ姫」4Kデジタルリマスター版プレミア試写会舞台挨拶の様子。左から松田洋治、石田ゆり子、鈴木敏夫

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宮﨑駿が監督を務めた本作では、北の一族の青年アシタカが、山犬に育てられた不思議な少女・サンと出会うことから物語が展開していく。アシタカを松田、サンを石田が演じたほか、田中裕子、小林薫、西村雅彦、上條恒彦、美輪明宏、森光子、森繁久彌も声のキャストとして参加。久石譲が音楽、米良美一が主題歌を担った。

松田はオーディションを振り返り、「スタジオに行ったら誰もいなくて。個別のオーディションだと思ったんです。お話の内容を聞いたら、どう考えても主役で。サンプルとしてセリフを使うんだなと思って声を入れたんです。それっきりなんの連絡もないまま年を越したら、ある日映画館で予告を観た知人から『洋治すごいじゃん! ジブリの新作やるんだ?』って連絡があって、俺主役?ってびっくりして。……犯人は一番左の人です(笑)」と鈴木を見やる。鈴木は「まったく覚えてないんですよ! 松田さんに『風の谷のナウシカ』のアスベルをやってもらったことも完全に忘れてて」と豪快に笑い、「アシタカを誰にするかはけっこう悩んだんですよ。いろんな声を聞かせていただいたんですが松田さんに決めたのはたぶんアスベルなんですよ。宮﨑駿にアスベルの声どう?って聞いたら、『よかったよ』って言ってて」と思い返した。

「もののけ姫」でアシタカを演じた松田洋治

「もののけ姫」でアシタカを演じた松田洋治 [拡大]

石田も当時を振り返り、「ある日、事務所に行ったら鈴木さんがいらっしゃったんです。ジブリって聞くだけで、うわー!って感じだったんですが、なぜ私なんだろう?って。天にも登る気持ちでした」と口にしつつも、「サンは実はセリフはそんなになくて、人間であって人間じゃない、動物になりたいけどなれない、不思議な役なのでそれはそれは難しかったです」と語った。

「もののけ姫」でサンを演じた石田ゆり子

「もののけ姫」でサンを演じた石田ゆり子 [拡大]

宮﨑とのアテレコに話が及ぶと、松田は「回数でいうと10回以上やっています。洋画のアテレコなどと比較しても、考えられないほどやった。OKが出ずにいったん止まると大変なことになる。地獄が待ち受けているんです(笑)。タタラ場の戦いの場面を収録しているときは『今日は帰れ!』と言われて、途中で帰りました(笑)」と述べ、「素晴らしいなと思ったのは宮﨑監督は誰に対しても平等なんです。僕だけじゃなく、田中裕子さんだろうが、とことんこだわるんです」と回想する。しかし鈴木は「森繁久彌さんはダメでしたね(笑)。絶対言うこと聞いてくれない! キャラクターの口が開いている時間は決まってるんですが、オーバーするんですよ。いくら説明しても無視されました」と笑った。

「もののけ姫」のプロデューサー鈴木敏夫

「もののけ姫」のプロデューサー鈴木敏夫 [拡大]

「私が一番大変でした」と苦笑するのは石田。「全員の中で一番下手くそで。洋治くんは上手なのでどんどん終わるんですが、1人居残り授業をしていました。一番印象に残っているのはアシタカが倒れて、サンが助けるところ。もうあそこは本当に難しくて! 『お前、死ぬのか?』というセリフを最初は『死んじゃダメ!』といったテンションで言っていたんです。でも、宮﨑監督に『お前パンツはいてないじゃん?』の感じだと言われて。サンにとってはパンツはいてないけど、どうしたの?ぐらいの出来事だと説明されたんです。アテレコは大変で、毎日泣きそうな気持ちでした。夢みたいな話で、夢の中なんだけれど、地獄でしたね」と思い返した。

これを横で聞いていた鈴木は「10年ぐらい前に、(石田に)『声を全部吹き替え直したい、もう一度やり直したい。今ならやれる!』って迫られたんですよ。真剣でした。忘れられないです」と明かし、「当時の記者会見でも詰められたんです。僕の顔を見て『降ろされるのに、何をしゃべったらいいんですか!』って言われたんです」と笑う。石田は「言ってないです! 脚色されてます!」と否定しつつも、「それぐらい大変だったのは事実です」と述べた。

「もののけ姫」4Kデジタルリマスター版のプレミア試写会舞台挨拶の様子。左から松田洋治、石田ゆり子、鈴木敏夫

「もののけ姫」4Kデジタルリマスター版のプレミア試写会舞台挨拶の様子。左から松田洋治、石田ゆり子、鈴木敏夫 [拡大]

1997年の公開時には観客動員数1420万人、興行収入193億円を記録した本作。松田は「ジブリの新作なのでヒットするとは思っていたんですが、上條恒彦さんが『この作品は小さい子や家族連れはしんどいから数字的にはそこまでじゃないんじゃないか』と言っていて、なるほどなと思ったんです。でもふたを開けたらえらいことになりました」と回想する。石田は「10歳未満の子供たちにどういうふうに受け入れられるんだろう?と思っていたんですが、宮﨑監督が『一番深いところで理解しているのが10歳ぐらいの子供たち』とおっしゃっていて、それが真実だと思います」と言及した。

ディズニーと提携し、世界配給された本作は、スタジオジブリにとってもターニングポイントになった作品だったという。鈴木は「お客さんにいっぱい観てもらえたのが素直にうれしかったです。自分たちのためじゃなく、お客さんのために映画を作らなきゃいけない。改めてそれに気付かせてくれた作品です」と言葉に力を込める。松田は「この作品がなければ、また違う人生を歩んでいた。大きな影響を与えてくれた作品です」と言い、石田は「海外に行くと『どんな作品に出ていますか?』と聞かれるんですが、サンの声をやっていると言うとものすごく尊敬されるんです。さすがはジブリだな!って思います」と声を弾ませた。

もののけ姫(4Kデジタルリマスター)」は10月24日より全国のIMAX劇場にて期間限定で上映。

「もののけ姫」4Kデジタルリマスター版のプレミア試写会舞台挨拶の様子。左から松田洋治、石田ゆり子、鈴木敏夫

「もののけ姫」4Kデジタルリマスター版のプレミア試写会舞台挨拶の様子。左から松田洋治、石田ゆり子、鈴木敏夫 [拡大]

映画作品情報

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©1997 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli, ND

映画「もののけ姫」4Kデジタルリマスター・IMAX上映の告知映像

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大野 和寿 OHNO,Kazuhisa @Notchy_man

【イベントレポート】「もののけ姫」松田洋治と石田ゆり子が“地獄”を回想、宮﨑駿は誰に対しても平等 https://t.co/kGByD4FFda
松田洋治さん、先々週のスケバン刑事再放送で爆弾犯の役で出られてて、新鮮でした。

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