ロッカクアヤコが指で描いた絵を彫師・摺師が浮世絵に、映画「バレンと小刀」新映像

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映画「バレンと小刀 時代をつなぐ浮世絵物語」の本編映像の一部がYouTubeで解禁。いとうせいこう、角野栄子、鉄拳ら著名人のコメントも到着した。

「バレンと小刀 時代をつなぐ浮世絵物語」より、ロッカクアヤコ

「バレンと小刀 時代をつなぐ浮世絵物語」より、ロッカクアヤコ

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本作は、「≒草間彌生~わたし大好き~」の松本貴子が、1928年に創業した版元・アダチ版画研究所の一大プロジェクトを追った新作ドキュメンタリー。浮世絵の制作技術を継承した職人を抱え、江戸時代の浮世絵を復刻してきたアダチ版画研究所は近年、草間彌生ロッカクアヤコアントニー・ゴームリーら38名のアーティストを絵師に迎え、新たな現代の浮世絵を創作している。映画では、現代アーティストの作品を版画にしようと奮闘する彫師や摺師(すりし)といった職人たちの仕事ぶりを映し出す。ニック・ウォーカー李禹煥も出演した。

「バレンと小刀 時代をつなぐ浮世絵物語」ポスタービジュアル

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このたび公開されたのは、ロッカクと職人たちのコラボレーションの様子を捉えた映像。手で直接キャンバスに描くロッカクの創作風景や、完成した絵を見て「これどうしよう」とつぶやく彫師の姿、彼が試行錯誤しながらその絵を版木に彫っていくシーンが映し出された。

「バレンと小刀 時代をつなぐ浮世絵物語」場面写真

「バレンと小刀 時代をつなぐ浮世絵物語」場面写真 [拡大]

本編をひと足先に鑑賞したいとうは「総合芸術の各作業を丁寧に追い、現代の世界的絵師たちとのタッグマッチの過程を映し出す。確かに蔦重が今いたら、こんな浮世絵を生み出していたかもしれない」とコメント。角野は「ロッカクアヤコさんの作品が版画となって、この令和の世に飛び出しました。鮮やかな雲に乗って! 現代の浮世絵の誕生です。身近に出会える、それは大きな喜びです」、鉄拳は「浮世絵の見方が変わります。今こそ是非見てほしい作品です!」とつづっている。

「バレンと小刀 時代をつなぐ浮世絵物語」は、10月10日に東京・角川シネマ有楽町、シモキタ - エキマエ - シネマ「K2」で公開され、10月31日より東京・Strangerほか全国で順次上映される。

ドキュメンタリー映画「バレンと小刀 時代をつなぐ浮世絵物語」本編映像

映画作品情報

いとうせいこう(作家 / クリエーター)コメント

浮世絵という「絵師、彫師、摺師、
そしてプロデューサーとしての版元」が
作り出す総合芸術の各作業を丁寧に追い、
現代の世界的絵師たちとのタッグマッチの過程を映し出す。
確かに蔦重が今いたら、
こんな浮世絵を生み出していたかもしれない。

角野栄子(児童文学作家)コメント

ロッカクアヤコさんの女の子は何て名前?
知りたい! いつも名前で呼びたい!
大きな目を雲間から覗かせて、びっくりしているような、
微かにおどおどしているような。そんな鼓動が聞こえてくる。
元気はつらつ、なんでも来い!っていうのじゃないのが愛おしい!
初めて覗いた世界。でも目はしっかりと開いてる。
飛び出していくのね。境界の向こうへ!
この度、伝統ある彫師・摺師により、ロッカクアヤコさんの作品が版画となって、
この令和の世に飛び出しました。鮮やかな雲に乗って! 
現代の浮世絵の誕生です。身近に出会える、それは大きな喜びです。

鉄拳(芸人 / パラパラマンガ家)コメント

これはとても興味深く面白い映画です!
僕も大河ドラマ「べらぼう」に出させて頂き、
浮世絵を勉強するまでは、墨で絵を描いて
その上に色を塗るだけだと思っていました。
それまでは何気なく見ていた浮世絵。
絵師と彫師と摺師。こんなにも手間がかかっているなんて。
そして、世界アーティストとのコラボではどの様に浮世絵にするのか?
細かく線密な彫師さんの作業と、悩みながらも果てしなく摺り直す摺師さん。
試行錯誤しながら完成した作品は、見たことのない新しい世界の浮世絵でした。
浮世絵の見方が変わります。今こそ是非見てほしい作品です!

成相肇(東京国立近代美術館 主任研究員)コメント

それぞれの技術に沿って研ぎ澄まされた手の動きに目を奪われ、
かすかな呼吸に耳を奪われる。浮世絵は判断のリレーだ。
絵師の手を彫師が解釈し、その手を摺師が解釈し、
その手を絵師が解釈する。すべての技術は、いつも美しい。

堀口茉純 (歴史作家 / 歴史タレント)コメント

「コスパ? タイパ? なにそれ、美味しいの?」といわんばかりの
アーティストと職人たちが創り出す、浮世絵版画の世界。
生成AIが到達できない芸術領域がそこにある。
人類に勝機はまだある。そう感じさせてくれる映画でした。
浮世絵ファンはもちろん、ものづくり界隈にも是非見ていただきたいです。

春画ール(春画愛好家)コメント

わたしは会社員の傍ら、春画の発信や執筆活動をしています。
働く職場は20~30代が多く、みな現代アートやマンガなど、新しいもの好き。
浮世絵にもっと触れてもらうにはどうしたらいいのか、
そのひとつのアイデアは現代美やエネルギーと融合させること。
以前、目白にあるアダチ版画さんで摺師の実演を見学したことがあります。
滑らかで迷いなく生み出されていく浮世絵は素晴らしかったです。
プロフェッショナルたちの情熱をぜひ劇場で観てください。
耳が、目が癒されることでしょう。

とに~(アートテラー)コメント

色彩やタッチ、グラデーションといった、
現代アーティストの作品の絶妙なニュアンスを、
木版で再現すべく奮闘する彫師や摺師の熱き挑戦のドラマ。
正直なところ、鑑賞中に何度か、
「コピー機でよくない?」と思ってしまいましたが、
完成した浮世絵を観て“コピーでは写らない美しさ”
というものがあることを知りました。

矢田部吉彦(前東京国際映画祭ディレクター)コメント

浮世絵の芸術と技術を継承する若き職人たちが、
現代アートの先鋭的なアーティストたちと共同で創作に
取り組む過程がたまらなくスリリングだ。
アートの刺激とその背後にいる人間の姿が合わせて浮かび上がってくるようで、
つまりこの映画そのものが松本貴子監督による浮世絵なのだ。
素晴らしい。

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©︎2025「バレンと小刀」製作委員会

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ロッカクアヤコが指で描いた絵を彫師・摺師が浮世絵に、映画「バレンと小刀」新映像(著名人コメントあり)
https://t.co/5ED3SBTMx8

#松本貴子 https://t.co/TRfNiyYCcb

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