1960年代に起きた実際の事件をもとにした映画「ブルーボーイ事件」が、今秋に全国で公開されることが決定。あわせてティザービジュアル、特報、キャスト・スタッフのコメントが到着した。
本作の舞台は、東京オリンピックや大阪万博で沸く高度経済成長期の日本。国際化に向け売春の取り締まりが強化される中、性別適合手術を受けた通称ブルーボーイたちを一掃するため、検察は手術を行った医師・赤城昌雄を逮捕する。同じ頃、東京の喫茶店でウェイトレスとして働くサチは、恋人からプロポーズを受け幸せを噛み締めていた。そんなある日、裁判で赤城の弁護をすることになった弁護士・狩野卓がサチを訪ね、性別適合手術を受けた証人として出廷してほしいと依頼する。
サチを演じるのは、ドキュメンタリー映画「
またサチの恋人・若村篤彦役で
YouTubeで解禁された映像には、優生保護法違反として逮捕される赤城の姿や、サチが証言台に立つシーン、狩野が「異議があります!」と立ち上がる様子などが切り取られた。ビジュアルにはワンピース姿のサチらが捉えられ、「揺らぐ社会で彼女たちは、ただ心の在りかを求めた。」というコピーが添えられている。
配給は日活 / KDDIが担当。なお本作はPontaパス会員向けサービス「au推しトク映画」の対象作品に選ばれている。詳細はauクーポンサイトで確認を。
映画「ブルーボーイ事件」特報
飯塚花笑 コメント
「ハタチ過ぎたら誰もがみんな自殺だわね…」これは「ブルーボーイ事件」の映画化にあたり、資料の山に埋もれていたときに出会った1950年代のゲイバー(当時はゲイバーと表現されていたお店で)に出入りしていた、一人の名もなき性的マイノリティの言葉です。嫌に昭和的な口調と、ルポ本に添えられたスナップ写真がこの言葉に重みを付け加え、今もずっと私の胸の中に居座っているように感じます。この映画でトランスジェンダー当事者の俳優を主演に起用し、オリジナル作品として取り組むことを心に決め、走り始めてから6年余り。映画が完成した今思うのは、ずっとこの日本の社会の中に存在していたのに、無かったことにされて来た声たちが私を突き動かしていたのだということです。「ずーっとここにいたんだよ…」この映画が広く・そして深く皆様の心へ届きますように。この物語は私たちの物語であり、“貴方”たちの物語です。
中川未悠 コメント
サチ役を演じさせていただきました、中川未悠です。初めてのお芝居、初めての映画出演、初めてお会いする人たちばかり。全てが私にとって初めてで、不安が大きかったですがキャストの皆さん、スタッフの皆さんに優しく接していただいたので凄く楽しい現場でした。サチを演じさせていただくからには、一人でも多くの人に希望をもって生きてもらいたい!と思いながらお芝居に取り組みました。ブルーボーイ事件は事実に基づいたお話しなので、より身近に感じていただきやすいストーリーになっています。登場人物一人一人の想いがたくさん詰まった、愛のある作品です! まだまだ差別や偏見はありますが、私はこの作品を通じて誰もが幸せになる権利があることを伝えたいです。私は今回サチに出会い、サチの言葉に勇気をもらえました。観て下さる方々も勇気や希望をもらえると思います。是非、映画館でご覧ください。
遠藤日登思(プロデューサー)コメント
「オリジナル脚本で映画を作ろう」という呼びかけに集まった企画の中に「ブルーボーイ事件」がありました。約6年前のことです。当時、私はこの事件のことを知りませんでした。企画書や資料を読み、日本の性別適合手術の歴史を知っていく中で、50年以上前、確実に存在し証言台に立った3人のトランスジェンダーのことを想像しました。そして、飯塚監督が当事者の一人として感じてきたこと、当事者の役は当事者に演じて欲しいという強い思いを聞き「映画にしなくては」と思いました。とはいえ、当事者の方のキャスティングを実現させるのは簡単なことではなく手探りのオーディションを進めました。同業者からは「難しいことをしてるねぇ」と言われたこともしばしば。途中コロナ禍で挫折しかけた時も並走してくれたプロデューサー陣、脚本チーム、そしてオーディションに集まっていただいたトランスジェンダーの皆さんにあらためて感謝します。感想は人それぞれでも、観ていただければ必ず熱の伝わる映画が完成したと思います。
※記事初出時、内容に一部誤りがありました。お詫びして訂正します
じゅぺ @silverlinings63
ブルーボーイ事件、監督と主演にそれぞれ当事者が関わる形で、トランスジェンダーにまつわる実際の事件をもとに作った映画らしい。本邦ではまだめずらしいアプローチというか取り組みだと思うので楽しみ。 https://t.co/xG0OjnovAy