映画「
楡周平の同名小説をもとにした本作は、都会から移住した釣り好きのサラリーマン・西尾晋作と宮城・南三陸の住民の交流をユーモラスに描くコメディ。気仙沼市に約1カ月滞在して撮影に臨んだ菅田は「一番観てほしかった皆さんに観てもらえたのがうれしい」と、観客に喜びを伝える。撮影の合間に気仙沼の土産店によく足を運んでいたという彼は、「氷の水族館」を訪れた際、氷でできた気仙沼市の観光キャラクター・ホヤぼーやと写真を撮ったことも報告した。
宮城出身の岸は「被災地で被災された方の映画を観てもらうことに緊張していました。(温かい反応に)ほっとしています」と打ち明け、宮藤は「『あまちゃん』を書いたときに、みやぎ絆大使なのになぜ宮城の話じゃないのかと言われて……。今日これでやっと安心しました」と話す。劇中の印象的なシーンを問われると、宮藤は「晋作が居酒屋でソーシャルディスタンスを気にして後ずさるシーンが面白かったです。ディスタンスの取り方がうまくて感心していた」と述懐。岸は「方言の『け』や『こ』で会話するシーン。菅田くんの体のラインが……(笑)。編集しながらも笑った」と振り返った。
原作にはなかった“芋煮会”のシーンに関しては、宮藤が「(倉部健介役の)竹原ピストルさんの『ただ来て、おいしいものを食べて帰ればいいんじゃない』というセリフは、風化していく震災について、実際に石巻で取材したときに現地の人から聞いた言葉なんです」と明かす。岸は「あのシーンを読んだとき、宮藤さんのふるさとに込めた思いが伝わってきた。キャストの皆さんが方言で気持ちを吐露している。現場でも涙しました。あのシーンを撮るためにこの映画を撮った」と熱く語った。
三陸の新鮮な魚を使ったさまざまな料理も見どころの1つである本作。もう一度食べたいものを聞かれた菅田は「モウカノホシ(ネズミザメの心臓)」と即答し、「(今は食べられない)生レバーが大好きだった人間としては、ほぼ生レバーみたいでおいしかった」と笑顔で回想する。なおモウカノホシや、ハモニカ焼き(メカジキの背びれの付け根の塩焼き)といったこの土地ならではの料理は、もともと脚本にはなかったが、ロケハンの際に出会った岸が劇中に取り入れた。
イベントの終盤にはホヤぼーやが登場し、3人に花束を贈呈する場面も。宮藤は「宮城を舞台に、震災とコロナというシリアスな問題ながら、ハートフルなコメディに仕上げました。自分としてはがんばった作品です」、岸は「宮城県生まれの父親が昨秋亡くなり、家族を失うことについて思いを込めて作りました」とそれぞれ思いを口にする。菅田は「舞台となったその土地のよさを広めることができるのも映画のよさだと思いました。ホヤぼーやもこれから羽ばたいてください」とエールを送り、イベントは終了した。
このたび、本作の公開を記念したオンラインスペシャルトーク番組「映画『サンセット・サンライズ』の隠された秘密スペシャル」が、1月24日20時30分から生配信されることが決定。岸、宮藤、プロデューサーの佐藤順子が出演し、撮影時のエピソードや、キャスト陣との仕事で感じたこと、お薦めのシーンについてトークするほか、公式SNSで事前に募集した質問に答えるコーナーも展開される予定だ。
「サンセット・サンライズ」は、全国で公開中。
ぽ~さん☆ @posan514
「サンセット・サンライズ」菅田将暉、気仙沼名物“モウカノホシ”をもう一度食べたい - 映画ナタリー https://t.co/gAmDERTxtD