映画「
本作は1つの屋敷を舞台にしたサスペンスコメディ。大富豪の妻・スオミが失踪し、夫が住む豪邸には彼女を愛した5人の男が集まる。しかし、彼らが語るスオミのイメージは見た目も性格もまったく異なるものだった。長澤がスオミを演じ、神経質な警察官・草野圭吾に西島、怪しげなYouTuber・十勝左衛門に松坂、血の気の多い庭師・魚山大吉に遠藤、情に厚い警察官・宇賀神守に小林、身勝手な芸術家で大富豪の現夫・寒川しずおに彌十郎が扮した。
冒頭に「脚本と監督、あとBGMのピアニカを担当させていただきました」と挨拶する三谷。中居正広から感想をもらったそうで「『監督、この作品はすっごく手に汗握らないですね』と言ってくれました。一応ミステリーってことになってるけど、僕の作品だから悲惨な結末をたどるはずがない。ワクワクして、手に汗は握らないんだけれど、2時間楽しい時間を過ごせます」と本作をアピールした。
長澤はチャレンジングな役どころに「終わったあとも『スオミはこうだったかもしれない』と可能性を見出せるような、楽しくて面白い役を演じさせてもらいました」と振り返る。そんな彼女を「本当にたくさんの引き出しを持ってる方」と評する三谷は「僕が気付いた引き出しは開けましたが、まだあと8つぐらいあるのでは? 隠し扉みたいな……」と賛辞を送った。
クライマックスシーンに話が及ぶと、西島は「すごかったですね。目が離せなくて、綱渡りを全速力で駆け抜けているよう。心の奥で『どうなる? いけるのか?』と思って。僕は手に汗握りましたよ!」と回想する。「僕も見入っちゃいましたね」と続く松坂は、「僕が知らないスオミを初めて目にする瞬間でもあるので、次々出てくる引き出しに『こうなんだ!』と。僕も心の奥底で手に汗握ってました」と興奮しながら伝えた。
三谷の演出にトークが移ると、松坂は「スオミが中国語以外をしゃべったときのリアクションについて、三谷さんが小林さんに指示を出していたんです。それが『飼っている犬が日本語をしゃべったときの驚き方をしてくれ』と。どういう顔をするのか気になっちゃって(笑)」と証言。小林は「私は犬を飼ったことがないので、さらに想像力をフル回転させました(笑)」と当時の心境を述べる。草野の有能な部下・小磯杜夫役の瀬戸はセスナのアクションシーンに触れ「当初は想像していなくて、ほぼ突然『アクションがあります。しかもワイヤーアクションです』と監督から伝えられたんです」と訴える。西島が「トム・クルーズもやってないよね」と声を掛けると、三谷は「一応設定はあったんですが、現場でいろいろと考えたら映画のリアリティを超えてしまった……」と嘆いていた。
「まさみちゃんとは初共演なんだよね!」とルンルン気分で話す遠藤は「話し掛けたら『絡みづらい』と言われたけど(笑)、正直なのが面白くて。逆に俺が話しやすくなっちゃった」と思い返す。長澤は「緊張しいなところとか似てますよね」とほほえみ、「私が三谷さんからいろいろな注文を聞いていると、濡れた子犬のような目で『わかるよ、一緒だよ』って。安心しました」と信頼をのぞかせた。
彌十郎は「楽しかったけど、終わってから『大丈夫だったのだろうか』と思い始めた」と撮影当時を述懐。三谷から「歌舞伎を拝見していて『こんなにすごい俳優がいるんだ』と伝えたかった。今後の映画界に必要な人材。最後のダンスシーンは少し失敗しているけど…」と伝えられると、彌十郎は「悔しいんですよ!」と奥歯を噛み締める。富豪の世話役・乙骨直虎役の戸塚は「長澤さんにご挨拶したとき、スタッフと間違えられて『マネージャーかと思った』と(笑)。その最初のやり取りで乙骨の人生が決まったと思って、グッときましたね」と告白。さらに神出鬼没の女・薊(あざみ)役の宮澤は長澤に「普段は『まさみちゃん』だけど、現場では『長澤さん』と呼びたくなる凛とした姿がある。自分にとっての指針でいてくださったので、付いて行くだけでした」と感謝を伝えた。
そして三谷は「演劇のような映画を作ってみたいと思った」と本作の制作経緯を説明。「舞台は1カ月稽古して本番ですから、終わりの頃には俳優と役が一体化していてすごい境地に行くんです。それを映画でもやってみたいなと。僕は俳優さんが大好きで、俳優が輝いている映画が一番。みんなに素敵なお芝居をしていただけて、それが映画として残ったのが財産です。最高傑作になったと思います」と胸がいっぱいの様子を見せていた。
「スオミの話をしよう」は全国で公開中。
ゴミ雑草 @mjwr9620
長澤まさみ「スオミの話をしよう」で演技の引き出し披露
→瀬戸はセスナのアクションシーンに触れ「ほぼ突然『アクションがあります。しかもワイヤーアクションです』と」、三谷は「一応設定はあったんですが、現場でいろいろと考えたら映画のリアリティを超えてしまった…」 https://t.co/p1m7qAv2c3