映画「
本作は、夫・文則との関係が冷え切り、知り合った男性と頻繁に会うようになった綿子を主人公とした物語。恋人の木村は事故で帰らぬ人となってしまい、綿子は変わらぬ日常を過ごしながら、夫や周囲の人々、そして自分自身と向き合っていく。綿子を門脇麦、木村を染谷将太、親友の英梨を黒木華が演じ、田村は文則役で出演した。
劇団た組の主宰であり、演劇・ドラマ・映画と多方面で活動する加藤。本作は2022年公開の映画「わたし達はおとな」に続く長編2作目となった。田村は加藤の舞台「ザ・ウェルキン」「綿子はもつれる」にも起用されており、本作にキャスティングされたことについて「『加藤くん正気かな』と思いました(笑)。とても大切な役だと思いますし、門脇さんも黒木さん、染谷さんと映画界のメジャーリーガーの方ばかりで、急に高卒ドラフトで指名された気分でびっくりしました」と率直な思いを口にした。
文則役に田村を起用した理由を「理屈で詰めてくる感じが田村さんぽい。田村さんもそういうところありますよね(笑)」と加藤が明かすと、田村は「いや、みんなそういうところありますよ!(笑) いつも話し合おうとする姿勢とか」と反論。加藤が「話し合って解決しないこともありません? 話し合うことが絶対の“善”みたいに頼りすぎているところが(文則に)ある。でも相手の気持ちを汲み取りながら歩み寄ろうとする姿勢は見える」と続けると、田村は「文則の行動って僕もわかるんですよ。文則は正しくあろうとするじゃないですか。それがあまり相手のことが見えていないのかもしれない。汲み取ろうとする“自分”をあえて相手に見せてる姿勢もある」と分析する。そして「『話がある』と伝えても綿子が寝ちゃったり、予定をすっぽかされたり、文則側から見ると実は共感してもらえるはず。文則は悪くない(笑)」と、執拗に綿子を詰める場面のある文則を擁護した。
役作りに関しては「自分で役柄を作り上げるとキャラクターが一面的になりすぎてしまうため、監督と調整しました。監督から『言葉の意味をそのまま伝えたいわけではなく、言っていることと演じていることが違うイメージ』とお聞きしたので、こういう人だから、こんな過去があるから、とかは考えなかったです」と田村が明かす。加藤は「言っていること、やっていること、思っていることは、基本的にバラバラだと思っているので。“言っていること”だけで映るよりは、バラバラな部分を汲み取ってもらいながら見えるものにしたかった。映画でも演劇でも同じですけど、役作りについて縛ってしまうと豊かになると思わなくて。『結果的にこういう人だったよね』と役柄が浮かび上がる形が理想」と意図を説明した。
また田村からは、門脇が演じた綿子についての質問も。加藤は「黙っているところで役の気分をどう映すかということで、基本的に衣装をモノトーンで組んだんですが、嘘をつくところではグラデーションを入れました。そういうところを踏まえて門脇さんがお芝居を作り上げたので、田村さんとはまた違った役柄の切り取り方になっています」と解説。さらに染谷演じる木村についても触れ、バスに乗っているシーンの美しさを褒めたたえる。最後に田村は「細かい生活音とか画作りとか、隅々まで行き渡った映画なのでぜひ劇場でご覧ください」、加藤は「たくさんの人に劇場で観ていただければと思います」と呼びかけ、イベントの幕を引いた。
「ほつれる」は東京・新宿ピカデリーほか全国で上映中。
映画「ほつれる」予告編
田村健太郎の映画作品
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谷 勝弘 @katsuhirotani
「ほつれる」田村健太郎演じる“理詰め”の夫に、監督・加藤拓也「田村さんぽい」 https://t.co/fp5cjlJTTF
ほつれるはエンドロールが無音、音楽等なし
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