必ずしも名前のある愛ではない、「CLOSE/クロース」監督が少年たちの“親密”を語る

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第75回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した「CLOSE/クロース」のジャパンプレミアが、本日5月9日に東京・新宿武蔵野館で行われ、監督のルーカス・ドンが登壇した。

「CLOSE/クロース」ジャパンプレミアに登壇したルーカス・ドン。

「CLOSE/クロース」ジャパンプレミアに登壇したルーカス・ドン。

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「CLOSE/クロース」場面写真

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10代前半の少年たちに起こる悲劇と再生が描かれる本作。学校でも放課後でも24時間ともに過ごす幼なじみのレオとレミは、中学校に入学した初日、親密な関係をクラスメイトにからかわれてしまう。レオが周囲の目を気にしてレミにそっけない態度を取るようになり、気まずい雰囲気になる中、レオのもとに悲しい報せが届く。エデン・ダンブリンがレオ、グスタフ・ドゥ・ワエルがレミを演じた。

ルーカス・ドン

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トランスジェンダーの主人公がバレリーナを目指す姿を描いた「Girl ガール」で、第71回カンヌ国際映画祭のカメラドール(新人監督賞)に輝いたドン。同作のプロモーションの最後の地として日本を訪れたのち、帰国してから次回作の脚本に取り掛かるも、それは困難な作業だったという。そして自身の故郷へ戻り、育った町やかつての遊び場に再び訪れ、社会のルールや期待に100%応えられず葛藤した少年時代を思い出したことで「CLOSE/クロース」の着想を得たと説明する。

「CLOSE/クロース」場面写真

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「CLOSE/クロース」場面写真

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また「実はあの年齢の頃、自ら人を押しやってしまったことがあります。特に若い男性たちの中では、“親密”であることが他人にとって性的に捉えられる可能性があると気付き始めていた時期でした。たくさんの人と近くで過ごしたかったのに、自分から避けてしまった後悔が自分の中にありました」と自身の経験がベースになっていると言及し、「そこから脚本を書き始め、レオとレミのキャラクターにつながりました。フュージョン(融合)するような友情、そして名前の付いていない愛情を互いに持っている2人です」と明かした。

ルーカス・ドン

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中学校に進んだレオとレミは、クラスメイトから友情以上の関係を問われ困惑する。ドンは「これは愛についての映画だと思う。でも必ずしも名前がある愛ではない」と述べ、「その親密さを恥ずかしいと思う人がいる。特に若い男性同士では、私自身も含めて、ある種のまなざしを持つように社会に教えられてしまっている。この作品は、私たちがどうしてそのように見てしまうかに関する映画だと思います。社会が勝手にラベルを貼ることによって、親密さが欠如してしまうことを描きたかったのです」と強調。観客からの「クィア映画だと思いますか?」という質問には「Yes」と答え、「ここで描かれた傷跡はみんなが抱えるものであり、クィアの方たちが抱えるものでもある。こうした友情は誰もが経験していると思います。パワフルで自由だったものが、自分の傷となり、人によってはそれを壊してしまった罪悪感を抱えて生きてる人もいる。そういう意味も含めてクィア映画であるし、クィアだけではない。と、いつも答えています」と真摯に伝えた。

「CLOSE/クロース」は7月14日に全国で公開。

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(c)Menuet / Diaphana Films / Topkapi Films / Versus Production 2022

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「ここで描かれた傷跡はみんなが抱えるものであり、クィアの方たちが抱えるものでもある。こうした友情は誰もが経験していると思います。(…)そういう意味も含めてクィア映画であるし、クィアだけではない」
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